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改造人狼VS未熟な淑女1

 『身体強化』・『強度強化』

 精度の上がったそれらで肉薄する。

 幾ら魔法を強化しても、シェリー君の出力には限界がある。故に短期決戦かつ近距離戦で勝負を決めに行く気だ。

 相手が真っ正面から突進するこちらを見て、一歩踏み込む。肉体を変えた影響で巨躯になり、一歩が大きい。

 あっという間に手の届く距離。もっとも、向こうの手が届くだけでこちらの手は未だ届かない。

 リーチ差で負けている。

 だから工夫した。

 「消え…」

 踏み込んだ改造人狼が戸惑う。シェリー君に手を伸ばした瞬間、すり抜けたからだ。

 「後ろから失礼。」

 いつの間にか背後に回り込んだシェリー君。

 踏み込んで隙だらけの膝裏を肘鉄で打つ。巨躯のお陰で攻撃はし易い。

 『身体強化』の発動は一瞬。細かい一歩一歩に緩急をつけることで相手がこちらの速さに適応出来ないように翻弄する。

 相手は改造しているとはいえ、生き物の構造が根底にある。

 だからこうして膝を崩せば跪く。

 「甘い!」

 腕の噴出口から轟音と閃光が放たれ、崩れた足腰の代わりに上半身が無理矢理全身を回転。背後にいるシェリー君を迎撃せんとする。

 だが、上半身の動きだけで対応できる程シェリー君は甘くない。

 『身体強化』・『強度強化』・『気流操作』

 回転する拳を屈んで避け、逆にカウンターを喰らわせる。

 揺らす頭が無いので鳩尾(みぞおち)に正拳。だが肋骨を砕く感覚は無い。

 「甘い!」

 堪えている様子も無い。改造した時にそこは変えていたか。

 揺らす脳天は無し。臓物も怪しい。感覚器官はどうしているか?

 今度は射出口をこちらに向ける動きをする。

 『身体強化』

 何かをぶちまけられる前に射出口を反らす。が、何かが漏れる音がする。

 射出の予備動作にしては音が穏やか、つまりこれは……

 『気流操作』

 自分を中心に周辺の空気を吹き飛ばす。

 何かを射出させる形状をしているからと言って固体を弾丸の様に飛ばすだけとは限らない。

 例えば。

 「毒ガスですか。」

 「ご明察、しかし(・・・)残念ですね。」

 「ッ!」

 よく見れば射出口だけでなく噴出口からも未だに音が聞こえている。

 毒ガスなら露見した瞬間意味が無くなるはずなのに未だやっている。つまり……

 『地形操作』

 咄嗟に改造人狼を蹴り飛ばしつつ自分を土壁で覆う。

 『着火』

 改造人狼の手から火花が散り、僅かな光が広がり、爆音と熱を撒き散らす。

 「酷いですね、見捨てて爆発の中に置き去りにするなんて……」

 爆音と熱を意に介さず、爆発の中で人型の土塊に向けて話しかけつつ躊躇い無く殴り付ける。

 しかし、飛び散る土塊の中にシェリー君はもう居ない。

 「自分の爆発で自分が傷付くとは思っていなかったもので。」

 『水流操作』

 爆風の中に水球を飛ばし、改造人狼の居る場所目掛けて加熱させて爆破した。


 ブクマとリアクションありがとうございます。

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