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1918/1928

武力・膂力・魔力が無ければ知力で戦う

※ここから数話、若干の流血やゴア表現が加わるのでご注意ください。

※苦手な方用にここから数話、前書きに前話の粗筋を記載しておきます。



 『気流操作』・『地形操作』

 砂を巻き上げそれを高速で循環させて打ち出す。

 擬似的な刃となったそれは人狼の体に吸い込まれ、赤い血桜を咲かせる。

 しかし、桜は儚く散る。

 咲いた赤色の花弁は閉じて蕾になり、そこから砂が吐き出され、そこには何も残らない。

 だが、それを咲かせた当人は手応えがある表情だ。

 「先程もそうでした。

 爆発の際、刺さった破片を体外に排出して、それから体を治していました。」

 「それはどういうことかね?」

 「比較して考えました。『C.D.E.』は使用時、解析した対象物を余計なもの、排除対象含めて分解して再構築の際に残ったものとして結果的に除外します。

 対してあれは、異物を除外する過程があり、その後に再構築、或いは再生を行っています。

 原理は不明ですが除外の過程を必ず挟むというのなら、そこで止めてしまえば動作は完了しない。そう考えました。」

 「仮説を証明するには?」

 「考えがあります。」

 『地形操作』・『気流操作』

 先程と同じ様に砂の刃を打ち出す。

 威力は低い、しかし数と大きさは先程の倍以上。

 目や喉まで狙ったそれらは数倍太く屈強になった腕に防がれ、今度は霧散した。

 「こんなもの、効きませんよ。」

 砂煙の中から(あざけ)る声がする。

 「存じております。だから良いのです。」

 『地形操作』

 狙ったのは足。しかし、使ったのは砂の刃ではない。

 「これはこれは……」

 地面が局所的に隆起し、鋭利な楔となって人狼の両……後ろ足を貫く。

 「機動力は奪いました。これなら……」

 砂の中に影が映る。

 「いったでしょう、こんなもの、効きませんよ。」

 強引に楔に貫かれたままの足を動かして前へ進もうとする。楔は抵抗虚しく根が砕けて拘束の役目を終える。

 ああ残念、『急いては事を仕損じる』とはまさにこの事。

 「おや?」

 目の前の砂の影を切り裂く。だが切り裂いたのは影だけ。

 『地形操作』

 背後から主要臓器をすり抜ける様に突き刺さる岩の杭。

 やられたと思った瞬間、反射的に爪で背後を一掃しようとしたが、手応えがない。

 「残念。外れです。」

 『地形操作』・『強度強化』

 その代わり腕には毛をすり抜けて数本の杭が襲い掛かり、ほとんどが砕ける中、一本だけ突き刺さっていた。

 「もっと色々な魔法を見せて頂きたいものですね。こんな単調でつまらない真似ばかりされては飽きるというもの。」

 『地形操作』

 そんなこと知らないとばかりに更に足元から杭が何本も生え、太ももに突き刺さる。

 「生憎と貴方を楽しませるためにやっている事ではありません。」

 正面に立つシェリー君を今度こそと爪で貫こうとする。が、よろめき倒れる。

 「これは……ああ、そういうことですか。」

 倒れた時にやっと悟った。だがもう遅い。

 「貴方の体に起こっている現象が修復か、再生かは解りません。

 しかし、(いず)れにしろその現象は異物を体外に排出して初めて起こせる現象と見ました。なら、こうすれば良いのです。」

 足の楔は根元が砕け、返しの付いた楔本体は足を未だ貫いたままだった。

 背中から胴を貫通して杭が斜めに突き刺さっていた。

 太ももには幾本もの杭。

 それらは全て致命傷にはなっていない。血が殆ど出ていない。そもそも刺された際に痛みを感じている様子もない。

 しかし、刺さったものはどれもこれも物理的な質量を持ち、刺さった部分は返しのおかげで抜けずに重心を狂わせ動きを制限し続けている。

 「拘束完了。」

 首から下が泥で包まれた。



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