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ショック療法的見稽古


 先生は強いと思っていた。

 学んで、知って、観察出来るようになって、それはつくづく痛感していた。

 今思えば、最初に仕掛けたあんな単純な落とし穴に引っ掛かるわけがなかった。

 自分とダイエイトの奴と、ヤヤーナの三人で計画して、しかも不意討ちで倒そうとしても、勝てる気がしない。

 先生は魔力こそ無いけど、それ以外の力が強い。だから全部で見ると凄く強い。


 それくらいは解っていた。

 解っているつもりだった。


 『気流操作』・『火球』

 唸りをあげて幾つかの小さな火の玉が飛ぶ。

 一つが大きな岩にぶつかって飛び散って消える。

 ぶつかった岩の表面は熔かされていた。


 『水流操作』・『地形操作』

 泥水が地面から間欠泉みたいに噴き上がる。

 それは蛇の形になって先生の意志に従って誘拐犯に襲いかかる。

 避ける、避ける、避ける。

 全力で逃げている。蛇の太さ大きさの泥水から必死に、だ。

 でもそりゃそうだと思う。だって泥水がぶつかった木が抉れてるんだから。


 『身体強化』・『強度強化』・『地形操作』・『気流操作』

 誘拐犯めがけて突進。速い、けどあまりにも直線的。誘拐犯に読まれた。

 と思った次の瞬間に先生が不自然な回転をしながら側面に回り込む。

 それに対して誘拐犯は何とか反応しようとして、動きが止まった…違う!片足が小さな穴にはまって動けないんだ。

 その隙に先生が一方的に殴る、蹴る。今まで見た事がない、組手をしてもらった時、あんな容赦無い攻撃はされなかった。息つく暇も無い連続攻撃、一度でも迷ったり痛みで止まったりしたらそのまま圧し潰される苛烈さ。全部急所狙いか急所を守る動きを潰す攻撃だ。


 『魔法は人を殺せる凶器になり得る。』


 そんな当たり前のことを最初の頃に教わった。当たり前だと笑ったら、その怖さを試しにと見せられた。笑ったのを反省した。

 決闘茶会の時に魔法の恐怖が文字通り骨身に染みた。あんな爆発、二度と経験したくないと思った。これが魔法の怖さだと理解した。

 『水流操作』だって教わった時に暴走のリスクを荒っぽく教えてもらった。

 軽々しく振り回すべきじゃないと、怖いものだと理解した気になっていた。

 自分は馬鹿だったと思った。

 だって、今こうして見ている光景は、今まで見てきたどんな魔法よりも暴力的で、冷たくて鋭くて気持ちの悪い背中をざわつかせる何かに満ち溢れていた。


 これが本当の恐怖で、本当の強さなんだろう。

 いや、先生は『自分は弱い』って言ってたから、もしかしたらもっと強い、先生じゃ全く相手にならないようなすごい奴も、もしかしたらだけど、いるのかもしれないな……。



 ハハハ、この攻めを技巧と力業の二つの方法で返り討ちに出来る序盤から登場している圧倒的強者なんているわけが……いたぁ。

 ちなみに、犯罪・反罪術式は彼女を直接対象にした場合、無効化されます。今戦ったら負けます。

 ボス戦かな?大体そうでしたね。


 たくさんのブックマークありがとうございます。

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