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1901/1902

羽の生えた馬

 「誘拐犯が追い詰められたら、人質を盾にするかもしれません。もし、都合が悪くなったら……始末ということも考えられます。

 そして、今私が提案したルートは、確実ではありません。」

 「だから、アタシらにもう一つへ行けって?」

 「はい。それらしき対象を捕捉したら信号弾で合図をお願いします。」

 「手は出すなってことかよぉ?」

 「俺達だって修羅場は潜ってまさぁ。これくらいは(・・・・・・)……いや、この言い方はダメでさぁ……それでも俺達に任せてくれたって……」

 シェリー君が申し訳なさそうな顔を殺して微笑む。

 「勿論、私も見付けたら信号弾を打ち上げますよ。だから、どうかお願いします。

 教え子を、助けたいのです。それはそれとして、先生として格好つけたいのです。」

 優しく、真意を覆い隠すように微笑む。

 当然格好つけたいというのは嘘だ。

 シェリー君の懸念。それはアレ(・・)がもう一体いて、人質奪還を試みたこの三人は結局対処出来ずに返り討ちにされ、人質は保護出来ずに逃げられるか、あるいは始末(・・)されるという最悪の事態だ。

 しかし、現状二つのルートを一人で回ることは出来ない。

 シェリー君からしたら、正に断腸の思いだ。

 「どうか、お願いします。彼らを助けるのを、手伝って下さい。」

 頭を下げる。

 断腸の思いでもこれが出来ればまあ合格としよう。

 「……解った、アンタも無理はしちゃダメだよ。」

 そう言って三人が馬車の中身を放り出し始める。

 「屋敷の人にはあとで謝っとくよぉ。」

 「なんなら捨てて下さっても構いやせん。」

 手を振って、ウインクする。

 「ありがとうございます!」

 頭を下げる。

 「じゃぁ行くよ!」

 「気を付けてねぇ。」

 「ご武運を。」

 すでに三人、馬車に飛び乗り走り出していた。

 「さて、我々は本命へ出向くとするか。」

 「そうですね、参りましょう。」

 死地に参る面持ちとは正にこの事。連中に行かせたのは当然、囮の方。

 単独で制圧・人質奪還は中々骨が折れるから、当然こんな顔にもなる。

 「で、参りましょうとは言うものの、何で出向く気かね。徒歩?それとも馬車?

 生憎と破壊工作はバッチリで、馬車は車輪から車軸からグチャグチャ。

 そもそも、生半可な足の馬が今から追いかけてもどうにもならんがね。

 諦めて、『存在しないもの(ペガサス)』にでも乗るかね?」

 意味深に笑ってみせる。

 「そうですね、飛ぶ様に速いことを願います。」

 目の奥が光った。


 外が騒がしい。

 業腹だ。

 俺様の王国内で騒ぐ者のはまだ許そう。俺様は寛大だから。

 だが、目に余る真似をするならば蹴り飛ばす。

 それが王たる俺様の運命さだめだ。

 またぞろ鬱陶しい輩が現れたか。

 獣臭い戯け者は蹴り飛ばしたが、今度は踏みつぶしてやろうか?


 王宮の扉が開かれた。

 「力を貸してください。お願いします。」

 小娘が己を見上げて頭を下げた。



 昨日でちょうど1900話になったことをうっかり忘れていました。

 集中力が無いでお馴染みの我ながらよくも続いたと思います。

 どころか『あと100話で2000話。新しく読む人が読み辛くならないかしらん。』などと考える始末。あと100話書くことに対して何の抵抗もないのですよ。

 それもそのはず。これだけ楽しくて、沢山の読者の方々の支えがあれば100話なんてあっという間です。

 いつも支えて下さる皆様、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

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