第四十八話 事件を終えた後の謎
夜はぐっすり眠れた。衝撃な出来事が次々と出てきて、驚きよりも疲れが勝つ。
次の日、俺は白井を呼び、いつもの朝日が降り注ぐ物静かなカフェにつく。
窓際の席で、頬に手を当てて白井のことを待つ。
「お待たせー、泉」
「白井……さっそくだけど今回の件の情報共有したい」
「そうだな、一区切りがついたし」
彼は目にクマができていて、声がいつもより緩やかになっている。
「白井さ……金沢のこと、もうちょい教えてくれない?」
「なに考えてるかわかったよ……確かに、俺もあいつがなにしたいのかがわからん」
金沢は探偵で、おそらく俺を眠らせた薬をつくったのはあいつか……そして玉緒さんと組んで俺を監禁させるようなことを。
「でも、なんで俺たちが危険って状況を明里さんとかに伝えたんだ?」
「よくわからないなー。この件をゆっくり整理しよ」
白井は一枚のルーズリーフを取り出す。文字が詰められていて、程よく見やすい濃い字だ。
◇
泉は玉緒雪とよく成績勝負をする。孤独な玉緒は泉のことを好きになる。
↓
最上咲良と恋人になりたい金沢、泉と恋人になりたい玉緒が偶然にも出逢い、共通の目的で手を組む。
↓
泉を自作のチョコレートで眠らせ、監禁する。その間、最上咲良の連絡のせいで玉緒は駅に向かう。
↓
最上咲良と玉緒が出会うことを、金沢は俺や明里さんに伝えてくれた。
◇
なるほど、でもやっぱなんで白井と明里さんに伝えたのかわからないし、なんで最上さんは俺を夜で誘ったの?
白井は、はあっとあくびをして俺をにらむ。
「なんとなくこんな感じさ。俺はこれを徹夜で書いたせいで眠れなかったぞ」
「まじサンキュー」
彼はその紙を俺に渡してくれた。家に帰ってまた整理してみよう。事件は解決したものの、前回よりもモヤモヤするな。
トントン、と軽くて馴染みのある足音が伝わる。白井は俺よりも先にその姿に驚く。
「最上さん!?」
「やっほー白井、千里くん!」
元気でなによりだ、最上さん。いつも通りのツインテールに、おしゃれなホワイトスノーワンピース。
「白井、ちょっと千里くんと話したくて……」
「またそのノリ?? 二度目は嫌ですよ!」
前回同様、『早く出ろよ』と言っている顔で最上さんは白井をにらむ。
「もーわかりました!」
白井は歯をくいしばってカフェから離れる。かわいそうだな。
「最上さん……なんで昨日、俺を夜中に誘ったんですか?」
まずはこの質問、やはり気になってしまう。
「ふふ、知りたい?」
「知りたいですよ」
最上さんはブランド品のカバンから、一冊の懐かしいノートを取り出す。
「覚えてるかな? やりたいことリスト」
「はい……」
彼女はその一ページのあるところに、指をさして俺に見せる。
『気づかないふりして、彼氏にエッチなとこを見せる』
「え……なにしようとするんですか?」
「もう知っちゃったから仕方ないけど」
最上さんは一瞬、顔を赤らめて、言葉に迷いがあった。
「エッチしよ」
「?」




