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男二人でセミダブルのベッドに入るのは少し苦しく、それでもこうやって身を寄せあっていると二人で一つの体になれたような気分になって、「こんなものか」とどうでもよくなってしまう。しかし、いつもの大きな気持ちは何処に行ったか、不規則な胸の動きが喧しい。
なんて、白い壁を見詰めてよそ事をかんがえていると、左胸の先に摘ままれたような感覚が生じた。
「んっ」
軽く走る悦に、ビク、と背中を戦慄かせてから腕の中へ目を向けると、ミチルが意地悪そうに笑みを広げていた。左胸の前にミチルの細長い指が宙を摘まんでいる。
「あはは、道也、やっぱり敏感」
「どの口が言うねん、ほらほら」
「んっ……ははっ」
布団の中で、右の脇腹を掻くように下から上に、上から下にと往復して撫で揶揄ってみると、ミチルは素直に掠れた甘い声を漏らし、小さく身をよじってから目元に皺を寄せて笑った。そして、互いの顔の間に寝かせていた俺の右腕に、ミチルは両腕を絡めた。
「なあ、道也」
目を軽く細めて甘えるような声で呼びかけられた。俺は、布団の中から左手を出し、布団の上から、優しくミチルの腹に手を添える。
「ん、なんや」
「俺、今度こそ、幸せになるよ」




