ヴェティーロ
一行は再び歩き始めた。
半日、進めるだけ進んだら今回のダンジョン探索は終了し地上へ戻ることとなる。
過ごした時間こそ短いが、切迫した展開の続くこの状況を切り抜けてきた4人には信頼が芽生え始めていた。
そしてその信頼を無下にするような人間がいなかったことはこのチームにとって大きなプラスだったであろう。
もはやリザードマンやゴブリンは敵ではなく難なく対処していた。
その間昴は毒魔法の新たな使い道にたどり着いた。
顕人のティーロを参考に魔力コントロールを練習した結果、昴は毒の棘ともいうべき先鋭化された魔法を放出できるようになった。
流石にリザードマンに刺せるほどの貫通力はないがゴブリンくらいになら難なく刺さり、速度もヴェレーノより早く精度も高い。
1発の毒の効力は大分落ちるが瞬間的な足止めや、牽制、蓄積させ毒の効力を高めたりと用途は幅広い。
昴は自ら名前をつけ、この難しいコントロールを難なくこなす顕人に敬意を持ってヴェティーロと名付けた。
「ヴェティーロ?」
顕人は少し驚いた。
「俺はこの形で放出できるまでかなり時間がかかったが山縣はこれを始めの段階で出来ていた。
それに山縣のティーロを見てなかったらそもそもこういうコントロールを思いつかなかったかもしれない。
殆ど山縣の功績なのに自分の魔法のように振る舞えるほど俺は図々しくはなれない。」
「岩手…」
昴の心の変化を3人は確り感じ取り、昴もまた自分の心の変化に戸惑いつつも悪い気はしていなかった。
そして4人は地下4階へ続く階段を見つけたのだった。




