↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【二年生編】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第十七章 "七帝魔導士"との出会い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/90

第1284話 悔しい涙



 とりあえずノマちゃんを落ち着かせ、事の経緯を説明する。

 とはいえ、ノマちゃんじゃあうまく説明できそうにないので、そこは私が、だ。


「なるほど……私が、以前キミとその家族を助けた、と」


「は、はい。その通りですわ」


 ノマちゃんが以前、魔物の群れに襲われていたところを家族共々アルテミィミスさんに助けられた……という話。

 颯爽と助けられ、その姿に憧れ、それ以来すっかり好きになってしまったらしい。


 "七帝(しちてい)魔導士"に憧れている人は多いだろうけど、直接助けてもらったことでノマちゃんは好きになった。

 そして、いつしか目標となるほどに、自分の中で大きな存在になったのだ。


「んー……すまんのぉ、覚えてないわい」


「い、いえ! 当然ですわ!」


 申し訳なさそうにするアルテミィミスさんに、ノマちゃんは慌てた感じで首を振る。

 残念だけど、それも仕方ない。助けられた方は、それを強烈な出来事として覚えているだろう。でも助けた方は、それは日常のひと風景でしかない。


 まあ、魔物に襲われた家族を助けるのがひと風景かは置いておいて。

 認識って人それぞれだもんね。


「わたくしは、しっかりと覚えていますもの。あの時の凛々しいお姿を……わたくしたちを安心させようと微笑みかけてくださった、あの柔らかな表情を」


「んふふ〜、照れるのぉ」


 アルテミィミスさんはまんざらでもなさそうだ。

 彼女だって、ノマちゃんみたいに助けた子はいっぱいいるだろう。でも、こうして直接感謝を伝えられるのは……そうそうあることじゃないんじゃないだろうか。多分。


 なんて言うか……出会いはめちゃくちゃだったけど、よかったねノマちゃん。


「それにしても、フィールドさんがうらやましいですわ。わたくしも、生徒会に入っていれば……!」


「理由が不順すぎない」


「あぁでも、ずっとお近くで行動するなんて、耐えられそうにありません!」


 ……まあ、ノマちゃんの様子を見ていると、ずっとアルテミィミスさんと一緒なんてことになったら爆発してしまいそうだ。


「忙しい娘だな。とはいえ、この心酔具合アルテミィミス様に失礼なことを言い出すこともなさそうだがな」


「……しつ、れい?」


「あっ、シルフィ先輩……」


 シルフィ先輩の言葉に、ノマちゃんの動きが止まり……じっと私を見つめた。

 そしてなぜか、妙にぬるぬるした動きで私に迫り……肩を掴んだ。


「し、失礼とは……フィールドさん、ビビアン様に失礼な態度を働いたんですの?」


 まだ、誰が失礼をしたのか言ってないのに……もはや私だと決めつけている!

 いやそりゃ、この中の三人じゃ誰を疑うかなんて、考えるまでもないんだけどさ!


「いや、失礼っていうかその……の、ノマちゃん、目が怖いよー?」


「アルテミィミス様に、戦いを挑んだ」


「先輩ー!」


 容赦ないシルフィ先輩のひと言。その言葉を聞いた瞬間、肩を掴まれる力が増したように感じた。感じたと言うか、実際に強くなった。

 ちょっ、痛い、痛いよノマちゃん!


 それに、プルプル震えている。もしかして怒りのあまり震えているのだろうか。


「な、なんと……び、ビビアン様に……」


「いや、違うんだよノマちゃん。正確には挑んだわけじゃなくて力を見せただけだし、そう言ってくれたのはアルテミィミスさんからだし……」


「う、うらやましいですわぁ!」


「えぇ!?」


 俯き、怒りに震えているのかと思った……だけど、顔を上げたノマちゃんの目からはめちゃくちゃ涙が出ていた。

 これは悲しみでも、まして怒りの涙でもない。


 悔し涙ってやつだ。


「わたくしだって……わたくしだってぇえええ……!」


「わ、わかった! わかったから揺らさないで、ノマちゃん!」


 肩を揺らされ、視界が揺れる。ノマちゃんの情緒はもうめちゃくちゃだ。

 そんな私たちを見て、シルフィ先輩とサテラン先生は呆れたようにため息を漏らし……一方のアルテミィミスさんは笑っていた。


「ほほほ、なんと賑やかじゃのぅ。学友とはこうあるべきじゃ」


「本当にこうあるべきかな……」


「ふむ……それにしてもノマ・エーテン学生。お主(んし)、不思議な身体をしておるの?」


「へ?」


 じっ……と、アルテミィミスさんはノマちゃんを見つめる。

 その視線を受け、ノマちゃんは動きを止めた。そして、自分の身体をキョロキョロと見る。


 いったい、アルテミィミスさんはなにが言いたいのか。けれど、その言葉に私は心当たりがあった。


「ふ、不思議ですか?」


「うむ。見ただけでは、はっきりとはわからんがの」


 これは……もしや、ノマちゃんの体内の魔力のことを言っているんだろうか。

 人には誰しも魔力が流れている。それは、当然一人に一種類の魔力だ。


 だけどノマちゃんは、とある理由から元の魔力が別の魔力と混ざってしまったのだ。

 それを知っているのは、限られた人間だけだけど……


 もしかして、アルテミィミスさんはそのことを言っているのだろうか。


「どこか、身体の調子が悪いとかはないかの?」


「は、はいっ! この通り、元気ですわ!」


「そうか……」


 これは、あんまり大っぴらにしないほうがいいんだよなあ。アルテミィミスさんはともかく、ここには先輩と先生もいるわけだし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。