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【二年生編】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第十七章 "七帝魔導士"との出会い

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第1282話 大丈夫だけど大丈夫じゃない



 トイレの中から聞こえた悲鳴。それは、アルテミィミスさんのものではなかった。

 さっき、確かにアルテミィミスさんがトイレに入った。今は授業中とはいえ、先客が居てもおかしくはないけど……トイレで悲鳴って、どんな状況だ。


 というか……この悲鳴、いや声って……


「フィールド、行くぞ。ドラミアスはここで待機」


「はい」


「あ、は、はいっ」


 なんにせよ、悲鳴が聞こえたのだ。このまま放置ってわけにもいかないよね。

 とはいえ、いくら緊急事態でも男のシルフィ先輩が女子トイレに入るわけにもいかない。ま、この場に私や先生が居るから任せてもらえばいいわけで、男の人しか居なかったら四の五の言ってられないけど。


 三人居るし、全員がトイレに入っても仕方ない。シルフィ先輩には外で待機してもらって、私と先生はトイレに踏み込んだ。

 まさかトイレで事件? アルテミィミスさんは無事なのか? いろいろな考えが巡っていく。


 そして、入った先に居たのは……


「アルテミィミス様、ご無事で……」


「は、はわ……はわわわわきゃあぁあああ……!」


「……ノマちゃん?」


 アルテミィミスさんと対面し、悲鳴を……黄色い声を上げているのは、ドリルのようなブロンドヘアをした少女。

 つまりノマちゃんだった。


 私も先生も、キョトンとしてしまう。聞き覚えのある声だとは思っていたけど、まさか本当にノマちゃんだったとは。

 そしてキョトンとしているのは、アルテミィミスさんも同じだ。


「はぅわぁああ……ま、まさかこのようなところで、お会いできるなんてぇ……!」


 さっき生徒全員と会ったとはいえ、あんなの会ったと言うか見ただけだ。それでもノマちゃんは感動していたけど。

 だけど今、憧れの人と……こんな場所だが至近距離で会っている。


 どうやら他に人はいないみたいだ。


「……とりあえず、問題はなさそうです」


「……そうか。あの、アルテミィミス様、いったいなにが」


「それが、用を足して個室から出てきたところ、ちょうど同じく出てきたこの娘と遭遇してのぉ。そうしたら、先ほどの悲鳴じゃ」


「なるほど。……とりあえず、外に出ましょう」


 いつまでもトイレの中で固まっているわけにもいかない。それに、シルフィ先輩も外で待たせているし。

 そのため先生、アルテミィミスさんと続いて外に出る。もちろん、トイレを出る前に手洗いは忘れずに。


 私も歩き出そうとするのだけど……


「……ノマちゃん?」


 ノマちゃんが、なぜか固まったまま動かないのだ。

 どうしたのだろう。まさか漏らしたわけじゃないだろうし。


 するとノマちゃんは、錆びたロボットのような動きで私を見た。


「フィフィフィフィールドさん……」


「え、私いつからエラン・フィフィフィフィールドになったの」


「そうじゃありませんわ!

 ……はぁー、まさかこのような場所で、ビビアン・アルテミィミス様にお会いできるなんてぇ……感激です!」


 そうか……さっきから足が震えているのは、感動しすぎているせいか。

 ノマちゃんにとって、アルテミィミスさんは尊敬している人だ。特別な人だ。そんな人と、なんの心構えもなしに対面してしまった。トイレで。


 その驚きがノマちゃんから冷静な判断を奪い、ただ叫ぶことしかできなくなってしまった、と。


「気持ちは察するけど……とりあえず、ここから出ようよ」


「そ、そうですわね……も、申し訳ありませんフィールドさん、手を貸してください」


「えぇ……」


 どんだけ震えてるんだよ足。

 仕方ないので、文字通り手を貸す。正直トイレ直後に手を握りたくはないんだけど……友達が困っているんだ、やってやるさ。


 まるで生まれたての子鹿のようなノマちゃんを支え、一歩一歩歩く。


「そういえばノマちゃん、あの姿でよくアルテミィミスさんだってわかったね」


 子供の姿なのに。


「当たり前ですわ! このわたくしが、アルテミィミスの姿を見違えることなどありえません!」


 ありえない、とまできたか。すごい自信だ。

 あのボンキュッボンとは全然違う姿なのに……いや、でもそういえば、校内を歩いている時もいやに視線を浴びていたっけ。それって、この子供がアルテミィミスさんだとわかってのもの。


 もしかして、わかってなかったの私だけ……?


「……」


 トイレを出る前にはもちろん手を洗い、そしてついに外に出た。


「ふぁーっ」


 トイレを出た先には、先生に先輩……そしてアルテミィミスさんが立っていた。

 その姿に、ノマちゃんはまたも声を上げるのだった。どっから出しているんだその声。


 当のアルテミィミスさんは、やはりキョトンとして目をパチクリさせているが。


「あぁ、あぁーっ……尊い……」


「のぅ、この娘は大丈夫なのか?」


「大丈夫じゃなくなりそうですね」


 今まで、片想い相手のコーロランの話をするときも変なテンションになるときはあったけど……今回は、正直異常だ。もう穴という穴から体液を流しそうな……


 って、ホントに涙流してる!?


「うぅ、嬉しくて涙が……」


「はは……」


 こっちもどんな気持ちでいればいいのか、わかんないや。

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