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【二年生編】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第十六章 二年生突入編

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第1082話 私はまだまだ



 私を囲う雷の檻。この中に閉じ込められたら、身動きなんて取れなくなる。

 その隙に、フェルニンさんはトドメとなる攻撃を放つ……そのつもりだったんだろう。


 だからこそ、私の行動に驚いた様子でいる。


「うびっ……びびびび!」


 雷の檻を抜けるため、私は自ら雷に突っ込んだのだから。

 身体強化の魔法で身体を守っている。とはいえ、相手は魔術……いくら魔力を高めても、防げるダメージには限界がある。


 だから、雷に衝突した瞬間、身体に電撃が流れていく。ビリビリと衝撃が走り、変な声が漏れてしまう。


 それでも……


「うぅ……ぜいや!」


 私は根性で耐え、無理やりに雷の檻を突破する。

 身体は痺れ、ダメージがないとは言えない。それでも……


「っ、どりゃあああ!」


「ぐっ……!」


 虚を突かれているフェルニンさんの頬へと、拳を打ち付ける。これも寸前に身体をそらされたためか、もろには入らなかった。

 それでも、地面に向けて吹っ飛ばしていく。


 落ちていくフェルニンさんだったけど、地面に衝突する前に風魔法で体勢を立て直し、うまく着地する。

 吐血し、しかしそれを軽く拭うと立ち上がる。私をじっと見据えたまま。


 私もまた、フェルニンを見据えて構え、上空から一気に飛び込んでいき……


「そこまで!」


 ……大きな声が響いた。重々しく、それでいて周囲に響き渡る。

 ただ、加速しているため急には止められない。このままじゃ、フェルニンさんにぶつかって……


「ふんっ!」


 ドンッ……と、なにか重いものに受け止められた。

 それは、ギルドマスターだ。彼が出てきて、加速落下していた私を受け止めたのだ。


 それから、私をぽいっと投げた。私は驚きながらも、着地する。

 受け止めてくれたお礼を言えばいいのか、投げられた文句を言えばいいのか。


「両者そこまでだ。いやあ、いいもん見せてもらった」


 私とフェルニンさんを交互に見ながら、ギルドマスターはガハハと豪快に笑っていた。

 まだ決着はついてない……けど、元々ほどほどにやれとは言っていた。


 うぅ、まだ身体がビリビリする……


「いやぁ、驚いた! Aランク冒険者とここまでやりあえるとはな! どうだフェルニン、感想は!」


「……相手は学園の、それも生徒。魔導士見習いです。魔導士は接近戦に弱い、大人げないがその弱点をつかせてもらったが……ああも適切に対応してくるとは」


 魔導士への対策は、魔導を使わせないこと。実際、魔導士は魔法や魔術を鍛えるのが第一で、身体を鍛えることなんてしない。

 だからこそ、魔法の基礎である身体強化魔法を極める人はいないのだ。他の魔法に時間を割きたいし、身体を強化しても意味を感じないからだ。


 ただ私は、師匠から習った。魔導士は魔導はもちろん、肉体を鍛えてこそ一流だと。

 ダルマスとの決闘では身体強化で翻弄したし、私にその弱点は効かない。


 それでも、魔法を撃てないって弱点を見事に使われてしまった。


「やっぱり、フェルニンさんは強いや」


「いや、エランちゃんこそ。その年でその腕前……思わず嫉妬してしまうくらいだ」


 フェルニンさんの言葉に、おそらく嘘やお世辞はない。

 本音で言ってくれるからこそ嬉しいし、なんだか自分の自信にもなるのだ。


 その場に、パチパチパチ……と手のひらを叩く音が響く。

 ギルドマスターだ。ガルデさんとリーメイも続けて。


「まったく、見物してるのが俺たちだけなのが、もったいねえくらいだな! しかしどうだいお嬢ちゃん、本格的に冒険者になってみる気は! かなり良いところいけると思う……いやいけるぜ!」


「嬉しい評価だけど、遠慮しておくよ」


 この人も、嘘やお世辞は言っていない。

 嬉しいことを言ってくれるけど、私の気持ちは変わらない。


 二人は褒めてくれるけど、自分でわかった。私は、まだまだだ。

 学園に入学してから、対人戦の経験も重ねていった。それでも、手練れの冒険者相手には後手に回ってしまう。


 身体を鍛えていたおかげで、どうにか立ち回れたけど……


「私には、まだ経験が足りないと思うから」


「殊勝なこったね。ま、焦ることはない……ウチはいつでも、冒険者を募集してっからな!」


 親指を立て、歯を見せて笑ってみせるギルドマスター。その笑顔は、本当に私を歓迎してくれているのだ。

 ただ、顔が怖い。純粋に。顔で損してるタイプだ。


 その後、ガルデさんやリーメイからもお褒めの言葉をもらった。

 まったくもう、褒めてもなんにも出ないんだからね!?


 ギルド内へと戻ると、ギルドマスターは真剣な表情を浮かべた。


「それじゃ……今回の報告、こちらで改めて調べてみることとする」


「よろしくお願いします」


 ダンジョンの異変を、調査してくれる。そう約束して、ギルドマスターはフェルニンさんと握手を交わす。

 さらに、私にも手を差し出した。なので、それに応える。


 手を繋ぐと、がっしりとした大きな手にまるで包まれているようだ。

 そして、手を通じてわかるのは……この人、かなり強いってことだ。さすがは冒険者ギルドのトップってところか。


 この人とも、いつかは……と、そんな気持ちが自分の中に生まれていた。

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