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【二年生編】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第十六章 二年生突入編

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第1073話 氷漬けの洞窟内



 周囲を、静寂が包み込んでいた……なんて表現は、なんだか詩的でかっこいい。

 でも現実は、パキパキ……と、氷の割れる音が響いている。洞窟内だから、小さな音でもよく響く。


 こうして周囲が氷漬けになっている原因は、同じく氷漬けになっている魔獣にある。

 こいつを凍らせ、倒す。そのために、火属性と水属性を織り交ぜた魔術を使ったのだ。


「す、すごい、な……」


 あっけにとられた様子で、フェルニンさんは言葉を漏らした。

 自分も魔導を使えるからこそ、この魔術のレベルがわかるのだろう。単体属性ではなく、複数の属性を混ぜた魔術。


 初めて学園で魔獣を倒した時に使った魔術だけど、成功してよかった。

 使った後に気づいたことだけど、これならば魔力量の多いダンジョン内であっても、被害は少ないはずだ。こないだの、火属性魔術で大爆発みたいに崩落の危険も少ないだろう。


 人も間違えて凍らせてなんていない、そのあたりの調整くらいはできるよ。

 ただ……


「え、エランちゃん……ち、ちょっとさむ、寒くないかな!?」


 腕を擦るガルデさんの言うように、めちゃくちゃ寒い。

 辺りを氷漬けにしたのはよかったけど、やっぱりダンジョン。自分が思っていた以上の力が出た。


 おかげで魔獣は凍ったけど、凍る規模も広がりすぎてしまった。洞窟内だから余計に気温が下がった……ってのもあるかもね。あちゃーっ、だね。


「仕方ないだろう、こうするのが一番の手だというのなら……へくちっ」


 フェルニンさんも、寒さには耐えられないらしい。

 それにしても、可愛らしいくしゃみをするなぁ。


「ったく……カッコつけてんじゃねえよ。お前も寒いんだろ」


「うるさいっ。

 ……ふぅ」


 そのままフェルニンさんは、指先に火の玉を灯す。身体を温めるには、これが一番だ。

 若干ガルデさんに見せつけているように見える。ガルデさんは魔導使えないからね。


 さて、問題は……この魔獣を、どうするかだね。


「エラン、この魔獣どうするノ?」


 私の隣に立つリーメイが、問いかけてくる。

 学園の制服に身を包んでいるリーメイだけど、初めて会ったときは……上半身はほぼ裸みたいな格好だったもんなぁ。今ではすっかり見慣れたけど、インパクト強かったしたまに思い出す。


 そんなリーメイは、寒がっている様子はない。泳げなくてもよくウミの中に浮いていたらしいし、冷たさには慣れているのだろうか。


「本当なら、このまま壊したいところなんだけどね」


 凍った魔獣は、動く様子はない。当然だ、私の自慢の魔術……それに、ダンジョン内だから威力も上がっているし。

 ずっとこのまま置いておけばさすがに自然に溶けてしまうだろうけど、短時間では無理だ。周りも凍って、冷え冷えだしね。


 だけど、ずっとこのダンジョン内に放置しておくつもりはない。放っておいたら氷が溶けてしまうのだから放置する理由はないからだ。

 となると、すぐに壊してしまう。元々そのつもりだったしね。


 ただ、実際にこうすることができると、欲も出てしまうもので。


「こいつを、ギルドに連れて帰れないか……そう思ってるんだろ?」


 と、私の考えていることを当てたガルデさん。

 その通りだ。倒しても復活する魔獣……こんなの、多分誰も見たことがない。調べることが必要だ。


 魔獣を調べるのは骨だけど、なにかわかることがあるかもしれない……


「そうしたいんだけどねぇ」


「……大きさから見て、無理だろうな」


 フェルニンさんが言うように、大きさの問題がある。

 一階層へ登るための階段。そこは、人一人が通るくらいの幅しかない。そこを、大人の人間より一回り以上大きい魔獣を連れて登るのは無理だ。


 それに、凍ったままの魔獣を連れて移動するなんて……割れて壊れちゃうよ。


「ならもう、最初から壊したほうがいい……かな」


「そうだな。報告は、私とガルデに任せてくれ。この目で見たこと、戦いの中肌で感じたこと……そのすべてを伝える」


 剣を構え、フェルニンさんは頼もしいことを言ってくれる。実物が持って帰れないのなら、見た人がそのまま伝えてくれるしかない。

 もしも、この現場の光景を形に残すことができる魔法……なんてものがあればいいけど、さすがに無理だろうな。


 二人に任せることにしよう。ギルドから信頼も厚いガルデさんや、Aランク冒険者のフェルニンさんの言葉ならギルドも信じてくれるだろう。

 私たちはそれぞれ顔を合わせ、うなずく。そしてフェルニンさんが飛びかかり……


「はぁああ!」


 火の剣を鋭く振り下ろし、それは魔獣の脳天へと直撃する。

 その直後……バキバキと氷はひび割れ、大きな音を立てて氷の彫像となった魔獣は砕けた。


 その場に崩れ落ち、まるで山が崩落するように氷の欠片は地面へと転がっていく。それらは、しばらくその場に残っていたけど……徐々に、黒いもやが発生する。

 消えていく。魔獣の身体が、消えていく。


 周囲を見たけど、そのどれもが消えていく。本来魔石を残して魔獣の身体は消えるけど……凍っている上に火に包まれているからか、魔石も消滅していく。


「……」


 今まで試したことはなかったけど……魔石も、壊そうと思えば壊せるんだな。

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