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【二年生編】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第十六章 二年生突入編

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第1071話 魔獣の魔石



 魔獣の首元に、杖の先端を突き付ける。

 もしもこれが人相手なら、これで決着……降参を勧めるところだ。


 でも、相手は知性のない魔獣。その証拠に……


「グ、オァオオ……!」


 呻き声を上げ、なにか行動を起こそうとする。

 腕を動かす? 口から魔法を放つ? ……どっちでもいい。


 そう、どっちでもいい。だって……


「さよなら」


 自分の魔力を込め、生み出した風の刃で……放ったそれで、魔獣の首をぶった斬ったからだ。


「ッァ……!」


 魔獣の声は、プツッと切れた。当然だ、声を発生させるための気管が、声を発生させるための部位と切り離されたのだから。

 まるでボールが飛ぶように、首も飛ぶ。魔獣とはいえ、見た目だけは人に似ているのが質が悪い。


 それは相応の重量を持っているため、すぐに落下し……ドンッと嫌な音を立てて地面に落ちた。


「……やった、か?」


 ぽつりと、ガルデさんが呟いた。

 ぶっちゃけそれはフラグなんだけど……そう言いたくなるのもわかる。なんせ、首を斬り落としたのだから。


 相手は人ではない、魔物でもない。魔獣だ。知性のない、魔法を使う魔物……その生態は不明な点が多い。

 だけど、それが生物である以上……首を落とされれば死ぬ。それは生き物としての証でもあると思う。さっき首が生えてきたけど、あれは口から生まれ出ていたし……


 その証拠に……


「消えていく……」


 フェルニンさんが呟く。その言葉通り、倒れた魔獣の身体が黒いもやとなって消えていくのだ。

 魔物、魔獣は揃って、絶命するとその場から消滅する。だから解剖して生態を調べるとかは難しいのだ。


 その代わり……と言っていいのかわからないけど、ちゃんと倒せたのかの判断はしやすい。

 中には、死んだふりをしてこちらの隙を伺ってくる妙に賢いモンスターもいるから。


 魔獣が消滅したことで、力がどっと抜け……その場に、座り込む。


「ふぅうー……」


「エラン!」


 リーメイが心配した声で駆け寄ってくれる。ガルデさんとフェルニンさんも同様に。

 揃って、みんな無事だ……魔獣を相手に、重傷者はなし。すごいや。


「すごいなエランちゃん、まさか魔獣を倒しちまうなんて!」


「いやあ、みんなの力があったからこそだよ……」


 これは、本当にそうだ。魔獣を相手に、一人じゃこうはいかなかった。

 今回こうもあっさりいったのは、手練れの冒険者が二人……そして水の魔法がすごくうまいリーメイがいたからだ。


 それに……あの魔獣が、なぜか私に注視していたから隙ができていたのも大きい。あれのおかげで、魔獣に対して三人が自由に動けたもんな。

 それにしても……


「変な魔獣だった……」


 どっと息を吐く。あんな、ゾンビみたいな魔獣見たことないよ。

 まあ魔獣なんて頻繁に見かける存在ではないから、探してみればそういうのもいるのかもしれないけど……少なくとも、魔大陸でも見たことのない個体だ。


 とにもかくにも、勝てた。それが今は一番だ。


「さすがに、これ以上の探索は無理そうだな」


「そうだな。少し休憩したら、ダンジョンを出ましょうか」


「はーイ」


 魔獣相手でも、魔術を使わずに勝てたのは良かった。魔獣を倒すために使って、みんなに被害が出ちゃったら大変だもんね。


 少し休憩した私たちは、揃って一階層への階段を目指す。魔獣が残した魔石は、もちろん回収する。

 魔物が落としたものより、一回り大きい。やっぱり、強ければそれだけ上質な魔石を落とすのか。


 この件は、ギルドに報告するとのこと。

 ダンジョンにどんな変化があったか、どんな生き物がいたか……特に目立ったものは、冒険者はギルドに話したほうがいいのだ。


 道は覚えている。ゆっくりと、来るときと同じように……いや来るとき以上に警戒しながら、階段をのある場所へと戻った。


「よし。では、降りるときと同じように私が先頭を行く。ガルデは最後尾だ」


「わかってるよ」


 フェルニンさんは、その一歩目を階段の段差に乗り上げる。それを確認して、私も一歩を踏み出そうとして……


 ……ポケットの中が、ざわついた。


「……!?」


 とっさに私は、ポケットの中に仕舞っていた魔石を取り出し、投げ捨てる。

 魔獣から回収した魔石だ。ガルデさんもフェルニンさんも、私が持っていていいと言ってくれたから持っていたのだ。


 私の挙動に、三人の首が動く。魔石を投げ落とした音がダンジョン内に響いた。


「どうした、エランちゃん」


「いや……」


 いきなり魔石を投げ捨てたことに、疑問を浮かべるのも当然だ。

 私も、なんでそんなことをしたのか……と聞かれたら、うまく説明できる自信がない。


 ただ……変だから。そうとしか言えない。


「……!?」


 その時だ、魔石が光ったのは。それも、白く光ったわけではない……黒い光だ。それが魔石から出ている。

 まばゆいとまでは言わないけど、光とわかるそれが。みんなの目は、吸い寄せられる。


 そして……次なる変化は、誰もが言葉を失った。


「グォ、アォ……!」


「!?」


 魔石の光がいっそう強くなり、かと思えば黒いもやが発生し……魔石を包み込む。

 そして、もやが肉となり形を成して……声が聞こえた。唸り声が。


 まるで魔石を核にするように……そこには、先ほど消滅したはずの魔獣と同じ姿の存在が立っていた。

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