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【二年生編】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第十六章 二年生突入編

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第1063話 下へ参ります



 ダンジョン、その二階層に続く階段。

 目の前には、地面にポッカリと、穴のようなものが空いている。それは下へと続く階段だ。下は、暗くて先が見えない。


 これが、ダンジョンの……まだ見たことがない姿か。


「ここが、二階層の入り口だ。二階層にまでなら降りてもいいとはいえ、無理はしなくてもいいんだぜ?」


 穴を覗き込む私に、ガルデさんが聞いてくる。

 それは、単純に心配から来るものだ。


 私にとって初めてのことだ、心配してくれるのは当然なのかもしれない。その心配がありがたい。

 でも……


「ううん、大丈夫。私は平気だよ」


「リーもー!」


 私は平気。その言葉の後に、リーメイに視線を向けた。

 するとそれを理解したリーメイはにっこりと笑い、うんと腕を上げた。たはは、本当にわかっているんだか。


 ともあれ、気合いは充分。ガルデさんもフェルニンさんも、それはわかってくれたようだ。


「先頭は私が行く。続いてエランちゃん、リーメイちゃん……最後尾はガルデだ」


「了解」


「オー」


「わかった」


 まずはAランクの冒険者であるフェルニンさんが先頭。学園生徒の私とリーメイを挟むようにして、最後尾はBランク冒険者のガルデさんが歩く。

 二人並んで歩く幅のない狭い通路の中では、前後に気をつければいい。そのため、場馴れしている二人に前後を任せる。


 フェルニンさんは魔導の杖を取り出し、魔法で明かりをつける。やっぱり冒険者で魔導士ってかっこいいなぁ。

 私が明かりをつけようかとも提案したけど、先頭だからこそ明かりは自分がつけたほうがいいらしい。


 ……慎重に階段を降りる。壁伝いに歩けば、転び落ちてしまうことはないだろう。


「わー、なんだか冷たいねェ」


 リーメイの言うように、確かにちょっと肌寒い気がする。

 石造りのダンジョンで、地下に潜っているからだろうか。コツコツと靴音が響く。


「この通路、モンスターや魔物が通ることはないの?」


 ふと、気になったことを聞く。

 ダンジョンではモンスターが自然発生するだとか、モンスターは魔石を食べると魔物になるとか……下の階層には、それらが闊歩している。


 それが、こういう通路を通って上の階層に行くことがあるんじゃないのか。もしかして、本来居ないはずの一階層に魔物が居たのは、下の階層から上ってきたからじゃないのか。

 そう思った。


「どういう理屈かはわからないが、モンスターや魔物は生まれ落ちたその階層から移動することはないんだ。

 階層を上ることも、下ることもしない」


 けれど、ガルデさんが答えてくれる。私の疑問は、あっさりと解消された。

 根本的なことはわからないとはいえ、冒険者のガルデさんが言うなら間違いないだろう。そうか、モンスターや魔物は階層を移動しないのか。


 ま、そんなことができるなら……以前一階層に現れた魔物に、ガルデさんたちが驚くこともないか。


「……」


 あと、思った。モンスターは魔石を好み魔石を食べる。すると当然、魔石の数は減る。

 魔石はダンジョン内で自然発生するとはいえ、頻度だって多くはないだろう。


 ってことは、私が思ってるよりも魔石採取って簡単じゃないんだな。

 本当に、モンスターや魔物の居ない一階層にあんなに魔石があったこのダンジョンが、特別なんだ。


 そんなことを考え、暗闇を紛らわせるために会話して……そして、しばらく歩くと……


「……着いたようだ」


 前を歩いていたフェルニンさんが、言う。

 階段を終え、平面に降り立ったようだ。私たちに気をつけるように言い、周囲を見る。


 私も、周囲を見た。


「おぉ……」


 見た感じ、一階層目とあまり変わらない。洞窟の中なんだから、わかりやすい変化はないんだろうけど。

 それでも、周囲を照らす魔石の明かりは、一階層より強い気がする。おかげで魔法で明るくしなくても良い。


 リーメイ、ガルデさんも降り立った。


「ひっさしぶりだなぁ、ここに来るのも」


「ガルデさんは、来たことあるんだ」


「ずいぶん前にな。あの日の異変を見たのは俺たちだから、調査のためにもはじめのうちはしょっちゅうな」


 あの日……私たちとダンジョンに潜った日か。

 ガルデさんやヒーダさん、ケルさんも一緒だった。ということで、三人はちょいちょい呼ばれていたようだ。


 なんせ、あの異変を見た数少ない冒険者だったのだから。


「……出来たばかりのダンジョンに、"魔死者"がいて……居るはずのない一階層目に魔物がいて……」


 ……"魔死者"は、人間が体内に魔石を取り込んでしまったことで発生する。そのほとんどは、死に至る。

 魔石のたくさんあるこのダンジョンなら、そんなことが起こっても不思議ではない。もちろん、自分から魔石を食べようなんて人はいないだろうけど。


 なんで、出現して間もないダンジョンに人が足を踏み入れられたのか。あの魔物は、いったいなんだったのか。

 原因は、結局わかっていない。


「ここからは、モンスターや魔物が出てきてもおかしくはない。気をつけるように」


 フェルニンさんの言葉に、私たちはうなずいた。

 これまで、魔導学園の中でほとんど活動してきた。たまにこうして、ダンジョンにも入らせてもらうことや、国の外に出ることはあったけど。


 なんだか、不思議な気分。背中がゾワゾワするような、血が冷たくなるような……そんな感覚がある。

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