第1058話 新メンバー加入!
「……というわけで、生徒会のメンバー候補二人を連れてきました」
「……」
扉をノックすると、すでに部屋の中にはシルフィ先輩がいたようで。
返事が返ってきたのを確認してから、私は扉を開ける。今回はちゃんと返事を待ったさ!
そして、私たちは生徒会室に入る。私、マヒルちゃんに続いて……初めて足を踏み入れた二人の生徒。
その二人を、シルフィ先輩に紹介したわけだ。
「……まさか、こう来るとは」
「あれ、どうかしました?」
数秒の無言のあと、シルフィ先輩は頭を抱えていた。けど、あまり深刻な感じはしない。
まるで『またこいつやりやがったのか』って雰囲気だ。私がなにをやったって言うんだ。
「私、またなんかやっちゃいました?」
「いや、そういうわけではないが。……そっちのアレクレス・ルーランドは、元々俺が勧誘しようと思っていた生徒だ」
シルフィ先輩の視線が、ルーランドに向く。
さすがに最上級生相手だからか、それとも私とは雰囲気が違うのを感じてか、おとなしくしている。後者だとしたら失礼しちゃうよね。
まあ、初対面からタメ口で接しようものなら、どうなってしまうかわからない雰囲気を出している先輩だけど。
「って、もしかして先輩が、目をつけていた新入生って……」
「そうだ」
それぞれメンバー集めをする際、シルフィ先輩はいくらか期待できそうな一年生がいる、みたいなことを言っていた。
その一人が、私と決闘したルーランドだったということか。
つまり、シルフィ先輩に目をかけられるほどの一年生を連れてきた私の目に、狂いはなかったと。ふふん!
ま、決闘を挑まれてからの流れだけどね!
「そりゃ、手間が省けてよかったじゃないですか」
「今日の放課後……つまりは今くらいの時間に、尋ねてみるつもりだったんだ」
それはそれは。手間が省けて良かったじゃないかと喜ぶべきか、シルフィ先輩の出番を取っちゃってごめんなさいするべきか。
まあやっちまったもんは仕方ない。
それからシルフィ先輩は、呆れたように私を見た。
「しかし……生徒会に来ることになった理由が、まさか決闘とは」
ゴルドーラ様の件を思い出す……と、つまらなそうに呟くシルフィ先輩。
あの人が卒業しても、まだ私に対してゴルさん関係で厳しいよなー。もういいじゃん。
……とりあえず、決闘の要求で生徒会に入ってと言ってしまい、私が勝手にそこまでしていいのかと思わなかったわけじゃないけど……シルフィ先輩も元々目をつけていたのなら、いらない心配だったな。
「まあ、いいか。
……放置してしまってすまないな。生徒会会長、三年のシルフィドーラだ」
「……一年、アレクレス・ルーランドです」
立ち上がり、ルーランドの前まで移動したシルフィ先輩は手を差し出す。
その手をルーランドが取り、二人は固い握手を交わした。
おぉ、これで新メンバー一人追加かぁ。
そして、もう一人……
「キミは……カリナ・ドーダンだったか」
「はい!」
シルフィ先輩の視線を受け、カリナちゃんは元気に返事をする。
うんうん、元気なのはいいことだよね。それだけで、場が華やかになる!
まだ「カリナちゃん」としか教えていないはずだけど……生徒会長として、そしてゴルさんの後釜として、頑張っているってことだろう。
一年生全員の顔と名前を覚える努力をしていても、不思議ではない。
「キミは、自ら生徒会に志願したと?」
「はい!」
びしっ、とカリナちゃんは気をつけをする。実にいい姿勢だ。
「それは、いい心がけだな」
そういえば生徒会って、これまでほとんどが勧誘だって言ってたな。私の知ってるので実際に志願したのは、ゴルさんとリリアーナ先輩くらい。
勧誘されず、自分から手を上げるなんて。これは期待できるのかもしれない。
シルフィ先輩はどう考えているか、よくわからないけどね。
「生徒会の仕事については、生半可なものではない。覚悟はあるのか」
「はいっ、もちろんです!」
自信満々に、カリナちゃんは答える。
シルフィ先輩から見ても、これだけ自信満々に言われれば気持ちいいだろう。
そんな熱意ある相手を拒む理由は、どこにもないだろう。
「よし、ならばいいだろう。カリナ・ドーダン……キミを生徒会役員として認めよう」
「ほんとですか! やったー!」
無事に、生徒会長から生徒会入りの許可が出た。
それがよほど嬉しいのか、カリナちゃんはその場でぴょんぴょんと飛び跳ねていた。
本当に生徒会に入りたかったんだな……っていうのが、伝わってくる。
「ただし……生徒会役員に足る実力があるとわかれば、な」
それからシルフィ先輩は、目を細く鋭くして……告げる。カリナちゃんにも、若干の緊張が走った。
それから、生徒会業務の説明……なにより、各々いったいなにが向いているのか。それを確認する作業に入った。それは二人だけではなく、マヒルちゃんも含めてだ。
今回から生徒会に入る、という意味では、マヒルちゃんも一緒なのだから。
「うぅ、緊張する」
「大丈夫、マヒルちゃんならできるよ!」
「う、うん……」
とは言うけど、やっぱりどこか不安そうだった。




