第1057話 さあ生徒会へ!
さて、放課後がやってきた。私はこれから、やることがある。
クラスのみんなと、名残惜しいけど別れ……教室を出て、別のクラスのマヒルちゃんと合流。そして向かう先は、一年生の教室だ。
階段を歩き、階層を移動。
すると、そこには目当ての人物が待っていた。
「あ、いたいた。教室で待ってくれてたらよかったのに」
「別に、ここにいた方がわかりやすいだろ」
教室は、一本道に並んでいる。
そのため、道の始まり部分に立っていれば、すぐに見つけることが出来る。
そこに居るのは、赤い中に茶色が混ざった髪色の男の子。大きな目は鋭く、右目には引っかき傷のようなものがある……アレクレス・ルーランドくんだ。
彼とは決闘を挑まれ、そして負かした関係だ。
そして勝者である私の要望を彼が聞くことになったわけで、それと言うのが……
「生徒会、か」
「ん、そう。これから行くよー」
生徒会に入ってよというもの。
かつてゴルさんが私に言ったものと、同じだ。まあこんな優しい言い方じゃなかったけどね。
彼には、才能がある。入学していきなり私に挑むだけあると言うか、ただの威勢だけの子供じゃない。
「しかし、いいのか。別に今更嫌だとごねるわけじゃないが……入学したばかりの一年生が、生徒会なんて」
「上級生に、入学したばかりの一年生が挑む気概がある。それだけでも、生徒会に入る素質はあると思うよ」
「そ、そう?」
マヒルちゃんは困惑した様子だ。
そんな彼女の言葉に、ルーランドは視線を向ける。マヒルちゃんは「ひっ」と声を漏らして、私の背中に隠れる。
……まあ、一年生とはいえ……ルーランドの見た目完全に怖い人だもんなぁ。
「……あんたも黒髪なのか」
ルーランドって、私のこと黒髪黒目って印象で声かけてきたんだよね。そして、決闘を挑んだ。
一歩間違えれば、マヒルちゃんが絡まれていた可能性もあったのか。危なかった。
……そういえば、一年生の階層に黒髪上級生が二人も居たら、目立つよなぁ。カツアゲでもしてるんじゃないか疑われていないか心配だ
「ルーランドはマヒルちゃんを威嚇しないの。マヒルちゃん、怖くないよ」
「威嚇はしていないが」
とりあえずマヒルちゃんを落ち着かせる。
頭を撫で、「だ、大丈夫だから」と恥ずかしそうに、言う姿を確認し、準備オーケーなことを確認して……
「あ、あのっ」
そんなときだ。ルーランドの後ろから、明るい声がした。
ひょこっと顔を出すのは、確かカリナ・ドーダンちゃん。ルーランドの幼馴染の女の子だ。
短めの赤い髪は、燃える炎を思わせる。同じく真っ赤な瞳を持ち、勝ち気な性格でもある。
そんな彼女が、この場所にいることは不思議ではない。一年生の教室があるのだから。けれど……なんで、ルーランドと一緒にいたのだろう。
「あのっ。私も……生徒会に、入らせてもらえませんか?」
なにを聞くよりも先に……カリナちゃんが、口を開いた。
それは、私も予想していなかったものだ。隣でマヒルちゃんも、あんぐりと口を開いている。
せ、生徒会に? 自分から志願?
そりゃ、やる気のある子が入ってくれるのは、ありがたいけど……
「でも、どうして?」
……はっ! もしかして、ルーランドが生徒会に入るから、一緒に居たいと思って!?
「実は、生徒会というものに興味があったんです。学園に入学する前から」
少し恥ずかしそうにしながら、カリナちゃんは言う。
どうやら、甘酸っぱい理由ではなかったようだ。ルーランド、ドンマイ!
「……なんでそんな生温かい目で俺を見るんだ」
「気のせいだよ」
ふむ……ルーランドの場合は、決闘をしてその実力や才能を見て生徒会に誘った。
けれど、カリナちゃんはどうだろうか。自ら立候補するってことは、自信があるのだろうか。
冷やかしをするタイプには見えないし……それに、口は悪いけどどこか真面目に見えるルーランドが、なにも言わない。
ルーランドも、カリナちゃんが生徒会に入りたいことを知ってたってことだろうけど……止めないってことは、カリナちゃんに問題はないってことか。
うーむ……
「ねえ、とりあえずは先輩に会わせてみたらいいんじゃない?」
「……そうだね」
小声で囁くマヒルちゃんに答える。
どっちみち、シルフィ先輩に話を通さないことには始まらない。私たちだけで決定はできないしね。
ルーランドの件はまあ……それはそれ、これはこれで。
「それじゃ二人とも、これから生徒会室まで案内するから。着いてきて」
「はいっ」
「おう」
二人の返事を聞いて、私は先頭を歩く。
その間も、カリナちゃんからいろいろ聞かれたりする。生徒会に興味があるだけあって、やたらと積極的だ。
一方のルーランドは、周囲を観察するように歩いていた。まだ入学したばかり、迷子にならないようにしないとね。
私も、入学したばかりの頃は迷っちゃったなぁ。目的の場所と全然違う場所に行っちゃったんだもん。
ま、そのおかげで当時二年生だった先輩と知り合って、仲良くなれたんだけどね。
魔導具を作っている人で、ゴルさんとの決闘でも魔導具を貸してもらい、力になってくれたっけ。
「さ、着いたよ」
そんなこんなで……生徒会室に、たどり着いた。




