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【二年生編】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第十六章 二年生突入編

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第1045話 不慮な事故で



 そうだ、せっかくの数少ないエルフの子。普段は聞けないようなことを、聞いてみよう。


「そのラッヘのことなんだけど、記憶を失ったのは……魔大陸で、限界魔力(オーバーブースト)を使ったせいじゃないかって予想してるんだ」


「限界魔力を……?」


 記憶を失ったのも、ある日突然……というわけではない。それにはちゃんとした理由がある。


 限界魔力という、エルフ特有の技。これは自分の魔力を極限まで上昇させる技のようだ。魔導はもちろん、身体強化をすれば身体能力も飛躍的に上がる。

 ただ、使用後は魔力体力ともに限界へと達し、回復までに長い時間を要する技でもある……自分の中の魔力を使い切るのだ、まさに諸刃の剣。


 その技に、記憶喪失になるなどのデメリットはない。けれど、ラッヘは実際に記憶を失った。

 魔大陸の環境は、エルフには居心地の悪いものらしい。そこで、そんな技を使ったことが原因なのではないか。


「なるほど……おそらく、その考え方で間違いないかと思います」


 一通りの説明をすると、カリュリアちゃんはなるほどといった様子でうなずいていた。


「魔大陸、とは話に聞いたことしかありません。なので、推測しか出来ません。

 邪精霊の好む地に、足を踏み入れようとするエルフはいませんから」


 エルフにとって居心地の悪い土地、それが魔大陸だ。反対に、ダークエルフにとっては好ましい土地でもある。


 その理由が、邪精霊の存在。魔大陸は精霊が嫌うため、エルフだけではなく私たちも魔術が使えないという点がある。

 一方、邪精霊が好み……そのため、相性の悪いエルフはその地で力を存分に発揮できない。


 ちなみに、邪精霊はダークエルフとのみ契約する。そして精霊はダークエルフとは相性が悪い。

 そのため、ダークエルフは一般的な魔術が使えない。その代わり、闇の魔術を使えるのだけど……まあ、この辺の話はややこしいから今は置いておこう。


「それで、なにか思い当たることとかないかな」


 今気にするのは、ラッヘの記憶に関する問題だ。

 まあ、実はすでに手がかりはあるのだけど……


「すみません、私では力になれなさそうです。その技自体、エルフ特有の技ですが、私は使えないので……」


「ううん、気にしないで」


 申し訳なさそうにするカリュリアちゃんだけど、仕方ない。代わりに、同じエルフでも知らない……という情報が手に入った。

 ただ、これで落胆するわけではない。


 すでに手がかりはあるのだ。失った記憶を取り戻すには、血縁者の魔力を注ぐことで元に戻る……らしいのだ。

 そう、つまり親である師匠。ただ、師匠の居場所はわからない。なので、母親に会いに行こうという話になっている。母親の居場所は、おおよそだけど見当がついている人が居る。


 今は準備を進めているため、学園が長期の休みに入ったら行ってみるつもりだ。


「それにしても、不思議な方ですね。エルフと魔大陸にまで行って、今に至るまで仲良くしているなんて」


「まあ魔大陸に行っちゃったのは、不運な事故なんだけどね」


 私にとっても、あれは予想外だった。ラッヘの記憶のこともそうだし、魔大陸で失ったものもある。

 でも、得たものだってあるんだ。使い魔だって、魔大陸で契約したんだ。


「驚きましたわよ、魔大陸に行っていたなんて。聞いた話だと、魔物や魔獣……それに、魔族という生き物がたくさんいるというではないですか」


「あぁ、確かにね。あんな数の魔物は初めて見たよ。

 でも、魔族の人となんやかんやあって友達になったりもしたんだよ」


「……なんやかんや、で片づけていい話ではありませんわね」


 食事の間の会話も盛り上がる。盛り上がると、食事も進む。

 自分が注文した料理は、あっという間に完食してしまっていた。いやあ、おいしかった。


「それで、カリュリアちゃんは……魔導学園(ここ)でうまくやっていけそう?」


「……まだ入学したばかりなので、なんとも」


「それもそっか」


 新しい世界に飛び込むって言うのは、楽しみと不安が同時に存在しているよな。

 私だって、ここに来たばかりの頃は、友達出来るかなと心配になったものだ。


 エルフなら、特にその気持ちは強いだろう。


「もしいじめられたりしたら、なんだって言いなよ。私、力になるからさ!」


「あ、ありがとうございます」


 ぺこりと頭を下げるカリュリアちゃん。素直でいい子だなぁ。

 こんないい子でかわいいんだから、その気になればいくらでも友達は作れるだろう。


 私が同じクラスだったら、サポートしてあげられるんだけど。暮らすどころか学年も違うもんな。

 誰か、一年生に任せられるような人が居ればいいんだけど……


「あ」


「え? ……あ」


 うんうんと悩んでいると、声が聞こえた。

 そちらを見ると……先ほど見たばかりの男が居た。赤い中に茶色が混ざった髪色の、右目に引っかき傷がある男の子……アレクレス・ルーランドだ。


「居た!」


「な、なんだ」


 私と目が合い、彼はひどく驚いていた。

 一年生に知り合い、早くも居たんだった。それも、このタイミングで会えるなんてね。


 そうだ、せっかくならここで、カリュリアちゃんの学園の友達第一号にしてしまうのは……うーん、さすがに迷惑かなぁ。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

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