第1042話 今日あったこと
ダルマスたちとわかれた私は、自室に戻っていた。
ホームルームを終えた後、生徒会でお話をしたりルーランドと決闘したり、その後の諸々で……結構時間が経っていたからだ。
外も暗くなってきたし、みんなもそれぞれの部屋に戻ったしね。
「ただいまー」
「おかえりなさいですわ」
扉を開けると、ベッドに座るノマちゃんが出迎えてくれる。
姿勢正しく、上品な雰囲気。柔らかい笑顔を向けてくれる。こんなルームメイトに迎えてもらうなんて、なんか照れちゃう。
まるで新妻みたいだ。
「まるで新妻みたいだ」
「え?」
おっと、口に出てしまっていたか……私としたことが。こほん、と咳払い。
「ママー、おかえりー!」
「ただいまー、フィルちゃん」
飛びついてくる小さな女の子を、抱きとめる。
私をママと呼ぶこの子は、まるで本当の子供みたいだ。いや違うんだけどね。
さっきノマちゃんを新妻みたいだと思ってしまったから、なんか変なことを考えてしまうよ。
奥さんがノマちゃんで、娘がフィルちゃんかぁ……
「うむ、悪くないかもね」
「……?
今日は、生徒会の予定だったんですのよね。こんな時間まで活動していたのですか?」
「いや、生徒会にも行ったんだけど、他にもいろいろあってね」
「そうなんですの」
私はノマちゃんの隣に座り、今日あったことを話す。フィルちゃんは私の膝に頭を乗せていた。
その頭を撫でながら、今日の……まずは、生徒会での出来事を。
「マヒルちゃんは、正式に生徒会に入ったよ」
「まあ、それはなによりですわ」
これはノマちゃんも気になっていたことだし、教えておかないとね。
元々顧問からの推薦があったとはいえ、メンバー全員との正式な顔合わせは今日が初めてだ。
まあ、メンバーは私とシルフィ先輩しかいないわけだけど。そして私とはもう友達だし。
そして、他にはメンバー集めを指示されたことも話す。
「もう一度聞くけど、ノマちゃんは生徒会に入る気はない?」
「魅力的に感じない、とは言いませんが……なんとなく、わたくしの肌には合っていないような気がして」
てっきりノマちゃんなら、「わたくしぜひやりますわ!」って言ってくれるものだと思っていたけど……
答えは、否定的なものだった。むしろ合ってそうだけどな。
ま、ノマちゃんの性格で勝手にそう思っただけで、本人が違うと思っているのに無理やりやらせるわけにもいかない。
「私、生徒会やってもいいよ!」
「あはは、フィルちゃんにはまだ早いかなー」
一方、やる気充分なフィルちゃんだが、純粋に力不足だ。ありがたいけど。
明らかに子供なフィルちゃんだけど、学園に入学する資格は得ている。
一方で、子供っぽい……というか実際にそんな性格なんだけど、だから生徒会には向いていないと思う。
「人数集めには、苦労しそうですわね」
「それが、そうでもないんだよ。今日一人、早速ゲットしたんだ!」
「まあ」
それから私は、生徒会の用事を終え……一年生に決闘を挑まれたことを話す。
「一年前のフィールドさんみたいですわね」
「ノマちゃんまで……」
そして、彼に勝ったおかげで生徒会に勧誘……シルフィ先輩には明日報告するけど、これで新たな人材ゲットだぜ!
態度は大きいけど、魔力の扱い方を見るに頭は悪くないんだろう。というか、むしろ良い……?
一年生の中で一番、と豪語していたけど、あれは魔力関係のことなのか。それとも知識なのか。
学園への入学試験は、実技と筆記の二種類あるからな。もちろん、合格のためには総合の評価が鍵になるけど。
「とにかく、その子は多分即戦力だよ!」
「フィールドさんがそうおっしゃるのなら、そうなんでしょうねぇ」
「ママが人を褒めてる!」
そんな、普段から人を褒めない冷血女みたいな……私、褒めるときはちゃんと褒めるよ!
「それと、その一年生……ルーランドって言うんだけど、ダルマスと知り合いだったんだ」
「まあ、ダルマス様と」
そのおかげで、妙な縁ができた。
ま、関係なくても生徒会で顔を合わせることにはなるんだけどね。
「まさか入学して間もない一年生から、決闘を挑まれるとは……相変わらずフィールドさんはフィールドさんですわねぇ」
「それどういう意味!?」
「わたくしもその場に立ち会いたかったですわ。教えてくださればよかったのに」
「のに」
ぷくっ、と頬を膨らませるノマちゃん。そしてそれを真似するフィルちゃん。
そんな、見たいもんなのか……まあ、逆にノマちゃんが一年生に決闘を挑まれたとなったら、見たいよな。
「ご、ごめんて。いきなりのことだったから、時間がなくて」
まあお昼ご飯食べる時間はありましたけど。
とはいえ、クラスの違うノマちゃんがどこにいたのかもわからない。今は外も暗くなっているから、部屋に帰ってきたとわかるけど。
生徒会に同行していたマヒルちゃん、途中で見つけたクレアちゃん、なぜか駆けつけてきたルリーちゃん、なんかいつの間にか居たナタリアちゃん……
……いつの間に居たんだ、ナタリアちゃんは。
「今度同じようなことがあったら、絶対にわたくしも呼んでくださいな!」
また一年生に挑まれる、なんてことはないと思うけどなぁ……だからこそ、ルーランドが挑んできたのがラッキーだったんだし。




