表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【二年生編】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第十六章 二年生突入編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/19

第1037話 魔剣極めし少年



 彼の持つ魔導剣が、赤く輝いている。それは、ただ色が変わっているわけではないというのは、考えなくてもわかった。


 おそらく、魔力を一点に凝縮したものだ。

 彼は、魔力を火の力のように扱うのが得意だ。これまでの戦い方を見ていれば分かる。


 だから、あの刀身にはかなりの熱が込められていて、爆発的な威力を持っているのだろう。


「こいつで、しめぇだ!」


 というか……この姿、見たことがある。


「魔剣……火の型……!」


 ぎゅっ……と、ルーランドは剣を強く握る。

 魔導剣が魔術を纏ってその力を発揮するとき、それは『魔剣』と呼ばれるものへ昇華する。


 この子、すでに魔導剣に魔術を纏わせる芸当までできるのか。それに、この技……


炎天狼牙(えんてんろうが)!!!」


 ……ダルマスが使っていたものと、同じだ。


 燃えるように赤く染まる刀身……そして、燃え上がる魔力を一気に放出させて斬りかかる技だ。

 炎を凝縮しているので、その威力は計り知れない。


 この近距離で、防御も間に合わない……


「取った!」


 今度こそ、ルーランドの剣は……"私"を斬り裂く。

 横薙ぎの魔剣が、"私の"胴体を上下真っ二つにして……


「! 消えた……?」


 斬られた"私"は……その場で、霧のように消えてしまう。


 そう、私は……そこにはいない!


「爆炎で焼き尽くす豪火よ、天地をも焼焦(やけこが)死火(しか)と成りて、すべてを灰燼(かいじん)と帰せ!」


「! いつの間に……!」


 振り向くルーランドの視界の先に、私は居た。

 けれど、そのタイミングで私の魔術詠唱は完成した。


 先ほど私は、『分身魔法』を使い本体と分身で二手に分かれていた。ルーランドが斬ったのは、分身だ。

 もっとも、分身の視界は本体と共有しているから、あの斬られた際の迫力も鬼気迫るものがあった。


 いつそんな魔法を使ったかって? さっきの目くらましの時。

 私の隙を突くつもりだったんだろうけど、残念だったね。魔術を使う隙はなくても、簡単な魔法なら使える。


「くっそが……!」


 燃える魔剣を構えるルーランドだけど、遅い。

 いくら斬撃による遠距離攻撃ができるとはいえ、すでに魔術詠唱が終わった私を止めることはできない。


 彼が動きを見せるより先に……私は、杖の先端を彼へと向けて。


紅炎爆発(プロミネンスブラスト)!!!」


 魔術を、解き放った。

 属性は火。彼が火を得意とするなら、同じ属性でやってみたくなったのだ。


 後は単純に、師匠がよく使っていた魔術だから、私としても馴染みが深いんだよね。


「! これが……」


 放たれた強大な炎に、初めてルーランドが引きつった表情を浮かべる。

 それでも逃げ腰にならず、構えている。その姿勢は素晴らしいものがある。


 すでに逃げると言う選択肢はなく、未だ魔術を纏う魔剣を構えて……


「おらぁああああああ!!!」


 ここに居ても聞こえるほどの雄叫びを上げ、魔剣を振り抜いた。

 炎を炎で斬る……そう表現した方がいいだろうか。縦一閃に斬り、私の炎は割れる。


 ルーランドごと包み込むと思われた炎は、けれどルーランドだけを避けていった。


「はぁ、はぁ……」


 まさか、魔術を斬ってしまうなんて。すごい腕前だ。

 でも……


「チェックメイト、かな」


 ルーランドの首元に、私は杖を突きつけた。


 彼の性格を考えれば、魔術から逃げるとは思えなかった。むしろ、真っ向から対抗してくるんじゃないかと。

 その考えは、見事に一致した。ルーランドは魔術に挑み、斬り裂いた。


 だからこそ……魔術の後ろに身を隠して迫る私には、気付かなかったんだ。


「キミが魔術から回避行動を取っていたら、別の選択肢があったかもしれないけど」


「くっ……ちっ。降参だ降参」


 しばらくにらみ合いが続くかと思いきや、わりとすんなりとルーランドは負けを認めた。

 剣を手放し、お出上げのポーズだ。


「なんだよ」


「いや……あっさり引き下がったなって」


「はっ。喉元に得物突き付けられて抵抗するほど、往生際悪くねえわ。実際に、こっから対抗手段はないしな」


「決闘の勝者! エラン・フィールド!」


 そこに、決闘終了の声が響く。

 それはもちろん、審判のウーラスト先生のものだ。決闘の決着は、相手を戦闘不能までボコボコにするか、降参するか。


 私は杖を下げて、いつも身につけている太ももに装着しているホルダーに差す。


「ふぅー」


「エランさーん!」


 決闘が終わったことで、ルリーちゃんが真っ先に駆け寄ってくる。

 結界もなくなったので、出入り自由だ。みんな、私のことを心配していた……という表情ではないな。


 一方で、観客の一人カリナちゃんはルーランドへと駆け寄る。


「あんな大口叩いちゃって、負けるなんて情けない」


「やかましい」


 ……口ではああ言ってるけど、心配しているって表情が隠しきれていないな。


「それでは、ルーランドは決闘の勝者であるエランの要求に従うことになるが……」


 あー……確か、『目上に対する礼儀ってもんを叩き直す』ってやつだったか。


「ちっ、しゃあねえがそれが決まり事だってんなら、俺は……」


「ちょっと待った」


 私はそこに、ちょっと待ったコールをかける。

 ルーランドもウーラスト先生も、みんなきょとんとした表情をしている。


 ……ただクレアちゃんだけ、『またなにかやらかしそうだなこいつ』と思ってそうだけど。


「あの、決闘の要求って、決めてたものと変えてもいいのかな」


「え……あー、あんまりそういう例は少ないけど。決闘相手が承諾したなら、それも構わない」


「なら私、別の要求をしたいんだけど」


「……別の要求?」


 今、ルーランドと戦ってみてわかった。

 戦う前は、力の分からないクソ生意気なガキって印象だったけど……戦って、かなりの力の持ち主だってことがわかった。


 なにより、その野心。今まで会った中でも、かなり良いと思う。


「アレクレス・ルーランドくん。キミ、生徒会に入らないかい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ