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【二年生編】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第十六章 二年生突入編

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第1032話 なにかやると思ったので



 ……お互いにお昼の時間を終える。すでにルーランドの準備は万端のようで、にやにやと笑いながら私を見ていた。

 別にいやらしい目線ではないんだけど、その笑い方やだなぁ。


 私たちは、数ある訓練所の一つへ移動する。ここは主に決闘や試合を行う際に使われるようだ。

 そのため、他に人はいない。


「俺としては、大多数の前であんたの膝を地に付かせたかったんだけどな」


「……すぐ決闘したいって言ったのは、キミだよ」


 やる気は充分、自信も充分。なら私も、全力で応えてやろうではないか。


 クレアちゃん、マヒルちゃん、そしてルーランドの側にいた男子生徒。ギャラリーはこれだけだ。

 審判であるウーラスト先生。彼を中心に、私とルーランドは距離をとる。


 お互いに魔導の杖を抜く。二人とも、準備はできている。

 それを確認し、先生は決闘を宣言しようとして……


「ちょおっと待ったぁ!」


 訓練所内に、ちょっと待ったコールが響く。みんなの視線が、一斉に動いた。

 入口にいた人物は、みんなの視線を受け「ひぅっ」と肩を震わせた。そして、もう一人の背中に隠れてしまった。


 そこにいたのは……


「ナタリアちゃんに、ルリーちゃん?」


 ナタリアちゃん、そしてその後ろに隠れるルリーちゃんだった。


 ナタリア・カルメンタールちゃん。水のような髪色をした、おとなびた女の子だ。瞳の色も似た色だけど、少しワケありだ。

 そしてルリーちゃん。魔導具のフードを目深に被って銀色の髪を隠している。さっき声を上げたのはルリーちゃんだ。


 それにしても、なんで二人はここに?


「ふ、ふふ……エランさんがなにか、とんでもないことをやりそうだと察したので。探し回りました……」


 なにそれ怖い。


「ボクも、ルリーくんに連れられて……黒髪の女の子がどこに行ったか、って聞いてここまできたんだ」


 あぁー、一年生にも伝わるなその特徴。さすがナタリアちゃん、賢い。


「なんだ、腰を折りやがって。お友達が多いんだな、先輩」


「それはキミも同じだと思うが?」


「あぁ?」


 鼻で笑うルーランドに対し、ナタリアちゃんは視線をずらす。建物の外に、まだ誰かいるのだ。

 その視線を受けて姿を現した女生徒に、ルーランドの表情は変わった。


「げ、カリナ」


「げ、とはなによ、アレク! なに勝手なことやってんの!」


 それは、小さな女の子だった。背の高いナタリアちゃんの隣にいるから、そう見えるのかもしれないけど。

 短めの赤い髪は、まるで燃える炎のようだ。性格も勝ち気なのは、すぐにわかった。同じく真っ赤な瞳は、睨まれただけでこっちまで燃えちゃいそうだ。


 アレク……とは、ルーランドの愛称だろう。それに、カリナと呼んだのはあの子の名前だろう……二人は知り合いみたいだ。


「なんで、お前……」


「先輩たちにお願いして、連れてきてもらったのよ! エランって先輩に決闘を挑むんだってバカ言ってたけど……まさか、本当にこんな……」


 ルーランドは、あからさまに嫌な顔をした。

 こいつ、私に決闘挑むって他の人にも言っていたのか。


「さ、帰るわよ! 先輩方もご迷惑をお掛けして……」


「ざけんな! 俺はこいつをぶっ倒すんだ!」


「先輩に向かってその口の利き方!」


 静かだった訓練所は、一気に騒がしくなる。

 二人のやり取りを聞いていればわかるが、あの子は決闘を止めさせたい感じか。それを、ルーランドは振り切って私に会いに来た。


 正直、私としてはもう準備できてるから、このまま決闘しないとなったら肩透かしなところはあるけど……


「そこまで」


 パンッ、と大きな音と共に、凛と良く通る声が響いた。

 ウーラスト先生が手を叩き、雑音をかき消したのだ。不思議と、それだけのことが周りを静かにさせる力を持っていた。


 それから先生は、女の子を見た。


「キミは、彼の……」


「幼馴染です!」


「そうか。だが残念ながら……決闘とは、当人同士の合意の下行われる。第三者が口を挟むことは、たとえ身内であっても許されない」


 ……いつもは飄々とした先生の、鋭い声。それは、先ほどまで勝ち気だった少女から言葉を失わせた。


「彼が決闘を挑み、挑まれたエランはそれを受けた。この時点で、決闘は成立した……

 キミは貴族の子かな?」


「は、はい……」


「ならば、決闘が貴族にとってどういう意味を持つのか、わかるはずだ」


 それは別に、女の子を叱っているわけではない。むしろ優しい言葉で諭そうとしている。

 けれど、女の子はしゅんとして押し黙ってしまった。


「見学するなら、構わない。席につくといい」


 そう言われて、ナタリアちゃんとルリーちゃんは移動する。

 女の子も遅れて、足を進めた。どうやら見学していくようだ。


 クレアちゃんたちの近くに腰を下ろした。

 それを確認して、先生は私たちを見た。


「中断してしまったが、再開しても?」


「問題ないです」


「あぁ」


 私たちに確認してから、さらに言葉を続けた。


「それでは双方、決闘の賭けになにを望む」


 決闘には、事前に相手に求めるものを決めておく必要がある。なにを賭けるか……いや、賭けさせるか。

 敗者は勝者に、賭けたものを差し出す。そして、勝敗はその後にも影響する。ギャラリーが多ければ、誰が誰に負けた……と話は一気に広がるのだ。


 貴族同士の決闘というものは、軽々とやるものではない。この男は、それをわかっているのかな。

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