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プレナ・オートマティック  作者: 右子


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第9話 「それぞれの道」

 ーーある日の修行後。


「いやぁ、疲れた……」


「情けないですわね」


「お前基準で考えるな」


 ルキナは当然のような顔をしている。

 シンは空を見上げた。


「なぁ、少しは魔法使いっぽくなってきたかなぁ」


「魔法使いは剣を振りませんわよ」


「え?」


「魔剣士です」


「魔剣士?」


 シンは首を傾げる。

 その反応に。

 今度はルキナが首を傾げた。


「知らないんですの?」


「知らねぇよ」


 ルキナは咳払いをする。


「この世界では大きく分けて2種類いますわ」


「2種類?」


「魔法を主体に戦う魔導士」


「おぉ」


「そして剣と魔力を併用して戦う魔剣士」


「なるほど」


(たしかに魔法使いで剣ってイメージは無いな)


「じゃあ俺は魔剣士か」


「見習いですわね」


「厳しいな!」


 すると。

 バルバが杖を突いた。


「そのために学校もある」


「学校?」


「魔剣士学校じゃ」


「マジで!?」


 シンの目が輝く。

 異世界。

 魔法。

 剣。

 学校。

 なんか一気にそれっぽくなった。


「何て学校なんだ?」


 その問いに。

 ルキナが少し誇らしげに答える。


「オルド・アルカナ学園」


「オルド・アルカナ学園……」


(何か強そうな名前だ)


「アルカナ王国最大の学園ですわ」


「へぇ」


「騎士団や聖騎士団にも多くの卒業生がおります」


「すげぇな」


 すると。

 バルバがニヤリと笑った。


「そして」


「入学試験が半年後じゃ」


 シンが固まった。


「……は?」


「半年後?」


「そうじゃ」


「半年後!?」


「そうじゃ」


「早くね!?」


「十分あるじゃろ」


「いやいやいや!!」


 シンは全力で抗議する。


「だから半年あれば十分じゃ」


「理不尽すぎる!」


「がはは!」


「笑うな!」


「大丈夫だろ!」


「何を根拠に!?」


「何とかなる!」


「1番信用できねぇ!」


 ルキナは呆れたように言った。


「入学試験は実技中心ですわ」


「実技?」


「試験官との模擬戦です」


「模擬戦?」


「勝負の内容や評価によって合否が決まります」


「筆記とかないの?」


「ありません。実技のみですわ」


「うわぁ……」


 シンは頭を抱えた。


(絶対強い奴だろ……試験官)


「ちなみに」


「入学試験に受かったらすぐ入学なのか?」


「違いますわ」


「え?」


「入学はその半年後です」


「ん?」


 シンが指を折る。


「試験が半年後」


「はい」


「入学がその半年後」


「はい」


「つまり」


「今から1年後ですわ」


「長ぇ!」


 思わず叫ぶ。


「何でそんな空くんだよ」


「準備期間ですわね」


「なるほど」


 それなら少し安心だ。


「じゃあ学園は何年通うんだ?」


「3年ですわ」


「3年!?」


「完全に学校じゃん……」


 シンは異世界ファンタジーというより。

 学園ファンタジーの匂いを感じ始めていた。


「ちなみに」


 シンはルキナを見る。


「お前は行くのか?」


「当然ですわ」


 即答だった。


「私は入学するためにここへ来たのですから」


「なるほどな」


 いかにもルキナらしい。

 努力家だ。

 真面目だ。


「ゼノスは?」


 すると。

 ゼノスはあっさり答えた。


「俺は行かねぇ」


「え?」


「興味ないしな」


「ないの!?」


「強くなるだけなら別に学校じゃなくてもいいだろ」


「それに」


 チラリとバルバを見る。


「まだこの爺さんから学ぶことがある」


「ほう」


 バルバも満更ではなさそうだ。


「だから俺は旅をしながら修行する」


「なるほどな」


 確かにゼノスらしい。

 自由人だ。


「じゃあ試験も受けないのか」


「受けない」


「即答だな」


「興味ない」


 シンは苦笑した。

 本当に真逆だ。

 ルキナは学園へ。

 ゼノスは旅へ。

 そして自分は――


「……」


 気付けば。

 バルバがニヤニヤしていた。


「何だよ」


「受けるじゃろ?」


「え?」


「オルド・アルカナ学園」


 シンは少し黙る。

 異世界へ来た。

 右手には謎の刻印。

 アルカナの力。

 魔王。

 そして学園。

 不安はある。

 だが。

 少しだけ。

 面白そうだとも思った。


「……まぁ」


「受けるか」


 その瞬間。

 バルバの笑みが深くなる。


「よし」


「では明日から修行量を2倍にする」


「何でだよぉぉぉぉぉ!!」

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