表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プレナ・オートマティック  作者: 右子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/14

第13話 「報告」

 シンとルキナが洞窟へ戻る頃には、空は茜色に染まっていた。


「ただいまー!」


 洞窟のリビングへ入るなりシンが叫ぶ。

 部屋の中でバルバとゼノスは木椅子に座りくつろいでいた。


「帰ってきたか!」


 バルバは木椅子から立ち上がった。

 そして。


「おっ!」


 ゼノスも勢いよく立ち上がる。


「どうだった!?」


 目を輝かせるゼノス。

 シンとルキナは顔を見合わせた。


「受かった」


「合格しましたわ」


「おおおおおお!!」


 ゼノスが飛び上がる。


「やったじゃねぇか!!」


「当然ですわ」


 ルキナは胸を張る。

 バルバも満足そうに頷いた。


「ほっほっほ。まあ当然じゃな」


「いや、結構危なかったぞ?」


「ほう?」


「試験官が強かった」


 ルキナが紅茶をおもむろに作り出す。


「フィディスですわ」


 バルバの眉が動く。


「ほう。あやつか」


「知ってるのか?」


「昔から王家に仕えておるからの」


「マジで強かったぞ。途中で脇腹ぶん殴られて吹っ飛ばされた」


 シンが脇腹の辺りをポンポンと叩く。


「正直あれで終わったと思いましたわね。ですが、最後の一撃には驚きましたわ。本当に見えませんでしたもの」


「え? マジ?」


「マジですわ」


 シンが驚く。

 ルキナは真面目な顔だった。


「フィディスも反応できてませんでしたし」


「ほう。詳しく聞かせてくれんかの」


「はい。フィディスとの距離は数メートルありました」


「うむ」


「ですが」


 ルキナは首を横に振る。


「シンが消えたようにしか見えませんでした」


 ゼノスも目を丸くする。


「なにしたんだ!?」


「俺もよく分かんねぇんだよな」


「説明しなさい」


「えぇ……」


 シンは考える。


「たまたまなんだよ」


「たまたま?」


「修行がない日に1人で練習してる時があってさ」


 森の中。

 木剣を振っていた日。


「遠くの木を見ながらさ。もっと速く踏み込みたいなーって思ったんだよ」


「うむ」


「あの木の前まで一気に行けたらなって」


 バルバが興味深そうに聞き入る。


「そしたら木の目の前にいた」


「は?」


 ゼノスが固まる。


「気付いたら?」


「気付いたら」


「意味分かんねぇ」


「俺も分かんねぇ」


「ほっほっほ! 実にお前らしいわい!」


 バルバが大笑いした。


「アルカナの力は持ち主の願望や解釈によって成長することがあるそうです」


「へぇ」


「つまり」


 シンを見る。


「あなたは移動したかった」


「おう」


「アルカナがそれを実現した」


「なるほど?」


「たぶん」


「たぶんかよ!」


「私もあんなのは初めて見ましたもの」


「ほっほっほ。成長しておって嬉しいぞ」


「まぁ、ここに来た時よりは相当動けるようになったとは思う」


「そうじゃな。入学までまだ時間はある。この調子でどんどん成長するのじゃ」


「おう!」


「そうじゃ。ところで初めての街はどうじゃたシン」


「めちゃめちゃ街並みが綺麗だったな。人もいっぱいいて、色んな人種がいて、すげぇ活気があった」


「そうじゃろ」


「ああ」


 シンは少し考える。

 そして。


「あ」


「なんじゃ?」


「カツアゲしてる奴に会った」


「カツアゲ?」


「あ、えーと。俺らくらいの歳の奴が、金を巻き上げててさ」


「ほう。そやつ、ジミーとか名乗っておらんかったか?」


「名乗ってた!」


 バルバは呆れたようにため息を吐いた。


「知ってるのか?」


 バルバはお茶を飲む。


「昔、少しお灸を据えてやったことがある」


「お、おう」


「泣いて謝っておったわ」


「それ絶対怖いやつだろ」


「少しこづいただけじゃ。盗賊だと言っておったが、続けておるなら大した根性じゃな」


 しばらく談笑が続いた。

 そして。


「なあ」


 突然。

 ゼノスが立ち上がった。


「ん?」


「シン」


「なんだ?」


 ゼノスはニヤリと笑う。


「そんなに強くなったならさ」


 拳を握る。


「明日。俺と戦おうぜ」


 シンが固まる。


「は?」


「今のお前がどれくらい強いのか知りてぇ!」


 うんうんとルキナが頷く。

 興味ありげだった。


「ま、まじかよ……」


「わしも見たい」


「満場一致!?」


(でも確かに。ゼノスにどこまで通用するのかは知りたい)


「分かった」


 シンは立ち上がる。


「やってやる」


「おおっ!」


 ゼノスが拳を突き上げる。


「決まりだな!」


 その笑顔はまるで子供のようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ