テディベア その18
前回投稿した『その17』の続きをお届けします。
それではごゆっくりご覧下さい。
テディベアに付ける名前を考えようと試みるも相応しいものが編み出せずに煮詰まってしまうモカとモモ。
すると重苦しい雰囲気を突き破るかの様にモモがモカに向けこんな提案をする。
「そうだわ、モカ!あたし良い事考えた!」
「ええ、なになに?」
「あたし達の名前を足してそれをテディベアの名前にするっていうのはどうかしら?」
「それ良いかも!」
前のめり気味に尋ねた末、モモの良案に二つ返事で賛同するモカ。
そんなモカの反応に好感触を得るとモモはその手応えを確実なものとする為、話を続ける。
「じゃあ、あたしの名前である『モモ』と『モカ』の名前を足してこの子の名前は『モモカ』で良いわね?」
するとモカは先刻までとは一転し、渋い表情をさせつつモモへこんな意見をぶつける。
「いやぁ、モモ。そんなの在り来たりすぎだよ。あたしとしてはこの子の名前は『モカモ』の方が良いと思うなぁ。」
「はにゃ!?またこのパターン?しかも、『モカモ』って名前、言い難いんだけど。」
察するに『モモカ』という名前に難色を示している様子のモカ。
片や『モカモ』という名前を代案として述べるモカに困惑を覚えつつもモモは同じ様に難色を示した。
「『モモカ』にしちゃうとあまりにもベタだから此処は『モカモ』って具合に個性的な名前を付けた方が良いと思うんだ。」
「いや、別にこんなところで個性を出さなくても良いんじゃないかしら?しかも『モカモ』だとさっきモカが考えた『モカカ』とニュアンス的に変わらない気がするわ。」
相変わらず独創的な発想で自らの言い分を述べていくモカ。
それを受けモモは戸惑いながらもモカが納得する事を前提にオブラートに包むかの如く物申す。
「それに仮に『モカモ』っていう名前にしちゃったらややこしい事になると思うわよ。」
「や、『ややこしい事』?」
「例えばあたしがこのテディベアに向けて『モカモ』って呼んだつもりでもモカが勘違いしてモカも一緒にという意味で『モカも』って受け取っちゃうかも知れないじゃない。」
「た、確かにややこしい。っていうか今のモモの説明ですらややこしい気がする・・・。」
宛ら諭される様にしてモモの主張に納得した素振りを見せるモカ。
すると此処で何か気が付いたのかモカがモモにこんな事を述べ始める。
「あ。でもさぁ、モモの今の考えでいったら『モモカ』って名前もあんまり良くないんじゃない?」
「どうして良くないの?」
モカを納得させたかと思った矢先、その相棒によって異議を唱えられた心境を覚えつつ取り敢えずモモはどういう訳かと尋ねる。
「だって、何だか『モモカ』って言い方によっては『モモかぁ・・・。』って残念そうに聞こえる場合が出て来ると思うなぁ。」
「はにゃっ?何であたしがガッカリされないといけないのよ。」
途中、大袈裟なジェスチャーを交え話すモカに控え目に反駁をするモモ。
結局、互いの名前を足すという案は却下となり気を取り直してふたりは別のものを考える事にする。
しかし、既にアイディアが出尽くした感じがしてならないモモは無意識に
「やっぱり、テディベアのままで良いんじゃないかしら?」
といった言葉を呟いた。
「それだよ、モモ!!」
「はにゃあ!な、何が?」
独り言を聞かれてしまったという気恥ずかしさも去る事ながら食いつく様に此方に向け大きな声を放つモカにモモは驚きながらも何事かと尋ねる。
「今、『テディベアのままで良いんじゃない』って言ったでしょ?」
「言ったけど、それがどうかしたの?」
「その『テディベア』から名前を付ければ良いんだよ!」
「はにゃ?じゃぁ、モカはこの『テディベア』に『テディベア』って名前を付けようって言うの?」
「ふにゃ。モモ、それじゃぁ今までやって来た事が全部無駄になっちゃうじゃん。」
自分の意図とは異なる解釈をしたモモに脱力してしまうも気を取り直しモカは今まさに閃いたアイディアを提示する。
「あたしが言いたいのは『テディベア』からもじって名前を付けようって事!」
「ああ、成程。そういう事ね。」
少しばかり理解するまでに時間を要したモモであったがそのアイディアを心の中で称賛した後、モカへこんな事を告げる。
「それだったらあたし、たった今、パッと浮かんだ名前が有るんだけど言って良いかしら?」
「あ!待ってモモ。実はあたしも思い付てる名前が有るんだけど。」
自身が考え付いた名前を公表しようとした矢先、唐突にモカはそれに待ったを掛ける。
片やモモは嫌な予感を抱きつつも一先ずモカの話に耳を傾ける。
「モモ。もしかしたらカブッてるかも知れないからあたしが『せ~の』って言ったらふたりで一緒に言おうよ!」
「え?ええ、良いわよ。」
モカの提案にやや躊躇しながらも相槌を打つモモ。
理由としては仮に意見が割れてしまった場合、不毛な議論の末、振り出しに戻るかの如く名前を考えるという工程をまた行わなくてはならないのを危惧しての事だ。
しかしながら、此処でモカの提案を蔑ろにしてしまうとそれよりも厄介な事が起こるかも知れない。
それ等の事柄を淘汰した結果、モモはモカの提案を承諾したのだった。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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