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第39話:ドッペルゲンガーと【情報漏洩】。


 結局、私はどうしていいか分からないままずるずると今の関係を続けていた。


 別に嫌な気分は全くない。

 奈那は好きだし、奈那が私に対して送ってくる視線がやけに熱っぽいものに変化している事を覗けば今までとなんら変わらない。


 そしてルキヤがこう、毎日ニンマリしていて気持ち悪いというか腹パンしたいというかとにかく気に入らない。


 そんな状態のまま、ついに夏休みに突入してしまった。


 そして、奈那が積極的に予定を組んできたので夏休み初週にも関わらず例のホテルプールの日程が決定。


 その日の為にもルキヤの正体がバレないようにしっかり仕上げなければいけないので今日も練習である。


 別に練習という名目でルキヤと一緒の時間を作りたいとかそういうんじゃないから。違うから。


 とにかく、私と奈那、そしてルキヤ……じゃなくてあこ。

 この三人で遊びにいく事になったのだが、いろいろ不安しかない。


「ここの所毎日イチャイチャしてくれてたから本当に嬉しい。毎日が楽しくてしかたないよ……!」


「お前は本当におめでたい頭してるなぁ……どうしてそんなに百合ってやつが好きなんだ?」



「理由なんか必要なの? 可愛い子と可愛い子がイチャイチャしてて尊いと思わない人間は死ね」


 なんだこいつ急に発言が過激になるからおっかないんだけど……。

 絶対サイコパスだと思うんだよなぁ……。


「お前だって今は可愛い女の子じゃねぇかよ」


「女の子じゃない! これは女の娘ってジャンルだよ……べつになりたくてなってるわけじゃないけど……」


 おとこのむすめと書いておとこのこ、らしい。

 よく分からないけど女装男子と何が違うのか。



「でもそういうのが好きになったきっかけとか何かあるんだろ?」


「……まぁ、そりゃあるよ。絵菜ちゃんがボクの妹とおままごとで夫婦役してるのを見た時かな確か」


 ……ん? 今なんて?


「今よく分からん発言が聞こえたんだが」


「何が分からないのさ」


「妹がどうとかって……」


「えっ、もしかして忘れちゃった? ボクの妹」


 えっ? こいつ妹なんていたっけ?

 私がその妹とおままごとをしてた?

 って事はかなり幼い頃の話だよな。私とその妹がこいつの性癖を歪めてしまったのか……過去の私をしばき倒したい。


「あっ、そうだ今日は用事があるから早めに帰らなきゃなんだった」


 そう言ってルキヤが立ち上がり、「じゃあまた明日ね」と言って帰ろうとするので無理矢理腕を掴んで引っ張る。


「な、何するの? 絵菜ちゃんには奈那ちゃんが居るでしょ!?」


「ばっ、馬鹿野郎! 変な勘違いするな! お前その恰好のまま帰る気かよ」


「あっ、そうだった着替えなきゃ!」


 慌ててルキヤは着替えはじめ、私が目の前に居る事も忘れてしまったのか突然スカートもずるっと脱いだりするからパンツを見てしまった。


 なんで男のパンツみてドキドキしなきゃならんのだ!


 ……待て待て、それじゃまるで私が女のパンツならドキドキするみたいな言い方じゃないか?


 違う、違うはずだ。


「み、見ないでよっ!」


 ルキヤがこちらの視線に気付いて顔を真っ赤にして股間を隠す。


 くっそ可愛いなこいつ……。


「お前が勝手に目の前で脱ぎだしたんだろうが……向こう向いてるから早く着替えろって」



「こっち見ないでね!」


 もう手遅れだってば。


 着替え終わるとルキヤはそそくさと部屋を出て行った。


 急に静かになるなぁ。



 しばらくして、コーラとポテチをお供にベッドで漫画を読んでいた時の事。


 ぴんぽーん。ぴんぽんぴんぽんぴんぽーん。


 けたたましくチャイムが鳴る。


「おかーさーん! お客さん!」


 ……反応がない。買い物に出てるのかもしれない。


 仕方ないなぁ……。


 こののんびりタイムを邪魔するなんて許さんからな。


 階段を下りて行く間もずっとチャイムは鳴りっぱなし。


「はいはい今出ますよー」


 念の為にドアチェーンは外さずに、ドアを開ける。


 そこに居たのは……。


「……あれっ? お前何やってんの? てかそれ一人で着たの?」


 目の前に居たのはルキヤだった。

 正確に言うなら、あこ。


 ……いや、待て。ウィッグは私の部屋にある筈だ。


「……誰だお前」


 これが母の言っていたもう一人のあこか。

 髪の毛は結んでおらずストレートにおろしているが、顔も体形も非常に似ている。


 ドッペルゲンガー相手に私は勝てるだろうか? そもそもぶん殴ったら消えるものなのかな?


 だが本人である筈がない。


「久しぶり。絵菜ねぇ」


 ……絵菜ねぇ?



 記憶がフラッシュバックする。


「お前……もしかして、瑠美奈か!?」


 私はドアチェーンを開けて彼女を迎え入れた。


「やっと会えた。この前来た時は居ないって言われちゃったから……」


 やっぱり母の言ってたドッペルゲンガーはこいつだったのか。


 さすがに本人を目の前にすればいろいろ思い出す。

 確かにルキヤには妹が居た。


 ルキヤが小さい頃両親が離婚して、母親の方に引き取られていった妹が。


「ルミナ、大きくなったね。とっても可愛くなった」


「ほんと? ありがとー♪ お兄ちゃんと同じくらい可愛くなったかな?」


「……ん?」


「お兄ちゃんに女装させて楽しんでるんだよね? 絵菜ねぇ」


 ……お、おわた。


少し前から話題に出ていたドッペルゲンガーの正体はルキヤが幼い頃に母親方に引き取られた妹でした。

彼女には絵菜のやっている事がバレてしまって……ここからどうなってしまうのでしょう(笑)


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