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第40話:【妹】と特殊性癖。


「な、なんの事かな?」


「とぼけたってダメだよ? 私見たんだもん。女装してるお兄ちゃんと絵菜ねぇが楽しそうにショッピングしてるところ」


 いつだ? 奈那と一緒に出掛けた時の事か!?


 まずい。どうしたらいい?

 私がこんな事してるなんて言いふらされたりしたらいろんな意味で死ねる。

 私という生き物の人生が終了してしまう。


 好きな相手に振られたからって女装させてるとか絶対一般人には理解できない。私にだって理解できないんだから。

 そもそもあいつの性癖がどうかしてるのが悪いんだよちくしょうどうしてこうなった!


「ねぇってば、聞いてる?」


「……いっそ殺すか」


「絵菜ねぇ?」


 ハッ!? 今私は何を考えた?

 あぶないあぶない……もう少しで殺人者になるところだった……。いきおいでやるには罪が重すぎる。

 どうせやらなきゃならなくなったら相手はルキヤにしなきゃもったいない。


「絵菜ねぇってば。アレは絵菜ねぇがやってるんだよね? 正直に言ってくれれば誰にも話さないから……教えて」


 ……ルミナが胸の前で手をぎゅっと組んで、お祈りみたいなポーズで質問してくる。


「……は、はい……私が、やりました……」


 ついに、私の秘密を握られてしまった。

 弱みを握られた私はこの先どうなってしまうのだろう……。


「……素敵」


「……今なんて?」


 私の聞き間違いかな?


「素敵って言ったの。す・て・き!」


 どういう事だ……私はもうテンパり過ぎて頭が動かないよ……。


「お兄ちゃんに女装させるとか天才!」


「今、なんて?」


「天才! 最高! 悪魔の如き所業!」


「……悪魔」


 そう、私は悪魔なのかもしれない。ひどい事ばかりしている。


 ……天才?


「絵菜ねぇってば本当に最高。あのいつも仏頂面のお兄ちゃんがフリフリの服着てスカートの裾押さえながら顔赤らめてるのとかもう悶死するかと思った!」


「もんし」


「だってだって元は良い筈なのに全然恋愛とかにも興味なさそうだったしおかしいなとは思ってたんだよね! まさかそっち系の趣味があるとは驚きだったけどそれを見極めてあんな風に仕上げちゃうなんて絵菜ねぇってば本当に天才! マッド! 涎止まんないわぁ」


「よだれ」


 ちょっと待って。本当にこの子が何を言ってるのか分からない。


「えっと、確認させてほしいんだけど……ルキヤはルミナが気付いたって知ってる?」


「言わないよそんなの! だってこれから私はあこちゃんと偶然出会って仲良くなる予定だから!」


 ……はぁ?

 というかあの状態のルキヤがあこって名前なのも知ってるのか……。

 どこで聞き耳立てられてるか分かったもんじゃないな……。


「だからね、絵菜ねぇとあこちゃんが遊んでる時に偶然私と出会って、紹介してもらって、うり二つですね! 仲良くなりましょう♪ って流れなの分かるでしょオーケー!?」


「あ、はい……」


 なんでこの子はこんなにテンション上がってるの……?


「じゃあルミナはルキヤがアレでも問題無いの?」


「問題無いどころか最高なんだってば……! 私が気付いてるとも知らずに目の前で女の子の振りをする様子が見られるとかたまらん……! 絶対可愛いじゃんそんなの!」


「……それはちょっと分かる」


「でしょう!? 私と絵菜ねぇは同士なの! 男の娘が大好きなんだよね!?」


「おとこのこが大好きとか言われても困る! 私を男好きみたいに言わないでよ」


「おとこのむすめと書いておとこのこ! 好きなんでしょ!?」


 ……おとこのむすめ。おとこのこ?

 ダメだこいつ兄と同じで何かが歪んでるぞ。



「あれおかしいな? てっきり男の娘好きだからお兄ちゃんにあんな事させてるんだと思ったんだけど……ま、いっか♪ そういう事だから今後ともよろしくね?」


「ちょっと待って話しを切り上げないで! ……詳しく話すから少し上がってがない?」



 この子にはちゃんと説明しとかないとダメな気がした。事情を知った上で立ち回ってもらわないとめんどくさい事になる気がした。


「えっと、じゃあ……なんだか絵菜ねぇの家久しぶりだなぁ♪」


 ルミナを自室に案内して、私とルキヤがなんで今のような状況になってしまったのかを事細かく説明した。全部。

 私と奈那の事も含めて。


「お兄ちゃん……最低。絵菜ちゃんの事振っただけじゃなくて女装してる理由が百合を間近で見る為!? 馬鹿じゃないの!?」


「まぁ、仕返しとして女装させたのは私だけどな」


「それは嬉しい偉いありがと」


 この子の常識もあんまりルキヤと変わらないんだよなぁ……。


「絵菜ねぇの仕返し作戦には協力できる範囲で協力する事にした!」


「ほんと!? それは嬉しいな。助かるよ」


 一番ルキヤに近い所にいる人物を引き込んだぞ!


「それにね、絵菜ねぇに協力したら女装してるお兄ちゃんを間近で見る事ができるし。しかも周りにバレちゃいけないっていう制約付きでしょ? たまんねーっ!」


 ルミナが「ぐへっ」と不可思議な笑い声をあげた。


 やっぱりこの子もどうかしてる。協力者にしたのは早まった選択かもしれない。


 私と奈那のイチャイチャを間近で見る為にルキヤが女装してあこになって、その女装したルキヤを間近で見る為にルミナが協力してくれて……。


 これは、やっかいな事になってきたぞ。

 頭いてぇ……。


ややこしい関係にさらにややこしい奴が参戦してきました(笑)

次回はプール回スタート予定です!


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