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第37話:【衝動的】な犯行。

 

 あの後、奈那は顔を真っ赤にして「今日は……もう帰るね。明日からは今まで以上に仲良くしようね♪」と言って帰って行った。


 ……本当にどうしたらいいんだこの状況は想定外だぞ。


 これって、本気で奈那の彼氏になってしまったという事だろうか?


 別に嫌ではない。

 奈那は超絶可愛いし天使だし私だって好きだよ。


 だけどさぁ……これは何か違うんじゃねぇのか……?


 ルキヤに振られたからって女の子と付き合うとかどうなんだ私よ。


 もっと拒否反応が出てくれれば今後の行動だって考えやすかったし、もっと必死に拒否出来たかもしれない。


 そんな中途半端な心持ちが生んだトラブルだと思うと完全に自業自得である。


 ……はぁ、悩んでてもしょうがない。

 こうなったら奈那が自発的に私と別れたいと思うように仕向けるか?


 ……ダメ。


 なんか嫌だ。奈那に酷い事なんてできないし、そもそも私の事を嫌いにさせるんだったらここまでして仲直りする必要が無かった事になる。


 そんなのって許せないじゃない?


 だから私は、出来るだけ早い段階で奈那に本当の事を話して分かってもらうしか……。


 言えるか?

 あんな風に涙を流して喜ぶ天使を前に、本当の事言えるか? 無理だろ……。


 そもそもどうして奈那はあんなに喜んだんだ?


 私がそんなに良かったのか? 私と付き合えてそんなに嬉しいのかよ。


 ……馬鹿。ニヤケてる場合じゃねぇだろ……。


 でも実際奈那がそこまで私の事を思ってくれてたと考えると嬉しくなってしまう自分もいる。


 こういう所がダメなんだろうなぁ……。


 とにかく今日はさっさと帰って風呂入って寝よう……。


 屋上を出て扉を閉める。

 それから、階段を降りようとした時……。


 がたんばたん! 背後からけたたましい音が響き渡った。


 屋上へ通じるドアの手前には掃除用具入れのロッカーがあり、どうやらそれが勢いよく倒れたらしい。


「な、なんだぁ……? なんだってこんなもんが倒れてくるんだよ……」


 階段を少し降りていたのでぶつかって怪我するような事もなかったからいいけど、自然に倒れるようなもんではないだろうよ。


「……!! ……っ!!」

「ちょっ……!! ……なとこ……るな!!」


 うげっ、人の声がする……。

 まさかロッカーの中でいかがわしい事をしてたらロッカーが倒れて出られなくなったとか……?


 これ、見ない振りして帰ってもいいかなぁ……?


「……ちゃん! えなちゃん! たすけてーっ!」


 ……ん? 今私を呼んだ?


 そうか、そう言えばさっきまでドアの付近にルキヤが居たんだからこの中にはルキヤがいるのか。


 急に奈那が帰ろうとしたから鉢合わせにならないように慌てて隠れたんだろう。


「ルキヤか? 待ってろ今助けて……」


 待て。

 待て待て。さっきルキヤ以外の声も聞こえなかったか?


「こら君っ! 変な所を触るんじゃないっ!!」


 あぁん?


 やっぱり女の声がするなぁおい。


 どごがっ!!


 私は横倒しになっているロッカーを蹴りつけた。


「「……!!」」


 中から声にならない声が聞こえてくる。


 大体の状況が把握できた私はロッカーをごろりと回転させて開け口を上に向け、一気にこじ開ける。


 すると、だ。


「え、絵菜さん、これはですね、その……違うんです、話を聞いて下さい」


 ロッカーの中にはパフィ会長が詰まっていた。

 ルキヤと一緒に。


 ルキヤは目を回して会長の胸に顔を埋めて伸びている。


「……へぇ」


「ちっ、違うんです! 貴女が思ってるようなアレやコレじゃなくて、その、突発的なトラブルという奴でして!」


「会長はそうやって自ら自分の本のネタを実戦形式で考えていくスタイルなんですね」


「ち、ちがっ」


 バァン!!

 どごす!!


 ロッカーのドアを思い切り叩きつけるように閉め、その上から一度思い切り踏みつけた。


「ハッ!? 一体何が起きてるの!? 暗い!! このやらかいのは何!?」


「ば、馬鹿っ!! 阿呼辺君、それ以上私の体に触る事は許しませんよ! や、辞めなさい!」


「えっ、これがパフィ会長!? 凄い! 絵菜ちゃんとはまるで別の生き物だ!」


「や、やめっ、まるでソレが私の本体のように語らないで下さいっ! あっ、だめっ!」


「死ねやぁぁぁぁぁっ!!」


 そこから先はもうよく覚えていない。

 やたらめったらロッカーを蹴り飛ばしまくって最終的には階段から落としたような気もする。


 そんな事したらさすがに大変な事になるだろうからきっと気のせいだろう。


 その後どうしたか?

 覚えてない。どうせ二人で密室で楽しい思い出を作ったんだろうね青春だねアオハルってやつだなくたばれ。



 ……結局、そのまま家に帰ったんだが奈那とあんな事になってしまったというのにその後の件に全てを持っていかれてしまった。


 今は風呂に入って湯舟に浸かっているのだが、もう頭の中そればっかりである。

 あれから救急車の音も聞いてないから二人とも大丈夫だったんだとは思うけれど、ルキヤから一切連絡が来てないのでもしかしたらあのまま死んでるかもしれない。


 とうとう私は当初決意したようにあいつをぶっ殺した可能性がある。


 もし本当にルキヤが死んでいたら、罪を償う為に私も死んでやるよ。


 いや、痴情のもつれで激怒した私が二人をロッカーに詰めて階段から落とし殺害、なんてのがニュースになろうものなら首をつってもお釣りがくる。


 恥ずかしくて生きていけない。

 死ぬとしたらそっちの理由だろう。


「くぅ~っ!! つめてぇ!!」


 頭を冷やす為、風呂から出る前に冷水を被る。


 あぁ、やっぱり心を落ち着かせるにはこれが一番いいな。


 頭や体をざっと拭いて下着を身に着けようとしていた時、ピルルルッと愛想のない電子音が響いた。


 内容はこうだった。


『連絡先を阿呼辺君から聞きました。君は何か勘違いをしているだろうから説明しますが、私は様子のおかしい阿呼辺君を見かけて屋上へ行った所、君らがとてもいい雰囲気になっているのを偶然見てしまい、不覚にもテンションが上がってしまいまして。そこに夕張さんがドアを開けようとしてくるものだから慌ててロッカーに隠れたんですよ。これはまずいと思い止むを得ず一時的に一緒にロッカーに入ったという事であって変な事は一切していないし妙な気も起こしていない上についでに言うのであればあの子みたいなのは私の好みではないので絵菜さんの恋路を邪魔する気は一切無いのです。そうだ、夕張さんとのお付き合いが成立したようでおめでとうございますご馳走様です。いや、ちょっと待って下さい。夕張さんとお付き合いが成立したのでしたら阿呼辺君は恋愛対象では無かったのですか? よく分かりません今度詳しく教えて下さいね。PS・いい漫画が描けそうです』



 なげぇよ。しかも改行すらしてないので読みづらいったらない。


 ルキヤと一緒にロッカーに入ってた理由は分かったし、想像した通りだったから別にもうどうでもいい。

 二人とも生きてたのなら良かった。私がまだ死ななくて済む。


 奈那と付き合って、ルキヤが恋愛対象じゃ無かったのかって?


 私が聞きたいよちくしょう。


次回から奈那との交際が始まりつつ絵菜の中ではいろんな気持ちが交錯していきます(笑)

絵菜が最終的に選ぶ結末は?

物語りがどこへ向かうのか是非見届けて下さいませ☆彡


第36話:【すれ違い】【勘違い】【もう戻れない】。に挿絵を追加しました!


下の方にスクロールすると☆がありますのでよろしければ★に変えて行ってくださいませ♪

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