崩壊17
オルレアンまでの道は本当に遠いらしい。
野を越え山を越え、谷越え森を越え、なんとか泊まれる場所を確保しつつ、彼に修行をつけてもらっていた。
「お前、何処かで会った?」
「私もそれ思った。君本当に何者なの?どうしてこんな方法を知ってるの?」
「オルレアンの何処かで会ったかも知れないね。ブローディアの民の術でね。彼らもシンマネの消耗を効率よく行う方法を模索していたんだ」
この技術は、まるで私の為に生まれたのか、と思ってしまえる程に完璧に型にはまった。
ユウゼンが伝えてくれたやり方は、言ってしまえば私の能力を尖ったものから、落ち着いたものに変えようという、一つの選択肢だった。
「じゃあ、今の内、教えておくよ」
「お願い」
遡って、ブローディアを出たばかりの時、彼は私にこう切り出した。
「自動化って言うのかな。楽をして攻撃が出来るように工夫するって感じ。んそう、プログラミングだ」
「プログラムを……組むの?」
「うん。例えば君が氷のシンマネを作ってそれを敵の脳天めがけて打ち出すとする」
彼は語りかけるように、足元の石を拾う。
そして勢い良く、遠くの木を狙うように投げた。
「それは必ず敵の脳天に直撃するようプログラムを組む」
石は不自然なまでの軌道を真横に描き、狙ったであろう木へと直撃する。
「めちゃくちゃ曲って、まとに当たるのか……?」
「これって戦いにおいて凄い事だと思わない?」
「凄い!」
「でも誰もこの技をしない。やらないんだよ。なんでか分かる?」
「なんで?」
「これって、まさか。シンマネの消耗が……」
「流石、察しがいいねシキ。もう僕の使えるシンマネはこれだけで空っぽになったんだよ。たかが小石にプログラムを組んだシンマネを込めただけなのにね。だったら狙った所に当てられるよう工夫をしてみたり、練習したりした方が効率がいい」
「私に、これを……?」
「知っていたんだよ、オルレアンでの君の修行、色々やっていたよね。でも
「自分の答えは自分で見つけてよ?僕はそれをユイに伝えるだけ。がぁんばれ」
子供らしからぬ仕草や言動なのに、全く嫌味を感じない。
オルレアン出身と言う、彼をみていると、今はもうない、昔の思い出を巡ってしまう。
何故これほど、胸が締め付けられるのだろう。
ユウゼンの優しい声の鞭が、私に力を与えてくれるように感じた。




