崩壊10
「それはそうとして、出し尽くせました?もう空っぽ?」
「うん、もう疲れちゃった」
「もう休みます?」
死屍の温度さえも大した事がないように、冷え切った自身の身体に触れる。
「うっ……」
すると、まるでちりめんのようなチリチリとした痺れを感じ出す。
シキのフォローと、街の防衛の為に今日は本当に、力を使ったのをここで漸く実感する。
もう休めると思うと突発的に全身が気だるくなり、手足が自分のものではないようだった。
こうなるともうダメだ。
一人にならなくてはどうしようもない。
シキくんに見られたくない。
「もう……寝る」
「……はい」
メンタルの上げ下げが激しい自分にうんざりする感覚は、少女に弱さというものはこういう事なんだと理解させていく。
疲れ果て、地の底から湧いて出てきたような湿った声と共に、自室への扉を開け、消えていく。
その姿をただ見つめることしか出来なかったのは、シキにとって、収拾のつかない嫌悪感を抱かせた。
「クソ……何かが足りない」
「俺が情けないせいで、俺だけじゃない、ユイさんもオルレアンにも帰れないって、冗談だろ……?皆どうしてる……?」
項垂れるしかなかった。
今日はむしろ守られていただけで、俺自身何も出来なかったからだ。
この集落に来た時は、シンマネの放出は抑えていたように感じられた。
なのに何故か敵が攻め込んで来た。
「どう言う事だ……?攻撃してくるだけの奴に意思などない……今まで感じた事だって……これじゃあまるで」
段々と夜が深くなり、最後であろう見回りをしていた宿屋のオーナーが彼に吐き捨てるように言う。
「おい坊主、もう部屋に戻りな。こんな所で寝られちゃ宿をとった意味がねえだろうよ」
「ん……?ああ、すまない」




