崩壊3
「ユイさんもっと出してもいいですよ。遠慮しないで」
「あまり飛ばすと疲れるから、なるべく疲労を抑えるべきでしょ」
どこまで歩いただろうか。
見渡す限り木、木、木、である。
「こういうような場所は障害物が多いですから奇襲がしやすい、常に警戒しておきましょう」
そう言いつつ、次々現れるナイトメアを斬り伏せていくシキ。
自ら積極的に力を使うのは、やはりユイの疲労を抑えるために他ならない。
一息つく間も無くナイトメアの軍勢が差し迫るのを、リベールを通じて感知していた。
すると、氷の弾丸がシキの頬を掠めんかと差し迫り、通り過ぎていく。
その弾丸はナイトメアの兜を象った頭部を貫き、一撃で葬り去った。
「これだけ敵が来るのは私のせいなんだから、たまには私に戦わせて」
「……申し訳ないです」
多数を相手取るには不利と言えたシキには、この立ち回りは役不足であった。
「いいでしょう、メインはあなたにお任せします。その代わり俺は」
彼は地面を蹴り上げ、一気にユイの元へ駆け寄る。
連続使用により、切っ先が少し欠けたアムスを振り上げ、背後のナイトメアを砕かんと差し迫る。
「大丈夫」
しかし、地面から突き上げられた氷の刃に貫かれ、シキが手を下す間も無くナイトメアは霧散して行く。
「マジかよ……」
思わず漏らしたのは、目を疑ってしまいそうになる程の実力。
「こうして戦っていれば、シンマネも減らせるしね」
「そうですね」
似たような能力を持っていたアーゼスより強い……
誰もこの人を攻撃する事さえままならないだろう。
シキは自分のことを、情けないだとか、女に任せっきりだとか、そんな風に卑下する事はなかった。
人にはそれぞれに得意な状況、技、才があるのを知っていたからだ。
それが彼のいつも思っていた事だった。
(でもそれを言い訳にしてるのか?俺は)
なら、今の俺に求められているのはなんだっていうんだ。
もっと力を付ければいいのか?
誰かに頼りっぱなしで、自分は何ができるんだ?
優れたシンマネ制御力は俺にはないし、容量だって全然だ。
「ユイさん」
「ん?」
「疲れてないですか?おぶって行きましょうか?」
「ふふっ、なあにそれ」




