崩壊2
少しの休憩で、何とか身体を動かして声が出せるようになった。
アルフレーガシの薬師がシキの身体に込めたシンマネは、本当によく効いていた。
「すみません……」
「へえ、第一声が謝罪なの?」
「何助けたつもりで調子のってんすか……」
「助けたつもりはないんだけどな〜」
仲間になってくれてまずさっそく、大きな借りを作られたような気がした。
軽口をかわしながら空を見上げると。
快晴だった。
ナイトメアに突き刺さる氷が溶けていく。
駆けていく光の中、広がる世界が眩しい。
「行きましょう、まずは街を探して情報集め。そんですぐにオルレアンへ」
「うん!」
リベールに繋がれた武器のセットを確認し終え、歩き出した。
シキは焦っていた。
彼女は常にシンマネを体外に放出しなければ、間に合わない。
現に今、常にシンマネが彼女の身体から発せられている。
ユイの性格ならせめて一言断りを入れてくるはずだと感じていた。
この状態は何より敵を呼び寄せてしまうからである。
ナイトメアの行動原理は、学者間ではシンマネを求める事によるものらしい。
つまり、今のユイは格好の餌だ。
かなりヤバいのかもしれない。
イカダに乗る前に燦がユイのシンマネをほぼ全て掻き消してくれたのだが、いつまで持つかは分からない。
はやく合流出来るとは限らないからこそ、長きを見据えているのだろう。
常に放出させていても、疲弊する一方である。
休まなければいけない。
だがそれだとシンマネがキャパオーバーしてしまう。
アルフレーガシにいたころは恐らくあの薬師がコンディションの調整をしていたのだろう。
どうしても溢れ出てしまう力を、管理していたのだ。
では。
俺に何が出来るというんだ。
俺はどうする?
何か手はないか。
認めてたまるかよ、ユイさんを化け物にさせてなるものか。
必ず二人で……
シキは力強くユイの手を握り
「二人で、オルレアンに帰りましょう」
と目を向けて言った。
そうするとユイの肩が震え出す。
泣いているのか……?
ユイは吹き出した。
「あはははははははっ!当たり前じゃない!」
肩が揺れ続けている、何がそんなにおかしいのか。
「私が起きている間はなるべくこうやってシンマネをばら撒いていくから、しっかり敵を警戒していこうね!眠くなったら寝るから!」
なるほどお見通しか。
「随分、言うようになりましたね」
オルレアンの頃は、ただひたすら顔色を伺っているような子が、今はすごく頼りたい。
どこまで持つかは分からないが、なるべく急ごう。




