桜吹雪舞う頃に10
「落ち着けよ、後ろを見てみろよ。あの中にもいるんだぜ」
後ろを向き、イカダに乗って続くメンバー達を見渡す。
「理由は数あれど、いるんだ。敵だったはずなのに俺たちの仲間になってくれたナイトメアが」
再度、桜吹雪と呼ばれた建築物は、元はブレーキとアクセルを繋げる為の象徴として存在していた。
そこを乗っ取るように反逆組織として、新生桜吹雪として、シキは指導者になった。
殆どのナイトメアブレーキがアゲハの元へ向かったが、ごく僅か、ここに残った者もいる。
「つまりオルレアンも同じだと?」
「今のオルレアンは建前上同盟を結んでいる」
「どうしてナイトメアブレーキはそれを承認できた?」
「技術提供だ」
「どんな?」
「あの街はかつて異世界から迷い込んだ昔のヒト、サト一族がもたらした秘伝の技術がある。本物の武器を作る技術が」
「その技術を提供し、ブレーキ側に与する事ですぐに街としての機能を取り戻し、敵もいなくなる。そういう事?」
「ああ、でもやっぱり、力で他者をねじ伏せるような奴らに屈するってのは気にくわないんで戦いたいらしい」
「どんなもんかと帰郷して見たときは驚いたよ。何故か街がボコボコにされかけていて、ナイトメアブレーキが幅利かせて、歩き回ってるんだからな。侵入して長と話をしてきたのさ。そうしたらその人はな、『戦いたい』ってただその一言だけ俺に伝えたんだ」
「なるほど、では今からその街を?」
「取り戻す、必ず潰してやる」
シキは思った。
力を暴走させてしまったユイさんが街を衰退にまで追い込んだのは事実ではあるが、悪いのはそんな不安定な彼女の力に頼らざるを得ない状況にまでオルレアンを追い込んだナイトメアブレーキ共だ。
あのまま俺たちの故郷を、野放しにはさせん。




