桜吹雪舞う頃に7
「お前ら!すぐにここを脱出するぞ!戦っても良かったが、この建物は元はあらゆるナイトメアが一つになるべくして存在しているものだ!めちゃくちゃにするわけにはいかない!」
「先ずは生き延びてから、新たな希望を繋ぐぞ!ついてこい!」
喉が枯れんばかりに大声を出し、一斉に指示を飛ばすと。
まるで制御された機械のように、静かになり、指示に従って行く。
「凄い……見ない間にもっと強く、もっと逞しくなってる……」
列に加わり、桜吹雪の地下へと続く階段を降りていく道中、ユイに会う燦。
ユイは、知らない世界の連続に心躍らせているようにすら見えた。
「ユイさんは落ち着いていますね」
「うん、付いていけば間違いないって信じられるから」
「ああー、分かります。有無を言わさない迫力みたいなのがありますよね」
「うん、いっつも偉そうにして、その癖私より弱かったのにいつの間にか機転が利くようになってるし、少しは意地っ張りもマシになってる」
「うんうん」
「でもこれって燦くんのお陰かなって思えるんだ」
「えっ?」
「燦くん、元は別世界の人間なんでしょ?別世界が本当にあったっていうのも驚いたけど、自分の命が巻き込まれるみたいにこんな場所にいる。どう見ても燦くん、優しくて他人に力をふるえるような人間じゃない」
それは貴方もじゃないですか?そう言いたかった。
「ナイトメアはヒトを守るという使命を帯びている。その目的は分からないけどもう生まれた時から遺伝子に刻まれているみたい。何故だろうね。でも君はそのたった一人のナイトメアを助けようとしている。最強のナイトメアの手から助け出そうとしている」
「妬みも僻みもせず、ひたむきにただひたすら突っ走る姿に感化されたのかな、シキくんが技を教えてくれるほどに」
紅慶刃か……
「理由は自分でもよく分からないけど僕も『ナイトメアと同じ』なのだと感じて居ます」
「助けたい、守りたいって気持ちが遺伝子に刻まれてしまっているって表現、ピッタリハマりました。僕もそんな感じです。だから何もしないで傍観してたらきっと、心が痛くてどうしようもなくなってしまうって分かってる」
「まあでも、これは何か気持ち悪いかもしれませんね。まるでレスキュー隊のような強迫観念に囚われているみたい。案外アゲハの所で丁重に扱われて幸せに生きてるのかも。だからそれを確かめに行く為の旅でもあります」
「そういう所に、シキくんが動かされたのかもよ」
「どういう所……?」




