桜吹雪舞う頃に4
大勢の人にこうして視線をぶつけられる事は頻繁にあった。
そう言う人生をユイは送ってきた。
でもそれは多くが奇異の目だった。
故郷オルレアンでは民から巫女として崇められ、奉られ、畏怖の感情をぶつけられ、長からは力ごと己の存在を異常だと言われ否定され。
普段の他愛もないような会話など、極々数人とでしかなかった。
アルフレーガシでも血は伴わないにせよ似たような事ばかり。
だがこの桜吹雪には全員が今までの大衆とは180度違うような視線を自身に向けてくる。
多くの視線を受けた彼女だからこそ分かる。
この大勢から送られる視線は悪意には満ちていない事を。
「シキくん……!恥ずかしい!」
「すぐ慣れますよ」
嫌なニヤケ面をしていた。
助けて欲しかったのに。
それどころかシキは
「お前ら!今の内にこの人と色々話しとけ!集団戦になった時の連携もあるからな!コミュニケーションは大事だぞ!コミュニケーション!」
手招きしてあの人数を呼び寄せたのだ。
あっという間に見知らぬ者達に囲まれるユイ。
いつの間にかシキも燦もこの場にはいなくなっていた。
だけど、今更ながら少し懐かしい感じがした。
昔からそうだったのだ。
闇に入りかけた自分を滅茶苦茶に、雑に、だけどそれらの事は何かしらの理由と意味があって、それがあの男のやり方なのだと。
だけど本当に熱が消え去ってしまい、鬱屈とした自分にはそれが。
心地いい。




