桜吹雪舞う頃に
「本当に来ていいの……?」
ユイのかしげた眉が、その不安を物語る。
「当たり前じゃないですか」
「この力が暴走したらシキくんだって」
「余剰化したシンマネを体外へ追い出すすべを教えてくれた人のおかげで、今まで不安定になる事はなかったんですよね?それなら大丈夫です」
根拠のない自信がシキにはあるように、ユイには見えた。
「それに、もしもの事があったらこいつがいます」
そうしてシキは、燦の肩を二回叩く。
その意図をすぐに汲み取った燦は誇らしげに
「任せてください!僕なら一気に奪っておけます!」
「危なくなったらすぐ声かけてください、俺だって何も考えてないって事はないです」
そこから安心を覚えた。
あの考え無しの彼が少しは頭を使うようになったのだ。
信じてみたくなった。
改めて悲しさで力を抑えなくてもいい、そう考えるとまたも涙が出てくる。
何度も泣き顔を見られるのは恥ずかしいので、足を少し遅めて、後ろに並んだ。
アルフレーガシを出て、平原が果てしなく広がる。
どうしようもなくその光景は広く、そしてそれに呼応して嬉しさが拡大していく。
『オオーイ!待ってくれェー!!』
背後から声がする。
3人は声のする方へ振り返る。
そこにはアルフレーガシに住む全ての人が総出で、ユイの旅立ちを祝福していた。
大振りで両手を広げて旅立ちを祝福していた。
初めは奇異的なものを見る視線をぶつけていたものも、あんな風に応援してくれるのだ。
女神と讃えてくれるのだ。
その様をユイは何も言わず、ただひたすらに見つめていた。
「あれって」
そして、彼らの先頭にはアルフレーガシの長がいた。
「話をするぐらいの時間はありますよ」
シキはほんの少しの笑いで、背中を押す。




