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雑音ステップ 〜ALONE〜  作者: 白井 雲
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薬師の葛藤17

「数年前、彼らは同じ街に住んでいた。オルレアンという街だ。ヒトとナイトメアが共存していた、稀な街だった。だが滅んだ」



「そうだ、お前達がずっと火つけと壊しをして回ってるから!」



「違うな、確かに我々はあらゆる住処を消して行く事はあったが。あの街はな、ナイトメアブレーキが攻める前に『既に滅んでいた』のだ」



話が違う。



度重なる襲撃に立ち向かったが、抗えなかったのだと。



シキの話からそう解釈していたが。



「ある化け物が暴虐の限りを尽くし、街の全てを終わらせたのだ。シンマネに愛され続け、決して尽きぬ事ない力を持つ者の正体が」



暗黒の真実。



「ユイ。つまり彼女がオルレアンのヒトを、ナイトメアを殺し、街そのものを壊滅させた張本人なのだよ!」



「彼女はシキの帰るべき場所さえ奪った。だから、オルレアンの生き残りはお前を激しく憎み、擦り寄るカタチでこの街に力を配り続けるお前の衰弱を待ち続け殺害するつもりだった。この大きな屋敷はいわば彼女の為の牢獄だ!いつ死ぬのか、ここに住み込んでいたヤツらはずっと待っていた!」



……だから僕の話を聞いて、シキはあんなに血相抱えていたのか。



あの屋敷の人達は、ユイさんを応援してなんかいなかったというのか……



「そして彼はたかがトラップ式の夜半の氷刃に遅れをとり、結果的にピンチを招いた!実の所、憎くて仕方がないのだよ!」




「シキィ!!!」



そして今度もまた。



「だが、安心しろ!今度は共々逝かせてやる!」



夜半の氷刃act2は、シキとユイを全方位から、囲むように。



その刃を伸ばした。



「くっ、いつの間に!シキ!!ユイさん!!」








無数の刃が二人を貫かんと迫るその瞬間、シキは。






「ありがとよ。アーゼス。ユイさんは少なくとも、独りぼっちにはならなかった。望んでも一人にはなれなかったんだ。少なくとも俺はこの人を憎んでは居なかったから」



俺は、ユイさんの身を犠牲にした結果とても大きくなったアルフレーガシを思い返して、交差する心が見えたよ。



ヒトは、一度愛されてしまうと、ずっと記憶に残ってる。



このヒトの大きな心に比べれば、一瞬だけ、ほんの少しだけ、矮小な心が大きくなっただろう。









シキは、残った最後の力を振り絞り、抱えたユイを前方に投げ飛ばし、攻撃される範囲から引き離す。



シキにはもう、脱出できる体力がなかった。







「シキィイイイイイイイッ!!!」







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