薬師の葛藤17
シキは己の行動を持ってして、アーゼスの言葉を否定した。
「クックク、ハハハハハハハハハ!」
その代償がこんな……こんなに身体を穴だらけにしてしまう事だとでもいうのか。
「やり切った顔……するにはまだ早い、早すぎる……」
さすがの衝撃に、ユイさんは目を覚ました。
今目を覚ましたのか。
いや、本当は朧げながら、アーゼスの言葉が耳に入っていたのかもしれない。
その身体は酷く震え、押し寄せる現実の波に押しつぶされてしまいそうだった。
「なんで、こんな……やっと再会できたのに、話をもっとしたかった……」
未だにコントロールしきれない力をせめて有効にと、溢れるシンマネを配り続けたのも。
恨まれていると知りながら、この屋敷に身を置いたのも。
悲しさでしか、暴走する力を抑える事が出来なかった自分の弱さが、現れていた。
「私が……最初に死ぬべきだった……分かってた。分かってたのに……」
『助けたいのか?』
あの無愛想な爺さんだ。
「ユイ、あやつを助けたいのか?どうなんだ?」
「助けたいよ、どうすれば助けられるの!?」
「では、助けるとしよう」
おじいさんは、いとも簡単に言い放った。
助けると。
シキの身体は穴だらけになって、血反吐を多量にぶちまいている。
あの状態からどうやって……
「案ずるな、ワシは薬師。傷を治すにはどうするべきか。熟知しておる」
「じーやん……まさか」
ユイの目には多くの者を治す彼の大きな姿が、前と変わらないように見えた。




