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モンスターのご主人様  作者: ショコラ・ミント/日暮 眠都
1章.ご主人様と眷族の彼女たち
7/321

07. 狼との遭遇

前話のあらすじ:

女の子の上になったり上になったりくんずほぐれつ。

(誤字じゃありません)

   7



 おれはリリィに魔法で水を用意させると、加藤さんに体を清めるように言っておいて、一足先に小屋を出た。


 手伝いとして、ローズを残してある。

 姿かたちが人とは違うローズの方が、彼女も体を晒しやすいだろうと思ったからだ。


 加藤さん自身は、手伝いは要らないと断ったのだが、何度か勧めるとおれの提案を受け入れた。


 これが正しい判断かどうかは、男のおれにはわからない。

 ましてや、ローズを彼女につけた目的の半分は、彼女の監視であることを考えれば、これが彼女のためだなんて、口が裂けても言えはしなかった。


「ご主人様。本当に、あの子を連れていくの?」

「いきなりそれか」


 小屋を出た途端に、リリィがちょっと抑えた声で尋ねてきたので、おれはつい苦笑してしまった。


「笑わないでよ、もう」

「悪い」


 リリィは拗ねたように、桜色の唇を尖らせている。

 そうすると、彼女はひどく幼く見えた。


「おれの判断が不満か?」

「ご主人様の決定なら反対なんてしないよ」

「それはおれの質問への返答になってないな」


 リリィはおれが決定したことだから従うが、かといって、納得したわけでもないということだ。


 こうして二人きりになった時を見計らって尋ねてきたのも、我慢出来なかったからだろう。


 勿論、反対されたからといって、不快になんて感じない。

 不満に思っているその理由というのが、おれの身が危険にさらされるからであることは、わかりきっていたからだ。


「別に身を挺してでも守ってやれ、なんてことを言っているわけじゃない。余裕があればで構わない。自分の身を一番に考えて、次におれを、三番目に加藤さんを気にしてやっていればいい。ほら。優先順位は単純だろう? 間違えることはない」

「いきなり順番の一番目と二番目を間違ってるけど」

「とにかく、彼女自身に戦う力はないからな」


 この話は恐らく平行線だろうと判断して、おれは話を先に進める。


「彼女自身がおれたちにとって危険な存在になることは考えられない。彼女が同行することで、小さな不都合がいくつか出るだろうが、こちらも許容範囲だと思う」

「逆に言うと、多少なり不都合が出るのに、加藤さんを守ってあげようってことだよね? ほら、わたしの正体を隠したりだとか」

「窮屈ならバラしても構わないぞ。それほど意味のあることじゃない。あくまで念のためだからな」

「話が逸れてるよ、ご主人様。誤魔化されてなんてあげないんだから」


 リリィは不満というよりも、むしろ不安そうな顔をしていた。


「そんなにあの子が大事なの?」

「そうじゃない」


 おれは綺麗な亜麻色の頭を撫でた。


「おれが守りたいのは、多分、おれの中にある形も定かじゃない『何か』なんだと思う」

「何か?」

「昨日、おれは加藤さんを保護した。勢いだろうが、成り行きだろうが、何だろうが、彼女を保護したという事実は変わらない。拾った猫をもう一度捨てるのは無責任だ――なんて喩えると陳腐だけどな。おれには責任があるし、その責任は果たさなければいけない」


 ……と思う。

 思ってしまう、という方が正確かもしれない。


 その理由は、道徳心や倫理観では決してないだろう。なにせ、おれは既に三人の人間を殺す禁忌を犯している。


 それでは、何故なのか。

 そう問われても、おれにはおれの心がわからない。


 だから『何か』としか言いようがない。そういうことだった。


「ご主人様は――」


 リリィは大きな瞳におれを映し出して何か言いかけ、言葉が見つからなかったのか少し困ったように笑った。


「ご主人様は、真面目だね」

「つまらないとは、よく言われる」

「それは違うよ」


 それは何処か懐かしい感触を覚える会話だった。


「ご主人様は、そうじゃない」


 リリィは頭をおれの二の腕に押しつけるようにした。


「だから、うん。ご主人様のためなら、わたしもあの子を守ってあげてもいい」

「そうか」


 おれは頬を彼女の亜麻色の髪に擦り寄せた。


「ありがとう」


 不思議だった。


 こんな危険な森の中にいるというのに、この時、おれが感じていたのは幸せと呼ばれるものに他ならなかった。


 恐らくだが、おれが失いたくないと思う『何か』を取りこぼした時、こうした時間はなくなってしまうのではないか……


 そんなことを、ただ漠然と考える。


 そして、ふと気がついた。


 それが正しいとするのなら、おれが本当に守りたいものは、この掛け替えのない幸福のひとかけらなのかもしれない。


   ***


 加藤さんが体を清め終わるのを待って、おれたちは小屋をあとにした。


「忘れ物はないか? この場所に戻るつもりはないから、持ち物があれば全部持ってきてくれよ」

「……はい」

「あれ? この小屋、ご主人様は放棄するつもりなんだ?」


 今朝からずっとおれの腕を抱え込んだままのリリィが、斜め下から尋ねてくる。


 加藤さんがちらりとリリィを見た。


 だが、何も言わない。

 彼女は何も尋ねない。


 おれたちと同じ日本から異世界転移してきた学生に見えるリリィが、同じ学生であるはずのおれのことを「ご主人様」呼ばわりしていることに、不審を抱いている様子がないわけではない。


 それなのに、これまで何も尋ねてこないのは、どういった意図があってのことだろうか。


 考えてみるが、答えは出ない。

 尋ねてみればいいのだろうが、藪蛇という言葉もある。

 また、それが良からぬことであるのなら、素直に答えるはずがない。聞いたところで意味はないだろう。


 なんというか、歯がゆい。


 リリィにせよ、ローズにせよ、パスで繋がっているので何となく意思疎通が出来ているし、何よりおれは彼女たちを信頼している。

 そういう意味で、加藤さんの存在はストレスだった。


 とはいえ、人間を同行させることが、こういう結果を招くことはわかりきっていたことでもある。


 ここは我慢するしかないか。


「ご主人様」

「ああ、えっと、そうだな」


 益体もない考えを切り上げて、おれはリリィに顔を向ける。


「この小屋にはモンスターを遠ざける結界みたいなものが張られていた。だが、今はそれもない。わざわざ拠点をこんな目立つものにする必要もない」


 おれが警戒しているのは、モンスターだけではない。人間もまた、おれにとっては仮想敵だった。


 その点、あまりにもこの山小屋は悪目立ちし過ぎていた。


 ただ、加藤さんを連れている以上、彼女の身柄を保護してもらうために一度は人間と接触する必要があることだけは、念頭に置いておかねばならないが。


 ベストなのは、こちらから人間の集団を発見し、規律を保っているかどうかを確認した上で、おれたちは彼らに接触することなく加藤さんだけを送り出すことだ。


 まあ、そう上手くはいかないだろうが。


「じゃあ、行くか」

「うん」

「……はい」


 元気の良いリリィと、対照的にダウナーな加藤さんの了承を得て、おれたちは小屋をあとにした。


 前衛であるローズを先頭に、遠距離攻撃手段を持つリリィが後衛兼、おれと加藤さんの二人の護衛を務めるかたちで、深い森の中を進んでいく。


「加藤さん。森の中を歩くのは、体に負担がかかる。疲れた時は早めに言ってくれ」

「いえ。大丈夫、です。……すみません」

「ご主人様こそ疲れてない?」

「ああ、おれは大丈夫だ」


 流石のリリィも、今はおれの腕を離している。


 離れていくぬくもりを名残惜しいと感じてしまったことは、多分、パスを通じて気付かれてしまっているのだろう。


 こういう時だけそれを不便だと感じてしまうのは……少々おれも勝手が過ぎるかもしれない。


 モンスターに遭遇することなく、おれたちが異変を見付けたのは、何度かの休憩を挟みながら数時間ほども歩いた頃のことだった。


「……腐臭?」


 おれは思わず鼻筋に皺を寄せてつぶやいた。


 何かが腐ったような強烈な臭いがした。


「どうするの、ご主人様?」

「そうだな」


 この一行のリーダーはおれだ。

 満足に自分の身を守ることさえ出来ない情けないリーダーではあるが、決断だけはおれがくださなければならない。こればっかりは、リリィやローズを頼るわけにはいかないのだ。


 異変を察知できたのはいい。

 だが、さて、どうしたものだろうか。


 近づくのは危険かもしれない。

 だが、この森の中で危険ではない場所などない。


 異常がわかりやすいかたちで顕れてくれているのだから、こっそりと様子を窺うことが出来る分、むしろ危険は少ないとも考えられる。


「行こう」


 考えていたのは数秒のことだった。


「加藤さんもそれでいいな?」

「……はい」


 おれたちは鼻が曲がりそうな臭いのもとへと向かっていった。

 あれだけ濃かった森の臭いが、徐々に押しのけられていく。


 ほどなくして、五人ほどの学生のものと思われる死体が散らばっているのを、おれたちは発見した。


 五人『ほど』という曖昧な言い方となってしまった原因は、『散らばっていた』という本来使うべきではない単語にも表れている。


「これは……酷いな」


 ばらばらに食い散らかされた肉片として、彼らの死体は存在したのだった。


 少し離れた場所から、様子を少しうかがったあとで、もはや脅威は去っていると判断したおれたちは、現場へと足を踏み入れた。


「見た感じだけど、大型の獣に喰い殺された、みたいな?」


 おれにはわからない死因を、リリィが推測してくれた。


「モンスターにやられたってことか」

「多分ね」

「そうか。詳しく調べれば、ひょっとして、もう少し何かわかるかもしれないな」


 といって、死体に近づこうとしたおれは、ふと足をとめてしまった。


 以前の水島美穂の時と違って、死体は死後時間が経過している。

 腐敗が進んでおり、死体には蠅がたかっていた。


 既に殺人を経験してしまったおれだったが、こういうことは、また少し勝手が違っているものらしい。


 だが、これはやらなければいけないことだ。

 此処で人が死んでいるということは、明確な脅威が存在するということだ。


 この惨劇は十中八九モンスターによるものだろうが、たとえば、これがコロニーでおれが聞いたことのないモンスターによる犯行である可能性もある。


 此処でヒントを得なかったことで死ぬ羽目になっても、後悔は先に立たない。


「それじゃあ、調べるぞ。……って、何だ、ローズ?」


 気を取り直して一歩踏み出したおれだったが、目の前に木製の手が突き出されて、再び足をとめることになった。


 その代わりに、ローズが一歩前に出た。


「ひょっとして、お前がやるってのか?」


 パスを伝って、肯定の意思が返ってきた。


「お、おい……」


 珍しくおれの承諾を得る前にローズは動き出し、死体の検分を始めてしまった。


 彼女は黙々と……というのは、口がきけないので当然だが、散らばっている学生たちの死体を調べ始めた。


 その背中からはこれは自分がやらなければいけない、という一種の義務感さえ感じ取れた。


「ねえ。ローズは護衛に回ってもらって、わたしが調べた方がいいんじゃないかな? あとでご主人様に報告もしやすいし」


 リリィが提案するが、それもローズは手で制する。


 ローズは手早く遺留品を並べて確認していく。


 おれたちは、それを少し離れた場所で見ていることになった。


 そうしている間、おれは目の前の死体に完全に意識を取られていた。


 あとから考えれば、それは、致命的な隙だったに違いない。

 危うく命さえ失ってしまいかねない程に。


「ご主人様!」


 不意にリリィが、鋭く警戒の声をあげた。


 注意を余所に逸らしていたとはいえ、最低限の警戒心だけは働いていたのか、おれの体は警告に辛うじて反応してくれた。


「な――!?」


 振り返る視界に、茂みから飛び出す何かが映った。


「やぁぁあ!」


 と見えた時には、その何かにリリィが突進していた。


 文字通りの体当たりだ。


 魔法を使う暇はなかった。

 手にした槍を使わなかったのは、それでは襲撃者の突進を確実にとめることは出来ないと判断したからだろう。


「ぐるぅおぅ!」

「きゃ!?」


 軽いリリィが弾き飛ばされたが、襲撃者もまた進路を逸らされていた。


 おれを狙っていた『牙』が、がちんと五十センチ離れた場所で噛みあわされる。


 気配が着地して体勢を整える。

 その間に、おれは辛うじて盾を構えることに成功していた。


 飛び掛かってくる何者か。それを灰色の狼と認識した時には、既に狼は飛び掛かってきていた。


 おれは盾をそちらに向けたまま、衝撃に備えて身構えた。


 そして――激突。


「ぐっ、ぅおおっ!?」


 均衡がとれたのは一瞬だけだった。


 おれは押し倒されて、仰向けに地面に倒れる。

 これはまずいと焦ったその時、ぶおん、と空気の唸る音がした。


「うわ!」


 不意に押さえつけてきていた力がなくなる。

 おれは慌てて体勢を整えた。


 狼が少し距離を取って着地するのが見えた。

 それとほぼ同時に、少し離れたところにいたはずのローズがおれのもとに駆け付けてきた。


「助かった、ローズ」


 彼女の手には斧がなかった。どうやらおれの窮地を見て、咄嗟に彼女は斧を狼に投げつけたらしい。助けられたが、結果として、今のローズの装備は盾だけだ。


「ぐるるるるる……」


 唸りをあげる灰色の狼。

 こいつは確か、コロニーでは『ファイア・ファング』と呼ばれていたモンスターのはずだ。その特性は名前の通りに……


「気を付けろ。ローズ、炎がくる!」


 おれが叫ぶのと同時、狼がぱっくりと口を広げた。


「がぁぁあぉおあぁっ!」


 火炎放射のように吐き出される赤い炎。

 臆することなくローズが前に出て、炎を盾で受け止める。


 一瞬だけ炎が遮られるが、元より不定形の炎はローズの守りを突破する。


 おれの目前に赤い炎が広がり、そして――


「うわっ……ぁああああ――っ!?」


 ――炎に呑みこまれる直前、おれの体は横からかっさらわれた。


「ご主人様! 無事!?」

「リリィか!?」


 おれのことを助けてくれたのは、甘く整った容貌を今は厳しく引き締めたリリィだった。


 先程、体を張っておれのことを不意打ちから助けてくれたあとで、すぐに体勢を立て直して、迫りくる炎からおれのことを救ってくれたのだ。


「悪い、リリィ。助かった」

「無事でよかった」


 リリィはおれと、その後ろにいた加藤さんを両手に抱えて走る。


「ローズ、もう少しの間、足止めを!」


 リリィが鋭く指示を出す。


 ローズはその場で足をとめ、盾でファイア・ファングの吐き出す炎を受け止めている。どっしりと構えて、ファイア・ファングの進路を塞いで、おれたちを追うことを許さない。


 ローズ自身が造った愛用の盾は、木製であるにもかかわらず、魔法の効果のためか燃え上がることがなかった。炎の大半を防いでいる。


 おれたちが射程から退避したあとで、ローズは防御から回避に移った。


 ファイア・ファングの炎が彼女を追うが、たくみに距離をとりかわしている。

 マジカル・パペットは見た目より防御力が高い。炎は少なからずローズを焙っていたはずだが、いまの回避する動きを見る限りダメージは少なそうだ。


 おれはほっと胸を撫で下ろした。


「ご主人様、あいつ、倒しちゃってもいいよね?」


 おれたちを地面に下ろしたリリィは、掌に魔法陣を描きだした。


「許可する! あいつは眷族には出来ない!」

「了解!」


 リリィの掌の魔法陣が鮮やかな青色に輝いた。


 ――おれが知る限り、魔法には魔法陣が必要不可欠だ。

 魔法陣の色は魔法の属性を、大きさは魔法の威力を、描かれた図形は魔法の性質を決定する。


 こういったモノにはやたらこだわる人間というのがいるもので、たった一ヶ月にも満たない異世界生活の間に、戦闘用魔法については大体の分類が終わっている。たとえば、直径三十センチ程度の魔法陣なら第一階梯、小型拳銃程度の殺傷能力……といったように。


 数秒のうちに作り上げたリリィの魔法は、第二階梯の水魔法。

 狩猟用大型拳銃の殺傷能力を持ち、剣の性質を与えられていた。


 三本の水の剣が空中に現れ、隼の如く飛翔する。


「ぐるぅあぁうぁ!」


 おれにしてみれば目にもとまらぬ速度での射出だったが、ファイア・ウルフは炎を吐き出すのをやめると、身を翻してそれを避けてしまった。


 しかし、そこまでがリリィの予定通りの行動だった。


「ぎゃんっ!?」


 ローズの投げ飛ばした盾が、したたかにファイア・ウルフの鼻づらを打ちつけた。


 ……どうでもいいが、ローズはよく物を投げる。


 そんな呑気な考えが一瞬おれの頭によぎった頃には、空中で体勢を崩したファイア・ウルフに、ローズが襲いかかっていた。


 武器を手放したローズだったが、相手は空中で満足に体勢が整わないうちに組みつかれ、自慢の速力を発揮出来なくなっている。


 ローズが狼の体を脇に挟むように締めつけ、地面に押さえつける。

 ぎゃんぎゃんと悲鳴があがった。


 コロニーでは、ファイア・ファングはマジカル・パペットより危険なモンスターだとされていたため、無手で飛び掛かるローズを見ておれは一瞬ひやりとしたのだが、どうやらこれなら大丈夫そうだ。


 胸を撫で下ろす。

 本来、ファイア・ファングの本当の恐ろしさは、狼らしく群れを作ることだ。そのあたりの事情が、ローズに勝利をもたらしたのかもしれない。


 最後はリリィが風魔法で首を刈って、ファイア・ファングは息絶えた。


「……終わった、か」


 最後まで見届けて、ようやくおれは詰めていた息を吐き出した。

 心臓がどくどくと嫌な感じに跳ねている。表情が強張っているのがわかった。


「ちょっとヒヤッとした、かな。……加藤さん、大丈夫?」

「……はい」


 加藤さんはこくりと頷いた。

 やや表情が蒼褪めている。これはおれも似たり寄ったりだろう。


「足手纏いになってしまい……申し訳ありませんでした」

「いや。それはおれも同じだから」


 答えつつ、おれは表情を苦くした。


 以前のマジカル・パペットとの戦闘は、こちらが先手を打てていたが、当然、こっちが襲撃を受ける可能性もあるのだ。わかってはいたことだったが、此処までおれたち足手纏いが足を引っ張るというのは誤算だった。


 切り抜けられたのは幸運だった。

 勿論、リリィとローズの献身あってのことだ。


 そして、ファイア・ファングを狩れたのも幸運だ。これで、リリィの擬態能力によってファイア・ファングの嗅覚を得ることが出来るかもしれない。


 残念ながら、学生たちの死体から得られた情報はなかった。

 だが、こちらはあまり最初から期待していなかったから構わない。恐らく、さっきのファイア・ファングにやられたのだろう。


 気をつけながら森を進んだが、その日はもうモンスターと出会うことはなく、おれたちは洞窟に帰還した。

◆ここまでお読み下さりありがとうございます。


◆アクセスが此処数日で跳ね上がっていて驚きました。むしろ、おのののきました。失礼、かみまみた。

お気に入り登録、評価をつけてくださった方のお陰です。活動報告を見られない方もいるでしょうし、この場でお礼をさせていただきます。

ありがとうございました。


◆長くなったので、ちょっと中途半端なところで切れました。

書き直している途中で、いつもよりも長いのに気付いたっていう……書き終わった時点で気付け。


◆次回更新は、12/21(土曜日)となります。

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