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姫勇者ラーニャ 作者:松宮星

嵐の前の平穏な日々

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ずいぶん前の話! まだ赤ちゃんなの!

 十三代目勇者の従者――武闘僧ナーダはインディラ国ラジャラ王朝第十二代国王に即位した。


 大僧正候補であったナーダが還俗し即位せざるをえなくなったのには、むろん、理由があった。
 きっかけは、父王の第二夫人一族の国庫流用事実が発覚した事であった。国家の財産を盗み私腹を肥やしていた一族は、国王からその事実を追求されると、あろうことか逆に居直り、第二夫人の長子、第二王子ドゥリヨーダナをたてて謀反を起こしたのだった。
 その戦いに敗れ負傷した父王を、インディラ寺院が庇護した。国王は、第一王子であったナーダを出家させた過ちを心から詫びて、後事をナーダに託して息をひきとったのだった。
 父王の仇を討つ為、ナーダは還俗を決意した。
 その国を取り戻す戦いに協力したのが、後にナーダの正妃となったエウロペの侯爵令嬢、もと女勇者セレスであった。ナーダは、父王の遺した正規兵、インディラ寺院の武闘僧兵、セレスの手勢を率いて、勇猛に戦い、数に勝る賊徒を打ち破り、奸婦一族を葬ったのだった。
 国中がナーダの即位を喜んだ。信仰心に篤いインディラにおいて、大僧正は最も神に近い尊い存在。大僧正候補であったナーダに、人々は正道を期待した。
 即位と同時に、ナーダはセレスを正妃(第一夫人)に娶った。セレスが改宗を拒んだ為、彼女を第一夫人とする事に異を唱えた家臣も居たが、セレス自身が『異教徒の私が産む子供には、王位継承権を与えません』と、確約した為、大きな騒動とはならなかった。
 名門貴族達はこぞって、第二、第三夫人候補を差し出した。けれども、僧侶であったナーダは女性にたいへん淡白だった。セレス以外の女性は眼中にないとさえ言っていた。
 即位後、三ヶ月経ってからようやく、ナーダは妃候補の中からウシャスを選び、第二夫人に娶った。が、同時に、以後三年、妃を増やす気はないとも宣言してしまった。
 王国の世継ぎを得る為にウシャスを娶るが、心を捧げている女性はセレス一人だけであり、これ以上妃を増やすのは一夫一婦制のエウロペ教徒の彼女への裏切りにあたる。三年経っても、ウシャスが子をもうけられなかった場合には王国の為に第三夫人を娶る。が、ウシャスが世継ぎをもうけた場合は妃はもう一人も増やさない、と。
 後宮に妃が二人しか居ないなど、前代未聞の国王ではあったが……
 治水に力を入れ、税制を見直して国民の負担を軽くし、監察官制度をもうけて貴族の横行を取り締まり、教育・医療の充実をはかり、現状に合わなくなってきた古い律法の見直しまで始めるという、たいへん精力的に善政をほどこすナーダは、国民から絶大な支持を得た。
 民は好んで、国王と第一夫人の恋愛を語り合った。
 大魔王退治の旅の中、処女であらねばならない女勇者と女性(にょしょう)を絶たねばならない武闘僧の間に恋が芽生える。互いを思いながらも、決して結ばれる事のない二人の、せつなくも美しい恋……やがて、時は流れ、再会した二人は、今までの立場を捨て、愛の為に百万の軍勢に立ち向かってゆくのであった……
 国王と第一夫人の話は、詩歌となり、戯曲となり、絵画となって、インディラ国中を埋め尽くした。
 その中に、時折、おまけ程度に、共に大魔王を退治した人物が添えられる事があった。
 東国忍者ジライ。
 今はインディラ国のお庭番の忍者頭として、陰ながら王家を支えている男だ。
 ジライは偉大なる国王と美しい女勇者に忠義を尽くす、義理堅い男として描かれた。又、表舞台にまったく姿を見せないので、『白き狂い獅子』の二つ名から白装束の忍者として描かれる事が多かった。


 インディラ国王ナーダは回廊を走り、後宮へと向かっていた。羽飾りつきの絹のターバンを巻き、立派な口髭をたくわえ、逞しい大柄な体を金刺繍をほどこした白のチュニックで覆う姿は、まさに国王。武闘僧であった頃の面影はもう無い。
 後宮の手前で護衛役であった二人の近衛兵を残し、もどかしげに豪奢な愛の宮殿へと入ってゆく。女官達への挨拶もそこそこに、贅を尽くした室内噴水の広間を抜け、階を上がり、最奥の第一夫人の部屋を目指す。
「ジライが戻ったそうですね」
 その言葉と同時に、第一夫人の室の扉を開くと……
 そこには……
 覆面を外し、まだ赤子の第一王女を抱いて、べろべろばあとあやしている忍者ジライが居た。
 以前は『素顔を見られるのは死に勝る恥辱』と言って常に覆面をつけていた彼も、今ではすっかり人間が丸くなり、親しい者の前では素顔を晒すようになっていた。
 そんなジライを、サリーをまとったセレスがニコニコと見つめていた。
 他にも、ラーニャの乳母や侍女が数人部屋に居た。が、この部屋に居る召使は、全員、ジライの部下のくノ一、秘密を決して口外しない忍者なのだ。ジライは空気か何かのように彼女らを無視し、『白き狂い獅子』の異名を辱める顔で、楽しそうにセレスの娘をあやしている。
「ほんに、ラーニャ様はかわいらしい」
 黒い髪、茶の瞳、セレスによく似た肌のラーニャの赤くふっくらとした頬に、ジライは口づけをした。
「ラーニャ様がセレス様の血を引いておられると思えば思うほど、愛しさは募ります。昔は己の赤子など生まれたら(くび)り殺したくなると思っておりましたが……ラーニャ様には、全く、そんな気が起きませぬなあ」
「まあ、駄目よ、ジライ、赤ちゃんを殺すなんて。そんな暗黒系の考え、もう持ってはいけないわ。あなたは正義の忍者になったんですからね」
「はい、セレス様ぁ♪」
 ジライはめいっぱい相好を崩していた。
……つまり、そう、なのだ。
 インディラ国第一夫人セレスが産んだ、公式上はナーダの第一王女となっているラーニャの実の父親は……
 この忍者ジライなのである。


 表面はSのくせに、根は女王様趣味のM。その上、大魔王教徒であったジライには道徳観念がない。
 そのジライに性の手ほどきを受けたセレスも、又、かなりアブノーマルな性の道徳観念を持っていた。
『私が産む子供には王位継承権が無いんだから、誰の子を産んでもいいわよね』
 と、セレスは恐ろしい事を平気で言って、忍者ジライの娘を産んだのである。


 そもそも……
 ナーダが還俗して国王に即位せざるをえなくなったのは、全てこのジライと、今は亡き老忍者ガルバが謀ったせいなのだ……
 後になってから、ガルバの子飼いの部下のムジャが教えてくれたのだが……
 当時、ジライはセレスの身の振りに思い悩んでいたそうだ。
『勇者の剣』が持てなくなった以上、セレスが非処女となった事実は隠しきれない。とはいえ、下賎な忍者を恋人に選んだなどと世間に知られては、侯爵令嬢のセレスの評判にかかわる。彼女の高貴さを損なわぬ結婚相手が必要だった。それも、女王様である彼女の信奉者で、セレスを敬う下僕でなければふさわしくないとも考えていたようだ。
 そして、その頃、老忍者ガルバは、臓腑の病にかかっていた。タチの悪い腫瘍ができ、治癒魔法でそれを取り除いてもすぐに再生してしまう為、治療はたいへん難しいと診断された。しかも、治療を行えば脊髄損傷の危険もあるという病状……
 老忍者は病の事は主人(ナーダ)には伝えず、一切、治療もしなかったそうだ。
 日々、体が衰えてゆく中、老忍者は最後の奉公を望んだ。
 僧侶ナラカ、僧侶ナラカの妹サティー、そしてサティーの息子ナーダに仕えた老忍者は、ずっと己の至らなさを恥じていた。僧侶ナラカには供として認められず置いてゆかれ、暗殺の危機にさらされたサティが病に伏し亡くなるのを救えず、王国の世継ぎであったナーダが出家させられるのを止められなかったからだ。
 二十数年にわたり、ガルバは、ナーダの母の仇を討つべく計画を進めていた。奸婦一族を葬り、ナーダをインディラ国王に即位させる……。奸婦一族を社会的に『悪』として知らしめられるだけの証拠はつかんでいた。
 けれども、老人には自由に動く体がなかった。又、部下の忍者達だけに計画を任せるのもよしとしなかったようだ。
 気弱になっていたガルバをみかね、ムジャがジライに連絡をとって助っ人を頼み、二人を再会させたのだそうだ。
 セレスの結婚相手が欲しかったジライと、何が何でもナーダを王位につけたかったガルバ。
 二人は、互いの主人の為に、結託した。
 父王の第二夫人一族の悪行を白日の下に晒したのも、彼等を操り謀反を起こさせたのも、彼等の陣の井戸に下剤を撒き敵の精鋭達をふぬけにしたのも……
 ジライとガルバ、それにムジャ達ナーダの忍者軍団の忍達の仕業だったのだ。
 事情を知らなかったナーダは父王の死を目の当たりにして還俗を決め、突如現われて味方となったセレスとジライに驚きならも、正義の志をもって父王の仇をとったのだが……どうも、彼等の手に踊らされたらしい。
 もっとも、父王の死は計画外のハプニングだったようで、老忍者は死の床で何度もムジャに『この罪はわし一人が負ってゆく。御身様に、心よりお詫びしてくれ』と、言っていたそうだ。


 ナーダの即位後、わずか二週間で、老人は帰らぬ人となったそうだ。
 ナーダがその死を知ったのは更に二ヶ月後のことだった。
 即位して日も浅い主人を自分の死などで煩わせてはいけないと、老人は考えたのだ。遠方の仕事をしているという事にして主人(ナーダ)には死を伏せてくれと、老人は遺言した。
 ガルバの最期に立ち会ったのは、ガルバ子飼いの部下ムジャと、ジライだけだった。ガルバは次期忍者頭にジライを指名し、息を引き取ったとの事だった。
 老人の死をムジャから知らされ、ナーダは激しく怒った。老人の身勝手さに腹を立てたのだ。
『私の影を自称しながら、何一つ、私の願いをかなえないなんて! 自分勝手に好きなことやって、私が望んでもいなかったものを押しつけて、黙っていなくなってしまうなんて! 最低です! 不忠者です! 最悪の忍者です!』
 涙を隠す主人(あるじ)に、ムジャは『長年、頭領に付き従った者としてナーダ様にお礼を申し述べます』と、かしこまって言い、老人の遺髪を捧げ渡した。
『ナーダ様のご即位を見届け、頭領は人としてたいへん穏やかな最期を迎えられました。ありがとうございます』と。



 忍者としてのジライの力量はやはり非凡で、ジライはインディラ王家のお庭番の忍者軍団も自らの部下に吸収し、ガルバの部下も含め、強力な忍者軍団を作り上げた。人心を掌握する術を心得ていたのだ。
 ジライは国内外に部下を放ち積極的に情報収集を行っていた。有益な情報をナーダに報告し、ラジャラ王朝に不利益をもたらす者への妨害活動をし(時には暗殺もしているようなのだが、責めようにも証拠がない……)をし、部下の訓練もしている彼は、超多忙で滅多にセレスの元を訪れなかった。が、それだけに時間を作れた時には、愛しい女性(ヒト)と最愛の娘に惜しげもなく愛をふりまくのだ。
 ラーニャを見るジライの瞳はやさしい。ラーニャを愛する最たる理由は彼女がセレスの娘だからだが、彼女が黒髪で産まれた事もジライを喜ばせているようだった。黒髪は東国人の血の証。白髪の己を卑下しているジライは、娘の美しい黒髪をよく愛しそうに撫でている。
「あら、ナーダ、いらっしゃい」
 と、扉の前のナーダを見て、にっこりとセレスが微笑み、
「おや、これは国王陛下、ご無沙汰しております」
 と、ジライがニヤリと笑う。
 ナーダは身構えた。公式の場以外でジライがナーダを『国王陛下』と呼ぶのは、たいてい悪だくみがある時……或いはナーダを揶揄する時なのだ。
「一ヶ月ぶりでしたっけ」
 少し警戒しながら、ナーダは二人の元に歩み寄った。
「正確には二十五日ぶりね」
 と、セレス。ジライと顔を見合わせ、それから無邪気な笑みを浮かべる。
「ちょうど今日あたりから、受胎可能日ですもの。それに合わせて帰って来たのよ、ね?」
 セレスが『ね?』と言って首を傾げると、ジライもそれに合わせ『ね?』に同意するように首を傾げる。
「そろそろおでましの頃にござるな」
「え?」
 顔をスーッと青ざめたナーダの背後で……
「ジライが戻ったそうですね!」
 勢い良く扉が開き、部屋に女性が入って来る。
「ああああああああ……」
 頭を抱えるナーダ。
 その横で……
 ナーダやセレスに優美な所作で挨拶をした後、女性は忍者のもとに駆け寄り、うっとりと見つめたのだ。
「おまえの帰りを、今日か明日かと、(わたくし)は待ちわびておりましたよ、ジライ」
「これは第二妃様」
「いやぁん、ジライ、ここではウシャスと呼び捨てにしてぇ」
 鼻にかかった甘えるような声だ。
 ナーダは大きな体を小さくして、ひたすら蹲っていた。気持ち悪くて全身に鳥肌が立っている。顔をあげて今のウシャスを見ようものなら、確実に吐き気を催す。
 ウシャスは礼儀正しく信仰心に篤い女性だ。弦楽器を奏でるのが得意で、性格は控え目。体つきはほっそりとしており小柄。色気むんむんの女性よりは遥かにナーダの許容範囲内にあった。アーモンドのような目も印象的で、長い黒髪も美しく、顔立ちも愛らしい。普段の彼女であれば、共に居てもさほど苦痛ではなかった。
 しかし……ジライの前の彼女は最悪だった。
「実は私……国王陛下やおまえに見たもらいたくて」
 と、ウシャスは恥らいながらサリーを取り、衣服を脱ぎ捨て、その裸身を一同の前に晒した。
「……自分で縄を打ってみましたの」
「あら、素敵」
 ポンと手を叩いてから、セレスがうずくまっているナーダの肩をゆさゆさと揺さぶる。
「ほら、ほら、国王陛下、見てあげなさいよ。ウシャスったら、あなたに見てもらいたくって自分で自分を縛ってきたんですって」
「……嫌です、絶対、見たくありません」
「もう、ナーダったら、わかってないわねえ。あなたが軽蔑のまなざしを向けてあげればあげるほど、ウシャスはう〜んと悦ぶのよ、子種も宿りやすくなるわ」
「やっぱり……やるんですか、これから?」
 嫌そうに尋ねるナーダに、あっ軽くセレスが答える。
「当たり前でしょ、世継ぎをつくるのが国王の義務。その為に、私もジライも協力してるんだから、いい加減、ウシャスを孕ませてちょうだいな」


 騙されたのだ……
 ナーダは王位など、絶対に継ぎたくなかったのだ。薄汚い政治の世界も疎ましかったし、何よりも妃を娶りたくなかった。ナーダの女性嫌いは並ではない。女性のそばに寄るだけで鳥肌が立つのだ。妃を娶り性行為をしようものなら気持ち悪すぎて卒倒するに決まっている。
 父王の仇を討つ為に還俗はしたが、王位は継がない! ナーダは強くそう主張したのだが、彼の周囲の人間はナーダ本人の意志など無視して即位の準備を進めてくれた。貴族達にセレスにジライ、その上インディラ寺院の大僧正もウッダルプル支部のジャガナート僧正までもが『めでたい、めでたい』とナーダ国王即位に動いてくれたのだ。
『今更ひっこみつかないわよ、あなたの王位奪還は美談として世に広まっちゃったんだから、王位を継がなかったら暴動が起きるんじゃなくって? それにね、ナーダ、妃のこともどうにかなるわ。私と偽装結婚をして、私を形だけの妻にすればいいんだし。世継ぎの王子は、いずれ一族の中から出来の良い子を養子にすればいいんじゃないかしら?』
 その言葉を信じて王位を継いだのに……
 一ヶ月も経たないうちに、セレスはジライと二人して、和気あいあいと妃候補を選び始めたのだ。
『養子をもらうのは、ど〜〜〜〜〜しても子供が出来なかった時の最後の手段よ。まだ若いんだし子作りの努力をしてみましょう』
 あまり色気過剰ではなく、セレスの好みにも合う、Mの素質のある女性……二人は数人の貴族の娘を候補に選び、この中から妃を選ぶようにとナーダに迫ってきた。選ぶのは一人でも二人でも構わないし、何だったら全員、妃にしてしまえと言って。
 絶対、嫌だ!
 聞き届けない!
 妃など、死んだって娶るものか!
 勝手に妃を選んだら、再出家してやる!
 妃を選べとSの二人は幾日も精神的+肉体的に責めてきたが、ナーダは頑として拒絶した。
 そこで、二人はナーダへの説得方法を変え、ムジャに老忍者ガルバの死と遺言を語らせたのだ。
 赤ん坊の頃からずっと側に仕えてくれてきた老人の死を、ナーダは悼んだ。
 ナーダを守る為に家族すら犠牲にした老人……部下という立場を越え、過剰な愛情をもって仕えてくれた老人は……祖父にも等しい存在だった。父王の死よりも、ガルバの死の方が、ナーダの心に重く響いた。
 忠義者のガルバが、ナーダの即位を喜び、『世継ぎの王子を一目、見たかった』と言い残して亡くなったとあっては……
 故人の為に、やれるだけの事はやるべきだろう。それが、供養というものだ……ナーダは仕方なく、妃を娶る事とした。
 でも、一人だけ! 第二夫人しか持たない! と、言うナーダに、セレスはがっかりした。あなたの妃で、M奴隷ハーレムをつくりたかったのになあ、と。
 性格も見た目も比較的マシなウシャスを選んだナーダに、ジライは不敵な笑みを見せてこう言ったのだ。
『おまえに世継ぎを与えてやると、我はご老体と約束をした。我が房中術をもってすれば、おなごが駄目なおまえでも、必ずや女性と最後まで成し遂げられる』


 で……
 セレス女王様と、ナーダ、ウシャス、ジライの、SM4P関係となったのであった。
 まずはセレスとジライが、ウシャスをMに目覚めさせた。虐げられ辱められる事を好む女奴隷に調教し……それからナーダとの初夜を迎えさせたのだ。
 ナーダの前で、ジライに愛撫され、ウシャスはあられもなく喘ぎまくった。緊縛された体をくねらせ、大股を開いて。
 当然の事ながら、ナーダは嫌悪に顔をしかめ、醜く見えるものから目をそむけようとした。
 すると、ウシャスはより激しく悩ましげに喘ぎだした。嫌らしい姿を人に見られ軽蔑されるのが、彼女にとって最大の性的興奮に繋がるのだ。
 そこで、ウシャスへの責めはセレスにバトンタッチ。
 ウシャスを辱めるセレスの横で、ジライはナーダにしなだれかかり、口を吸い、もてる技術の全てを駆使してナーダを愛撫し始めた。
 妖しい笑みを浮かべるジライの魅力に抗えるわけもなく……ナーダのものは元気よく隆起し、そこへウシャスの処女の泉が押し当てられ……
 めでたく、正式な夫婦となったわけである……
 時には、ジライ、ナーダ、ウシャスのみのプレイもあった。が、基本はセレス女王様と三人の奴隷の4Pだった。いずれにしろジライが居なければナーダのものが勃たないので、ジライが王宮にいる時だけプレイは行われた。
 ただ、乱交はしていない。ジライはウシャスの肉体を愛撫こそすれ、絶対、生殖行為はしなかった。あくまでも、ウシャスの相手はナーダであり、セレスの相手はジライなのだ。
 ウシャスは四人の中で自分が最下層の奴隷である事を教え込まれているので、常日頃から、セレスをたて、ナーダにも敬意を払っている。自分に快楽を与えてくれる三人をご主人様と慕っているのだ。世継ぎの王子を産んでも、決して彼女は増長しないだろう。
 趣味と実益を兼ねて二人がウシャスをMに調教したのは仕方がないのだ……そうは思っても、やはり房中のウシャスはナーダにとって耐え難いほど醜く見えた。彼女との性交は、苦痛以外の何ものでもない
 ナーダの嫌そうな顔を見て、セレスが悪戯っぽく笑う。
「もう結婚して一年以上経つのよね。毎回、充実しためちゃくちゃ濃いプレイをしてるのに、どうして赤ちゃんができないのかしら?」
「……さあ、知りません」
「ナーダとウシャス、相性が悪いのかしら? だったら、かわいそうだけどウシャスは捨てちゃって、新しく第三、第四夫人でも娶ってもらおうかなあ……」
「え――っ!」
 ナーダとウシャスが同時に大声をあげる。
「ああ、セレス様、どうか、お慈悲を。私、どんな恥辱プレイにも耐えてみせますから、どうか捨てないでくださいましな」と、ウシャス。
「私は絶対嫌ですからね、セレス! 三年はウシャスだけと頑張る予定だったでしょ! これ以上、妻を増やすだなんて! 妻が増えたら、それだけ性交回数が増えるんでしょ? そんな事、想像するだけで……うっぷ、本気で吐きそうです……私」と、ナーダ。
「私としては、かわいいM奴隷がいっぱい増える方が嬉しいんだけど……」
 天使とも悪魔ともつかぬ正邪の区別もない子供のような笑みを浮かべ、セレスはナーダの肩をポンと叩いた。
「あなたがウシャス相手にしっかり励んでくれるのなら、もうしばらくは様子をみてあげてもいいわ」
 ナーダは糸目で、形だけの妻を睨んだ。
「……私が女性が苦手なの、よくご存じのくせに……とことん、意地悪ですね」
「それはそうよ。だって、私、女王様だもの」
 セレスは満面に笑みを浮かべた。
「じゃ、私、女王様スタイルに着替えてくるわ。準備しといてね、ジライ」
「承知」
 セレスは侍女を引き連れて隣室に消え、ジライはずっと抱いていた愛娘を乳母に託して下がらせた。
 ナーダの目の端に、ウシャスの裸体が映る。少女のように未成熟な体が亀甲縛りに縛られている。あれを自分で縛ったのかと思うと……めまいがした。
「そう嫌そうな顔ばかりをするな」
 ジライだった。何時の間にか、ナーダは背後をとられていた。
「おまえが見事、第二夫人を懐妊させたら、ご褒美に我が身を一晩、与えてやる」
「え?」
「煮るなり焼くなり好きにしていいぞ」
「……本当に?」
 ジライがそっと囁いた。
「我が欲しかったら、しっかり励むのだぞ」


 セレスと結ばれ一児をもうけ父となっても、ジライの妖しい美しさに変わりはなかった。未だにナーダは、ジライの恋の虜だった。
 国王となったのは不幸ではあったが、セレスの為とはいえ、ジライが仕えてくれて、ウシャスとの性交の際には必ず愛撫してくれ、時にはジライを犯る機会すら与えられるのだから……
 今のこの状況は、もしかすると……幸せなのかもしれない。


 インディラ王家の風紀は、この上ないほど乱れきっていた。
 しかし、当人達は、とことん幸せに平和に暮らしているのだから……それはそれでいいのかもしれない。
 次は、ラーニャにしてみれば、『私の知ったこっちゃないわ!』の話です。
 十八歳以上の方で男性の同性愛話でもOKの方は、『ムーンライトノベルズ』の『女勇者セレス――夢シリーズ』の『夢の乱舞』をご覧ください。ナーダとジライに女王様セレスが絡みます。

 十八歳未満の方と男性の同性愛話はパスの方は、このまま『小説家になろう』で。『ぼーちゅーじゅつを教えなさい! 恋する九才!』いきます。
+注意+
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