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パラグラフ1

 左手に松明、右手に剣を構えたキミは、禍々しい気配を放つ洞窟へと、足を踏み入れる。

 ごつごつとした洞窟の壁がたいまつの炎に照らされ、その照明範囲が、キミの歩みと同じ速度で徐々に奥へと進んでゆく。


 そうして、ぐねぐねとうねる洞窟の通路を、どのぐらい歩いた頃だろうか。

 カラカラという何か硬いもの同士が擦れあうような音が、洞窟の奥から聞こえてきたかと思うと、キミが掲げる松明の灯りが、奥の闇から這い出てくるそれを照らし出した。


 それは動く骸骨──スケルトンだった。

 現れたスケルトンは二体で、それぞれが錆びた小剣ショートソードを手にしている。


 二体のスケルトンは、どういう知覚手段でか分からないがキミの存在を認めたようで、骨だけの体で今にも崩れ落ちそうになりながら、剣を振り上げつつ、キミに向かって駆け寄ってくる。

 それに対してキミは、剣を構えて迎え撃つ──




●戦闘


 キミは冒険中、このスケルトンのようなキミと敵対する存在との遭遇を、何度か経験することになるだろう。

 その際には、キミは降りかかる火の粉を払うため、あるいは邪悪な存在を打ち倒すため、剣を振るい、あるいは魔法を駆使して、それらの敵と勇敢に戦う必要がある。


 さて、これからスケルトン二体と戦うキミには、以下のような情報が与えられる。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 スケルトン二体と戦闘を行なう。

 各スケルトンのデータは、以下の通りだ。


 スケルトンA

 HP:5  命中力:-1  回避力:7  攻撃力:0  防御力:1


 スケルトンB

 HP:4  命中力:0  回避力:7  攻撃力:0  防御力:1


 洞窟の通路は決して広くはないが、著しく狭いというほどでもなく、二体のスケルトンはキミに対し、横並びで同時に仕掛けることができる。

 したがって、キミはこれらのスケルトンを、同時に相手にしなければならない。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 これらの情報を踏まえた上で、以下のルールを読んでみてほしい。




●ラウンド


 戦闘は通常、「ラウンド」と呼ばれる単位時間で区切って、処理を行なってゆく。

 各ラウンドでは、キミと、キミに敵対する何者か(以後、これを「エネミー」と呼ぼう)が、それぞれ1回ずつ行動(攻撃)を行なう。


 行動を行なう順番は、本文中に特に指示がなければ、まずキミが先に行動を行ない、そのあとに、エネミーの攻撃を処理するものとする。

 エネミーが複数いる場合、テキスト中で上に書かれているエネミーから、先に攻撃してくるものとする。

 例えば、今行なおうとしている戦闘であれば、まずキミが行動を行ない、次にスケルトンAが、最後にスケルトンBが攻撃してくることになる。


 このようにして、キミとエネミー(複数いるなら、そのすべて)が1回ずつ行動を終えたら、そのラウンドは終了となる。

 このとき、どちらの陣営も全滅していないのなら、続けて次のラウンドを行なう。

 そしてこの繰り返しを、どちらかの陣営が全滅するまで続けることになる。





●攻撃──命中判定


 戦闘中、キミは自身の行動において、剣を用いた攻撃を1回、行なうことができる。

 このような武器を用いた攻撃を、以下では単に「攻撃」と呼ぶことにする。


 エネミーが複数いて、キミがそのいずれに対しても攻撃が可能な場合には、どのエネミーに攻撃をするかはキミが任意に選択すること。

 攻撃可能な相手としてスケルトンAとスケルトンBがいるときには、そのいずれか一方を選択して、攻撃を仕掛けるわけだ。


 攻撃する対象を選択したら、その攻撃が命中するかどうかを決定する。

 攻撃が命中するための条件は、以下の通りだ。



 2D + キミの命中力 ≧ エネミーの回避力



 まずキミは、その攻撃が命中するかどうかを決定するため、2D(サイコロを2個振って、その出目を合計する)を行なう。

 その2Dの値にキミの「命中力」を加えたものと、キミが攻撃対象として選択したエネミーの「回避力」とを見比べる。


 そして、この結果が同値か、あるいはキミの値の方が上回っていれば、攻撃は命中となるわけだ。

 しかし逆に、エネミーの回避力の値の方が上回っていれば、キミの攻撃は空振りしてしまい、その攻撃は一切の成果を上げられなかったことになる。


 このように、攻撃が命中するかどうか、サイコロを振って決める作業を、「命中判定」と呼ぶことにする。


 なお、エネミーの攻撃の命中判定も、処理の仕方は同様だ。

 エネミーの攻撃ごとに、キミがエネミーの代わりに2Dを振って、以下の条件を満たした場合、攻撃は命中となるわけだ。


 2D + エネミーの命中力 ≧ キミの回避力




●クリティカルヒット


 命中判定で振った2Dで「ゾロ目」が出ていて、かつその攻撃が命中した場合、その攻撃は「クリティカルヒット」となる。


 「ゾロ目」というのは、サイコロ2つの出た目が同じということだ。

 例えば、命中判定で振った2個のサイコロの目が[4]と[4]で、かつこの攻撃が命中していれば、その攻撃は「クリティカルヒット」になる。


 クリティカルヒットが発生した場合、その攻撃で与えるダメージが、サイコロ1個分増える。

 詳しくはこの後の、「ダメージ決定」を見てほしい。


 ちなみにクリティカルヒットは、キミの攻撃だけでなく、エネミーの攻撃でも発生する。

 これにより、キミが取るに足らないと思っていた雑魚敵の攻撃によって、思いがけないほどの大ダメージを受けることもある。

 どんなに弱く見える相手との戦闘でも、それが命懸けの戦いであることは、忘れるべきではないだろう。




●6ゾロは絶対命中


 そんなことは滅多にないが、回避側の回避力が、攻撃側の命中力より13以上高くなってしまう場合が、ごく稀にある。

 このようなケースでも、命中判定の2Dで[6]のゾロ目を振った場合には、攻撃は命中となる。

 ただし、このケースに限っては、(ゾロ目が出て、かつ命中しているが)クリティカルヒットは発生しないものとする。




●ダメージ決定


 攻撃が命中したら、次に、その攻撃が相手にどの程度の負傷を与えたかを決定する。

 その攻撃が与えるダメージは、以下の方法で求められる。



 ダメージ = 1D + 攻撃側の攻撃力 - 攻撃された側の防御力



 こうして決定されたダメージは、攻撃を受けた側のHPから差し引かれる。

 それによりHPが0(あるいはそれ以下)になったら、その対象は死んだり、動かなくなったりする。

 スケルトンであれば、バラバラに壊れて動かなくなるといった具合だ。


 ただし、ダメージ決定の結果が0、あるいはそれ以下の値となった場合、その攻撃は相手に、一切のダメージを与えられなかったことになる。

 この現象は、エネミーのキミに対する攻撃において、発生しやすい。

 キミが装備している鎖かたびら(チェインメイル)は、生半可な攻撃では貫けない、頑丈な防具なのだ。


 なお、攻撃がクリティカルヒットだった場合には、ダメージ決定で振るサイコロが、1Dではなく2Dになる。

 それはキミの攻撃であれ、エネミーの攻撃であれ、相手に対する致命的な一撃(クリティカルヒット)となることだろう。




 さて、ダメージ決定の例として、キミの攻撃力が2で、スケルトンAに対する攻撃が命中した場合を考えてみよう。


 キミがダメージを決定するために1Dを振ると、[2]の目が出た。

 1Dの結果が2、キミの攻撃力が2、スケルトンAの防御力が1なので、キミはこの攻撃でスケルトンAに3点のダメージを与えたことになる。


 戦闘開始時のスケルトンAのHPは5なので、3点を差し引くと、HPは2点残る。

 スケルトンAはキミの剣による一撃を受けたものの、それで完全に壊れてしまうことはなく、引き続きキミに襲い掛かってくるというわけだ。


 なお、同じ条件で、このダメージ決定の1Dの出目が[4]以上であった場合、スケルトンAはキミの攻撃によって一撃で粉砕されたことになる。




●勝利と敗北


 キミとエネミーとの戦闘の結果、戦闘に参加しているすべてのエネミーのHPが0以下になった場合、その戦闘はキミの勝利となる。

 この場合、戦闘に勝利した際の処理がパラグラフに記載されているはずなので、その指示に従うこと。


 一方、勇戦空しくキミのHPが0以下になってしまったなら、残念ながらキミは、その戦いで命を落としてしまったことになる。

 この場合、キミの冒険は、そこで終了となる。




●魔法


 キミは剣を扱った戦闘に長けているばかりではなく、いくつかの種類の魔法を扱うこともできる。

 キミは戦闘中の自身の行動で、「攻撃」をする代わりに、いずれかの魔法を使うことを選んでもよい。


 そんなわけなので、キミが使うことのできる魔法についても、ここで説明をしておこうと思う。

 キミが使うことのできる魔法は、以下の4つだ。


 ・ヒーリング

 ・マジックミサイル

 ・プロテクション

 ・フィジカルエンチャント


 以下では個々の魔法について、詳しく見てゆく。

 なお、消費MPは文字通り、その魔法を使うことによって消費するMP量を表す。

 このMP消費により、MPが0を下回る場合には、キミはその魔法を使うことができない。


 なおMPはFPと同様、冒険中、原則として回復しない。

 不必要な局面で闇雲に魔法を使うのは、やめたほうが良いだろう。




■ヒーリング(消費MP:3)


 この癒しの魔法を使うと、キミのHPを[1D+1+知力修正値]点だけ回復することができる。

 キミの知力修正値が-2のときは、結果が0になることもあるが、その場合は魔法が一切効果を発揮しなかったことになる。

 なお、この魔法の効果により、HPが最大HPを上回ることはない。


 ヒーリングの魔法は、戦闘中以外に、パラグラフ移動の際にいつでも使用することができる。

 パラグラフ移動の最中にヒーリングを使用する場合、使用できる回数に、特に制限はない──MPさえ消費できるなら、望む回数だけ使用してよいということだ。




■マジックミサイル(消費MP:2)


 光り輝く魔法の矢を2本作り出し、それをエネミーにぶつけて、ダメージを与える魔法。

 2本の矢は1体のエネミーに2本ともぶつけてもよいし、2体の別々のエネミーに1本ずつぶつけてもよい。

 ただし、誰にぶつけるかは、それぞれの矢のダメージを決定する前に、決めなければならない。


 この魔法の矢は、狙った相手に必ず命中し、1本につき[1D+知力修正値]点のダメージを与える。

 このダメージに対して、防御力は意味を為さない。

 どんな強固な鎧も皮膚も素通りして、標的に直接ダメージを与えるのだ。


 なお、知力修正値がマイナスのときは、それぞれの矢のダメージが0以下になることもあるが、そのときは、その矢は標的に一切のダメージを与えなかったことになる。




■プロテクション(消費MP:1)


 この防御魔法を使うと、その戦闘の最中だけ、キミの防御力を上げることができる。

 防御力が何点増加するかは、キミの知力修正値と、サイコロを振った結果によって求められる。

 [1D+知力修正値]を行ない、その結果が3以下であれば防御力+1、4以上であれば防御力+2となる。




■フィジカルエンチャント(MP:1)


 この能力強化の魔法を使うと、その戦闘の最中だけ、キミの肉体的な能力を向上させることができる。

 この魔法で強化できるのはSTR、DEX、AGLの3種類のうちのいずれか1つか2つ、あるいはそのすべてだ。


 いくつのステータスを強化できるかは、キミの知力修正値と、サイコロを振った結果によって求められる。

 [1D+知力修正値]を行ない、その結果が2以下であれば1つ、3~4であれば2つ、5以上であれば3つのステータスを強化できる。

 1つまたは2つのステータスが強化される結果となった場合は、その数の分だけ、STR、DEX、AGLのうちから任意のステータスを選択すること。


 この魔法によって強化されたステータスは、そのステータス修正値に+1のボーナスを得る。

 これに伴い、DEX修正値ならば命中力、AGL修正値ならば回避力、STR修正値ならば攻撃力が、それぞれ+1される。




 ──以上がこのゲームにおける、戦闘のルールとなる。

 キミはこれらのルールを、把握することができただろうか?


 もしできなかったとしても、問題はない。

 実際の戦闘の局面で分からないところがあったら、このページに戻り、あらためて読み直せばよいのだ。




 それでは、あらためて、スケルトンとの戦闘に戻ろう。

 状況を再び説明すると、こうだ。


 キミが洞窟を進んでいると、通路の奥、闇の中から二体のスケルトンが姿を現した。

 それぞれに錆びた小剣を手にした二体のスケルトンは、骨の軋む音を響かせながら、キミに向かって襲い掛かってくる。


 これらのスケルトンのデータは、以下の通りだ。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 スケルトンA

 HP:5  命中力:-1  回避力:7  攻撃力:0  防御力:1


 スケルトンB

 HP:4  命中力:0  回避力:7  攻撃力:0  防御力:1


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 このスケルトン二体と、戦闘を行なうこと。

 なお、キミのHPやMP、FPといったリソースの増減や、ダメージを受けたエネミーの残りHP状況なども、冒険記録紙にメモしておくと便利だろう。


 キミがこの戦闘に勝利したなら、パラグラフ2へ。


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