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進め戦車よ!VRなど恐るるに足らず! 作者:トクメイさん

Es braust unser Panzer Im Sturmwind dahin.

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初めての意思疎通

 正直な所、この女の子の攻撃に対してあんまり怒っていなかったりする。

 理由としては、ゲームだしってのが一番大きい。ゲームだから、こんな事もあるでしょう、っていうのかな?他のゲームじゃあよくあった事だから、今更感がある。・・・本当に、良くあるのだ。”この程度”の事は。
 戦車やら飛行機やら、軍事系のゲームだとFF、つまりフレンドリーファイヤはゲームモードによっては、本当によくある事である。
 歩兵を使って戦うゲームでFFが有効なモードだと、FFなんて戦争の醍醐味のようなものだ。自分からFFする事もあれば、FFされる事も、当然のようにある世界。
 また、戦車や航空機のゲームだと、流石に日常茶飯事とまで言わないが、やはりあるのである。射線に入ってしまったとか、敵と誤認してしまったとか。本当に有り得る事なのである。

 恥ずかしながら、自分も戦車で味方戦車を撃破してしまったり、戦闘機で味方戦闘機を撃墜してしまった経験がある。更に言えば、爆撃機で味方戦車を吹き飛ばしてしまった事もある。上から見たら戦車なんて全部同じに見えてしまうからだ。近づかないとこれが本当に分からない。慣れれば、ある程度車種が分かるのだが、やはり近づかないと輪郭が掴めないので難しい。取り合えず、天板に白十字があるのは敵って感じで戦っていた。何故天板に白十字が敵かって?それがイワンだからだ。

 当然だが、誤射も誤爆も経験がある。誤射は射線に入ってしまったとか誤認が大体の原因だが、誤爆はちょっと酷いかな。誤認がとても多いが、稀に敵味方纏めて薙ぎ払われる時がある。自走砲の援護砲撃ならぬ援護誤射もやられた事がある。大抵の場合、その時はパニックになって兎に角生き残る事だけで頭が一杯で、FFに対する感情は全く浮かばない。んで、そのあとにFFに気が付いて、浮かぶ感情が生き残った事に対する安心感と虚無感。死んでしまっても虚無感である。
 もうね、何回も体験しているから、一々怒りの感情が沸かなくなってるのよね。というか、実際の戦争でもFFなんて普通にあるし。それに比べればゲームのFFは可愛いものなのだ。

 あと、どのゲームでも言えるのだが、たちの悪い連中は何処にでもいるものである。自分の経験だと、戦闘開始と同時に、味方チームを殺して回り、最後に自殺する連中に遭遇した事がある。勿論負けた。あれに比べれば本当に可愛いのだ、故意じゃないFFは。



 故に、今回の誤爆もそこまで怒ってはない。だが、この連中、見るからに後々も関わると思える。自分から関わらなくても相手から関わってくる。絶対に。
 だから、後の関係の為にも、今の内に処理しておきたいのだ。こういう、些細な問題で今以上に険悪な関係になるのは避けたい。見た所、とっても同じ臭いがするので此方としても仲良くなりたい。現実で理解してくれる友人が全く居ない身としては、切実に仲良くなりたい。

「そちらが怒っているのも分かる。だから、謝罪をさせて欲しい。ユモ、前へ」
「はい!」

 砲身の先に立ちふさがった司令官が、そう言葉を発する。そして、前に出る女の子。ユモというのか。・・・ユモに急降下爆撃。なる程なる程。実に面白い。元ネタはju87シュトゥーカか。

「誤爆してしまって、すみませんでした!」
「私も、部下をちゃんと管理していなかった。すみませんでした」

 ユモと、司令官が、自分に対して45度の最敬礼で頭を下げた。


 はい、お仕舞い。満足である。


 と言う訳にはいかない。何故か。単純に自分が許したという意思を伝えきれないからだ。取り合えず、砲身を上げ、照準を外しておく。

「・・・許して貰えた、のだろうか?」

 おう許したる許したる。砲身を上下に振る事で答える。これはYESかNOの二択に限定されるが、一番分かりやすい意思疎通方法だな。これで伝わる筈だ。

「どうやら許してくれたようだ」
「良かったぁ・・・」

 安心からか、その場に座り込むユモ。大袈裟な。そんなに威圧感ない・・・いやあるな。7.5cm砲を向けられてるんだ。少しでも威力を知っていたら、相当な圧力になるのも納得だ。

「しかし・・・本当に、自立しているようだな」
「この世界の技術力的に有り得ないですし、プレイヤーが関係しているじゃないですか?」
「そうだろうな。だが、ゲーム内ではまだ18日しか経っていない。こんな短時間ではとても無理だろう」

 ほう、やはり18日だったか。自分の時間感覚は正しかったようだ。
 それは置いておき。そろそろ明確な意思疎通方法が欲しいな。どうしようか。・・・五十音表を用意して、砲身で一字一字やっていく、とか。面倒だな。掲示板は、他プレイヤーも見えてしまうから避けたいな。・・・フレンドになって、個人チャットでやってしまうのが一番手っ取り早いのだが・・・。

「隊長、報告があります」
「ん?どうした」

 悩んでいると、相手側で何か動きがあったようだ。なんだろうか。
 あと、司令官じゃなくて隊長だったのか。確かに、部隊規模的にはそんなものか。

「鑑定結果なのですが、名前が”パンツァー”でした。四号戦車ではありません」
「・・・どういうことだ?」
「正確には、四号戦車という表記があるのですが、パンツァーというのが名前で、四号戦車は種族のようなもののようです」
「・・・つまり、四号戦車であって四号戦車でない、という事か」
「そういう事になります」

 んー大体あっている。パンツァーの名前は、例え別の戦車になっても大丈夫なように、という意味合いで付けた名前だからな。パンツァーはドイツ語で戦車だ。ドイツ戦車にはぴったりだろうからな。

「これは、プレイヤーとして見て問題ない・・・なさそうだな」

 即座に砲身を上下させ、肯定の意を示す。お互いにプレイヤーなのだ、知って貰わなければ対等ではないだろう。

「尚更、コミュニケーションを取らないといけないな。さて、どうしようか」
「あの・・・貴女はこの戦車とは・・・」
「無理。私もこの・・・戦車?とは意思疎通できてない」
「そ、そうなんですか」
「あと、私はインテレッセ。インテレッセ・クレバー。よろしく」
「あ、私はユモです。よろしくお願いします」
「私は砂狐だ。よろしく」

 ・・・ん!?んん!?今とっても重要な情報が出たぞ!インテレッセ・クレバー、インテレッセ・クレバーだな。よし、覚えたぞ。もう忘れない。何で今まで名前が出てこなかったのだろうか。・・・単純に自分が聞いていないからですねハイ。口が利けないから仕方ないとはいえ・・・。

「で、どうやるの?この子との会話」
「戦車をこの子・・・。そうだな、無線機を使えばできそうだが、残念だが我々は無線機を所持していない」
「無理でしょうねぇ」

 ・・・そうだ無線機だ!無線機があるじゃないか!無線機は二つないと意味が無いが、自分だと話が違う!無線機を介すだけだから、二つ無くても問題は無い!素晴らしいぞ砂狐隊長!
 問題はどうやって無線機の存在を伝えるか、だな。・・・簡単な事じゃないか、ハッチをバンバンすればいいのだ。
 無線手ハッチを、勢いをつけて開いては閉じて開いては閉じてを繰り返す。勿論、音が鳴るように、だ。

「ど、どうしたのでしょうか」
「ハッチを開閉し始めたな。・・・なぁ、あそこの座席に座る役職はなんだ?」
「機銃がある所なので無線手ですね。機銃の他に無線機があります」
「無線機か。・・・先ほどの会話からして、無線機を使え、という事だろう」

 これに砲身を上下する事で答える。さぁ、早く車内に来るのだ。
 ハッチの開閉をやめ、開けっ放しにする。さぁ、早く!

「・・・どうやら正解のようだ。インテレッセ嬢、車内に入ってもよろしいか?」
「・・・わかった」
「感謝する」

 砂狐隊長が、知的少女改めインテレッセに断ってから、自分に登る。

「おぉっと。中々にきついな」
「隊長、履帯に足を乗せて登ると楽ですよ」
「お、確かに。ありがとう」

 右履帯に足を乗せ砂狐隊長が登ってくる。砲身を左側に逸らして置き、車内に案内する。

「おーい!この無線機はどうやって使えばいいんだー?」
「今回は通信する相手がいないですし・・・ヘッドホンと咽頭マイク着けるだけでいいと思いますよー」
「そうか、分かった」
「・・・それって、そうやって使うものなんだ」

 隊長に続いて自分に登ったユモが、外からハッチを覗き込みつつ言葉を返す。それを、車長席から眺めるインテレッセ。やっぱり、初めて見る物の使い方なんて知らないよな。だが、今ので理解できただろう。

「よし、では始めるぞ」

 準備はいいな?よし、初めての会話だ、緊張するな。

「こちら・・・いや、パンツァーへ。フォン 砂狐。聞こえているか? カウメン」

 ん?フォン?カウメン?・・・あぁ、そういう事か。フォンは此方、カウメンは送れ、だったか。よし。

『砂狐へ。フォン パンツァー。ラウトシュテェーカ フィンフ カウメン』
「おぉ!返事が返ってきたぞ!」

 フフフ、驚くだろうな。頭では分かっていても、実際に体験してみると、な。それはさて置き。

『砂狐氏、面倒な喋り方はここまでにして置いて、自己紹介をしよう』
「ん、あぁそうだったな。まだ。私と君は自己紹介をしていなかったな。私は砂狐だ。この隊の隊長を務めている」
『自分の名前はパンツァー。見ての通り戦車だ。よろしく』
「あぁ、よろしくお願いする。それと、部下がすまなかった。申し訳ない」
『それについてはもう気にしていない。心配しなくていいぞ』

 初めから気にしていないんだけどな。
 そんな事よりも、だ。

「そうか、ありがとう」
『それよりも、ヘッドホンをインテレッセに代わってくれないか?早急に』
「あ、あぁ。分かった。暫し待ってくれ」

 彼女と早く会話をしなければならない。こんなに長い間一緒に居るのに、一回も会話をしないで終わらす訳にはいかない。絶対にだ。

「インテレッセ嬢、貴女宛だ」
「私?」
「あぁ。貴女と話がしたいとの事だ。使い方は分かるか?」
「見てたから大丈夫・・・だと思う」

 不安げな口調だったが、無事、ヘッドホンと咽頭マイクの装着に成功した。

「・・・如何すればいいの?」
「それで既に繋がっているから、喋るだけで良い」
『そうだ。既に繋がっている』
「ひゃあ!?」

 驚かれた。まぁ、そうか。初めての体験だろうからね。


 パンツァー 四号戦車G型 lv 20
 状態 正常

 攻撃力 7.5cm kwk 40 L43 戦車砲
     7.92mm MG34機関銃×2(同軸機銃・車載機銃

 砲塔装甲 正面50mm
      側面30mm
      背面30mm
      上面10mm
 車体装甲 正面50mm
      側面30mm
      背面20mm
      上面12mm

 速度 40km/h 300ps
 重量 23.00t

称号
・陸戦の王者
・エルフの楯
・ワールドクエスト発見者
・貢献した者
・新型受領
・始まりの防衛者

スキル
・目星 6lv
・拡大眼 7lv
・熱源探知 7lv
・音源探知 5lv
・火魔法 2lv
・風魔法 3lv
・放送 2lv
・迷彩 3lv
・隠密 5lv
・不整地走破 6lv

控え
・マッピング 8lv
・改修及び改造 1lv

18日目昼
+注意+
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