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第11話

「してやられましたな」


「うむ。見事にしてやられた」


 武闘大会が終わった後、フォーレ王の私的な飲み会の席で囁かれた言葉は、その一言に尽きた。


「恐らく賞品に魅力を感じたりはしないであろう以上、直接参加する事はなかろうとは思っていたが、よもや無名の選手に武器を与えて優勝させるとはな」


「少々油断しておりましたな」


 などと、文章だけで見れば苦く思っているともとれる言葉を口々に告げるフォーレ王国中枢の皆様だが、その顔に浮かぶ表情はむしろ称賛のそれであった。


「流石に武器がよくなっただけで優勝はしないだろうと甘く見て、かなり大損しましたわ」


「貴公もか。儂も少々痛い出費を強いられた口じゃ」


 金銭面でもしてやられた重鎮たちが、やけに明るい口調でどれぐらい損をさせられたかを言い合うという、何とも奇妙な光景が見られる飲み会。宴とかパーティと言わず飲み会と表現したくなるのは、間違いなくこの和気藹々とした雰囲気が原因であろう。


「手痛い、などと言っても、お主達にとってははした金であろう?」


「家としてみればはした金ですが、小遣い銭としてはかなり痛い出費でしてのう」


「今月は飲みに行く回数を減らさねばならんのですじゃ」


 高給取りであり、持っている財産の量も飲み代で潰すにはあと三代はかかろうかという貴族達が、そんな庶民的な事を口にする。場末の酒場で飲む酒を好み、大きなイベントで行われるトトカルチョをこよなく愛する実に庶民的な行動原理。フォーレ貴族は上は王家から下は騎士爵まで、このあたりの好みが見事なぐらいまで一致しているのだ。


 ついでに言うと、貴族が酒はともかくトトカルチョで身を持ち崩すのはただの愚か者だという考えが根強くあるため、せいぜい小遣いが少なくなったとぼやく以上の金額をかける人間はいない。酒で身を持ち崩すのも駄目だろう、という突っ込みに対しては、全員耳をふさいで「あーあー、聞こえなーい」という感じでスルーしてくれるのだが。


「それで、陛下はどうでしたか?」


「儂か? かなり儲けさせて貰ったが?」


「流石陛下ですな」


「連中が、ジョン・コートリーに武器を売りつけたと聞いたからな。連中と儂の眼力を試すためにも、それなりの金額をかけた」


 結果として、フォーレ王はポケットマネーを大幅に増やす事に成功し、この飲み会の酒と肉のランクを二つ上げる事が出来たのである。


 国王が飲み会の費用をトトカルチョで稼ぐな、とはこの国では誰も言わない。


「もっとも、連中の稼ぎには負けるがな」


「そこまでですか?」


「うむ。路地裏で武器を安く売った稼ぎを、全部トトカルチョに突っ込みおった」


「それはまた、すごい自信ですな……」


 王の言葉を聞いて、辺りに苦笑するような空気が漂う。結果として大儲けしたが、いくら捨て値で安く売ったと言っても武器は武器。その売り上げは決して少ないものではないだろう。それを全部武器を売りつけた相手に賭けるとか、余程売り物と売る相手を見る目に自信がなければできない事だ。


 しかも、二回戦から準決勝あたりはともかく、一回戦のジョンの倍率はかなり高かった。相手が優勝候補とまでは言わなくとも有力候補だったため、少々いい武器を持った程度では覆らないほどの実力差があったのだ。


「まったくな。武器一本で大きく化ける無名の冒険者を選び、安く装備を売る事でそ奴らを支援する。そこで出た赤字はトトカルチョで有象無象から死に金を巻き上げる事で補填する。流石にファーレーンとダールの上層部を骨抜きにするだけあって、よく考えておる」


「それを可能とする目利きも含めて、見事な一手ですな」


「そのおこぼれに預かった儂が言う事でもないが、善良なのかあくどいのか分からん連中よ」


 宏が武闘大会でやってのけた事を、そんな風に大きく評価するフォーレ王。現実には、クレストケイブで山ほど掘り出した鉱石を使っているため製造原価はタダ同然、赤字と呼べるようなものは一切発生していないし、トトカルチョも折角だから賭けておくか、程度である。全額突っ込んだのは元々予定していない収入ゆえに博打でスッたところで痛くないからで、大勝ちしたのも実際には予定外の結果だったのだが、裏側を知らないフォーレ王たちは全部計算づくだと思っているようだ。


「それにしても、一つ気になるのですが」


「なんじゃ?」


「今回はその抜け道を見つけ出した事に敬意を表して問題にする気はございませんが、流石にこの方法を見逃すのはまずいのではないでしょうか?」


「何故だ?」


 フォーレ王に真顔で聞き返され、返事に詰まる重鎮。なんとなくずるいというか不正の臭いが漂っているやり口なのだが、どのあたりがと聞き返されると、何一つ禁止された行為はしていないので説明し辛い。


「説明できぬ、という事はそういうことだ」


「ですが、毎回同じ事をされてしまうと……」


「連中とて、そこまで暇でもなかろうよ」


 王の言葉に、周りの人間も苦笑するしかない。そもそも、金を稼ぎたいだけであれば、アズマ工房の場合こんな確実性のない手段を取らなくても、いくらでも大金が稼げる。それ以前に、普段の行動を見る限りでは、稼ぎたいと思っているかどうかそのものが怪しい。


「それに、禁止するとして何処をどう禁止する?」


「と、申しますと?」


「装備の持ち込みを禁止するのか? それとも、大会中の購入を禁止するのか? 装備を売った人間のトトカルチョ参加を禁止するのか?」


「そ、それは……」


「持ち込み禁止はそもそも趣旨に反する。購入禁止なぞすれば武器の破損即失格だし、装備を売る職人たちが反発しよう。トトカルチョの参加禁止も、年に一度の楽しみを取り上げるのかと暴動につながりかねん」


 王の言葉に、反対意見を出していた重鎮が、反論を思い付かずに沈黙する。


「確かに問題が無い訳ではないが、そう簡単にできるようなやり方でもない。こういう事でいちいち規制を変えると、思わぬところでややこしい状況につながるからな」


「そうですな。余程でなければ、規制など下手に変更しないに限ります」


「変更するにしても、変更した事で起こる問題と、今の規制で起こる問題とを慎重に検討し、更に想定外を覚悟した上で行わねば余計な混乱を起こし、かえって目的に対して逆行しかねません」


 王の決定に、誰一人反対意見を述べない。そもそも、よほどの性能の武器でないとこんなやり方は成立せず、その性能の武器なら、下手をすれば普通に値段をつけて売った方が儲かりかねない。更に、予選の段階で装備の更新で優勝の可能性がありつつ、誰の目にもとまらないであろう貧弱な装備の人材を探す必要があるとなると、そう簡単にまねができる人間などいない。


「何にしても、これだけの事をやってのけたアズマ工房の工房主とは、一度直接会って飯でも食いながら話をしたいところよのう」


「それに関しては、そろそろ丁度いい機会が訪れそうです」


「姫巫女殿の件か?」


「ええ。アズマ工房とアルフェミナの姫巫女様の仲は、有名な話ですからな」


「その件でいろいろ言われてはおるようだがな」


「恐れながら、言われない方がおかしいかと」


 重鎮の一人の言葉に頷くフォーレ王。エアリスがアズマ工房を開く前の宏に命を助けられ、更に姫巫女として返り咲くためにかなり手を借りた事は有名な話である。当時十歳という年齢も考えれば、それだけの恩を受ければ信頼して当然であり、宏達を特別扱いすること自体は誰も疑問に思ってはいない。そこは、この国の中枢でも同じ事である。


 無論、どこの馬の骨とも知れぬ宏達にそこまで懐いている事については、当然全員が全員好意的に見ている訳ではない。エアリスの伝手でいろんなところに顔がきくようになった事も、カタリナの乱の一件で王宮からの覚えがよくなった事も、やっかみ交じりでいろいろ勘繰られてはいる。急激に名を広め、陣容を拡大しているアズマ工房については、警戒もあってよくない噂も少なくはない。


 だが、それでは宏達が王宮がらみで大きな利益を得ているかといわれると、傍目に見ても微妙なところなのも事実である。明確に彼らが王宮から得たものなど、ウルスの工房程度しかない。スラムの土壌改良には関わっているものの、あれも実際にはウルスのいくつかの業者との共同受注であったため、アズマ工房はさほど利益を得てはいない。


 それ以外の商売にしても、主力となっている各種調味料はレシピを公開し、味噌と醤油に至っては糀菌の提供までしている。今のところ独占状態なのは単に、まだ他の工房や商会がシェアを奪えるほどの品を作り上げる事が出来ていないからにすぎない。実際、マヨネーズなどの比較的簡単に作れるものは、そろそろいくつかの商会がシェアを奪い始めている。そういう事情だから、醤油などはアズマ工房以外には買えるような品が出来ておらず、どうしても事実上の王室御用達にならざるを得ない。


 そういった明確な理由で特別扱いせざるを得ない事以外に、これと言って直接恩恵を受けていない事がまた余計な憶測を生んでしまっているのだが、どう頑張ってもこういう問題は常に付きまとって来るのだろう。当人達は、自分達にそれなりに悪評が付いている事を知ってか知らずか、この国でも好奇心の赴くままにやりたい放題やっている節がある。


「彼らが我が国に入った時点で、我が国がファーレーンに送り込んでいる駐在大使を通じて色々調べましたが、少なくとも普通に確認できる範囲で、後ろ暗い事や王室の威光を振りかざすような真似はしていないようです。むしろどちらかといえば、王室からの無茶ぶりに四苦八苦しながら応えている事の方が多いとの事」


「儂も人の事は言えんが、王室というやつは基本、求める品に対してはわがままだからな」


「そうですね。まあ、話を戻します。姫巫女様によると、彼らも各地にある神殿を巡っているとの事。恐らく、エルザ神殿に関しても、姫巫女様となにがしかで共に行動するものと思われます」


「自国内の、それもかなり重要な施設について、他国の大物の力をかりねばならぬのは情けない話だがな」


「仕方がありません。エルザ様の巫女殿が急死され、後任が決まる前に此度の事件です。ファーレーンとて、先代が即位したころは、なんだかんだとダールや我がフォーレの手を借りていたのですし、お互いさまという事にしておきましょう」


「そうだな」


 宰相からのその言葉に、思わず苦い笑みを浮かべてしまうフォーレ王。どれほど国力があったところで、一国ではどうにもできないことなどいくらでもある。そんな事は言われずとも分かっているが、それでも情けない事は情けないのだ。


「何にしても、これは国の一大事だ。流石に勝手に解決されては儂の面目も立たぬ以上、姫巫女殿を通して一度直接面会をし、その上で国として連中に依頼する形を取らねばならん」


「御意」


 フォーレ王の意向を受け、一つ頭を下げる宰相。フォーレでの活動も終盤になって、ようやくアズマ工房一行はフォーレ王家と接触を持つのであった。








「武闘大会も、どうやら無事に終了したようですな」


「そのようですね」


 翌日。とうとうスティレンに到着したエアリス一行は、祭りの後のどこか寂しい雰囲気を漂わせる街並みに、そんな感想を漏らしていた。


「エル様は、武闘大会に興味はあったんですか?」


 安全のため車を徐行させながら、アルチェムがエアリスに問う。ドーガばかりが運転するのはきついだろうと、車が納品されてからしばらくは、アルチェムも運転の練習をしていたのだ。自転車にまともに乗れるようになるまでは随分かかったのに、車の運転は三日もあれば完璧に身についたあたり、アルチェムもなかなか偏った資質を持った女の子である。


「大会そのものには、あまり。ですが、開催期間中のスティレンには、とても興味がありました」


「なるほど……」


 エアリスの言葉に、ひどく納得するアルチェム。エアリスは、活気がある街を見るのが好きだ。それゆえに、お祭りというやつが大好きである。イベントなどに自分が積極的に参加したい訳ではないのだが、それらによって活気づき、民がにぎやかに楽しそうに生きているのを見るのがこの上なく楽しいのである。


 無論、静かで落ち着いた空間を嫌う訳では無い。ただ、静かで落ち着いているのと、活気がなくてさびれているのとは違う。それに、祭りの後の活気の残滓と寂しさを纏った空気も嫌いではないが、そういうのは祭りそのものの空気を十分堪能してからでないと、色々な何かが半減するのだ。


 そんないろんな意味で空気を楽しむエアリスの性格を理解しているアルチェムとドーガは、武闘大会に間に合わせられなかった事をなんとなく残念に思っていた。


「お祭り終わり~」


「屋台少ない~」


「エルちゃん残念~」


 エアリスが残念に思っているもう一つの事情を、後部座席でふよふよ浮いていたオクトガル達がズバリ指摘してのける。その指摘内容に、小さく苦笑するエアリス。


「まあ、確かに武闘大会の人出を当て込んだ怪しい露店はほとんど無くなってるけど……」


「胡散臭い店、ない~」


「パチモノくさいもの、売ってない~」


「チープな食べ物、減った~」


「面白み半減~」


 お祭りというもののもう一方の楽しみについて、無秩序に並べ立てるオクトガル達。エアリスの祭りの主な楽しみ方に言及され、微妙に渋い顔をするドーガ。宏達には色々感謝しているが、エアリスにこういう余計な楽しみを植え付けた事だけは苦情を言いたい。


 言うまでも無く、明らかに姫巫女という立場の少女が覚える種類の楽しみ方ではないからだ。百歩譲って露店のチープな食べ物を食べ歩くぐらいは黙認するが、あからさまに怪しい上に効果のないエルベルガマガエルの脂汗の軟膏だの、少し使えばすぐに壊れるようなちゃちな便利グッズだのに興味を示し、場合によってははした金とはいえ無駄遣いしてしまうのは、護衛兼お目付け役の立場としては非常に困る。


 もっとも、一番文句を言いたい事を上げるならば、誰よりもたくさん余計な事をエアリスに吹き込んだであろう宏が、女性恐怖症を理由に祭りのときはほとんど出歩かない事なのだが。


「とりあえず、そろそろ軽く何か食べた方がいいと思いますが、どうしますか?」


 なんとなく話が微妙な方向に進みかけている事を察し、話題転換をはかるアルチェム。


「そうじゃのう」


「確かに、そろそろお腹がすいてきました」


 アルチェムの話題転換に、素直に食いつくドーガとエアリス。空腹なのも事実だが、なんとなくこのままの話題で会話を続ける事がはばかられる何かがあったのも確かなので、ある意味渡りに船だったのだ。


「で、何を食べましょうか?」


「フォーレの場合、下手な店に入るとドワーフが宴会をしとるからのう……」


 アルチェムの問いかけに、悩ましそうに唸るドーガ。ドワーフという種族は、昼間だろうがなんだろうが、口実があれば普通に宴会を開く。こう書くとただの飲んだくれにしか聞こえないが、普段こなす仕事量とその質が半端ではないため、すぐ宴会を開きたがる点もある程度は黙認せざるを得ない。それに、口実があればであって、ちゃんとオンとオフの切り替えぐらいはわきまえている。むしろ、わきまえているから止めるに止められない、という問題もあるのだが。


「流石に、ドワーフの皆様の宴会に巻き込まれると、大変な事になってしまいますものね」


「儂はともかく、姫様もアルチェムも奴らの宴会に参加させるには問題が多すぎますからのう」


 苦笑しながらのエアリスの言葉に、深々とため息をつくドーガ。ヒューマン種でドワーフの宴会に巻き込まれて、肝臓が無事で済むものはそうはいない。はっきり言って、真琴はものすごく異常だ。異常なのだが、ヒューマン種といえど同等レベルの飲兵衛が皆無ではないどころか、一定以上の人口の街なら大体一人か二人居るところが、いろいろと考えさせられてしまう話である。


「あら?」


「エル様?」


「いえ。恐らく屋台が並んでいるところだと思うのですが、ずいぶんと人だかりが」


 エアリスの言葉に、一度車を止めるアルチェム。ロイヤルな方々が乗るためのリムジン仕様であるため、下手なところに停車すると非常に邪魔だ。だが、エアリスの興味を引いた何かがある以上、一応立場上は使用人になっているアルチェムが、それを無視して強引に進むのも心苦しい。


「少し、車を降りて確認したいのですが……」


「……三人一緒に行けば、問題ありますまい」


 エアリスのわがままに少し思案した後、とりあえず許可を出すドーガ。今は行商人モードでは無く姫巫女一行モードなので、衣装その他がこのあたりに降りるには非常に不釣り合いだ。不釣り合いだが、屋台という単語にはドーガですらピンと来るものがある。それを確認するぐらいの時間ならいいのではないか、と考えたのだ。


「それなら、先にこの子たちに危ない人がいないか見て来て貰いますね」


「うむ。そうじゃな」


 アルチェムの提案に頷き、エアリスをエスコートして車を降りるドーガ。ドーガが降りたのを確認し、自分も降りて車を格納するアルチェム。道をふさいでいた珍しいデザインのゴーレム馬車が、唐突に目の前から消えた事にざわめく野次馬達。


「じゃあ、ちょっと見てくる~」


「おねがいね」


 オクトガルが飛んでいったのを確認し、屋台村の出入り口をざっと探す姫巫女一行。入り口と言っても、馬車が入れないようにするための低い柵で大雑把に囲われているだけなので、乗り越えればすぐに中に入れるのだが、ドーガはともかく、エアリスとアルチェムの服装でそれをするのは少々問題がある。


「ふむ、入り口はあちらのようですな」


「折角なので、いろいろ冷やかしていきましょう」


 エアリスの言葉に頷くと、雑多な売り物が並ぶ屋台村に足を踏み入れるドーガ。色々な食べ物の匂いが入り混じった雑然とした空気が、なんとなく心を浮き立たせる。好奇心に目を輝かせるエアリスのために色々なものに手を伸ばしそうになるも、小腹がすいたというレベルを超えない空腹感を考えると、下手なものには手を出せないと己を戒める。


「……やはり、屋台で人だかりといえば他になかろうなあ……」


 肩に乗っているオクトガルから危険人物は居ないとの情報をもらい、そのまま人だかりの近くまで進みでたところで、聞きなれた美しい声がドーガの耳に飛び込んでくる。


「相変わらずですよね、ハルナさん」


「そうじゃのう」


 圧倒的な集客力を見せる春菜の屋台。それを目の当たりにして、呆れとも感嘆ともつかない言葉を交わすアルチェムとドーガ。そんな従者達を放置し、目をきらきらと輝かせて行列の最後尾に並ぶエアリス。その様子を見た行列客達が、思わずモーゼの十戒のように左右に分かれる。


 エアリス本人にそのつもりはなかったが、どうやら一般人に無意識に道を譲らせてしまうような何かを発散していたようだ。唐突に起こったその状況に目を丸くし、申し訳なさそうに頭を下げるエアリス。その様子に、かえって恐縮してしまう行列客。


「エルちゃん、久しぶり。今日到着?」


 そんな状況に苦笑しながら、とりあえず三人分のホットドッグを用意しつつそう声をかける春菜。ここに顔を出しているという事は、本格的な食事は要らないが、軽く何かを食べたいぐらいの空腹感はあるのだろうと判断したらしい。


「お久しぶりです、ハルナ様。今日到着しました」


「そっか、お疲れ様。とりあえず関西風ホットドッグを用意したけど、これでいいよね?」


「はい!」


 春菜の問いかけに目を輝かせながら頷き、用意してもらったホットドッグを受け取るエアリス。後から追い付いたドーガが、三つ分の支払いを済ませるのを待ち、小さくいただきますと言って上品にかぶりつく。


「……やっぱり、とても美味しいです」


「いつも美味しそうに食べてくれてありがとう。折角だから、とっておきも用意するね」


 誰の目から見ても美味しそうに見える食べ方をするエアリスに微笑むと、鞄の中から網の乗ったコンロを取り出して準備を始める。その様子をざわめきながら見守る行列客達。


「……とっておき? またモンスター食材か?」


「うん。何かは食べてみてのお楽しみ」


 そんな事を言いながら、串にさせる程度の厚さにスライスされた何かの肉をたれに漬け込み、網の上に乗せて焼き始める。一分としないうちにその肉が焼ける、今まで嗅いだ事のない不思議な、だが食欲をこれでもかと刺激する匂いが漂い始め、その場に並んでいる人間全員を虜にする。


「はい、完成。まだ熱いから気をつけてね」


「ありがとうございます!」


 いわゆる蒲焼きというやり方で焼きあげられた肉を串にさし、エアリスに手渡す春菜。春菜が肉を焼いている間に既にホットドッグは食べ終わっているようで、エアリスは受け取ってすぐに上品に串の肉を軽く冷まし、端の方を小さく齧る。見る見るうちにその表情がほころび、青い瞳をきらきらと輝かせて春菜を見る。


「とても、とても美味しいです!!」


「そっか、よかった」


 エアリスが口をつけるのを待っていたドーガとアルチェムにも串を渡しながら、春菜が嬉しそうに微笑む。絶対の自信がある食材ではあったが、それでも美味しいと言ってもらえればうれしくない訳がない。


「ふむ。確かにこれは美味いのう」


「一体何のお肉なんですか?」

 陸上に居る全ての種類の肉、それも極上と呼ばれる種類のものの旨味を凝縮し、完璧に近い調和を見せるその肉。奇跡とも言える肉とタレのハーモニーに驚き、それを無心に齧るエアリスの様子にだらしないほど表情を緩めながらそんな言葉を漏らすドーガとアルチェム。




「ネタばらしした方がいい?」


 そんなアルチェムの疑問に対する春菜の言葉、それに対してその場にいる全員が同時に頷く。


「スティレンに拠点を移す直前に、クレストケイブの鉱山ダンジョンで仕留めたベヒモスのお肉。今回はお尻のあたりを使ってみたんだ」


「なるほど、美味い訳じゃ」


「流石ハルナさんです」


 春菜からもたらされた回答に、普通に納得する姫巫女一行。ただし、半ば野次馬となっている行列はそういう訳にもいかず……。


「ベヒモス……、だと……?」


「ちょっと待て。そんなもの仕留められるのか?」


「どうせいい格好していい加減な事を言っているだけだろう?」


「だが、わざわざあんな身分の高そうな連中に、そんな嘘をつくリスクを冒すとも思えないが……」


 あまりにあまりな名前に、にわかに雑然とし始める。それを見たドーガが、最後の一口を咀嚼しながら思案する。


「ふむ、そうじゃのう。ハルナ、ちと相談があるのじゃが?」


「なに?」


「自発的に譲って貰ったとはいえ、行列を無視するという無作法をした詫びをしたいのじゃが、このとっておきというやつ、この人数に行きわたらせる事は出来るかの?」


「肉自体は十分あるから、時間をもらえれば出来るよ」


「では、頼む。金はいくらでも出そう」


「了解。後で適当に請求書作っておくよ」


 そう言って、次々とベヒモス肉を焼きあげていく春菜。その匂いに釣られて新たにたくさんの客がやって来るが、


「ここまで~、ここまで~」


「最初に並んでた人限定~」


「次回をお楽しみに~」


 分裂したのか仲間を呼び寄せたのか、いつの間にか増えたオクトガルがちょっと巨大化して通り道を塞ぎつつ、気の抜ける声で客を別の屋台に誘導していく。たまに聞きわけの悪い客もいるが、軟体動物ゆえに打撃にはめっぽう強い事もあって、一般人のパンチでダメージを受けたりはしない。


「聞きわけの悪い子にはお仕置き~」


「チェッ○天誅~」


「イチジク~、イチジク~」


 あまりに聞きわけが悪く、しかも物理攻撃に訴えてくるような客に対しては、そんな事をのたまいながらあまり詳しく描写したくない種類のいたずらで追い払って行く。その様子を見ていた他の客も、大衆の面前でああいう真似をされるのは勘弁願いたいと思ったか、言いがかりをつけたりせずに他の屋台に去っていく。


「料理終わり~? 終わり~?」


「うん。ありがとう」


「どういたしまして~」


 春菜が肉を焼き終えたところを見計らって、通常サイズに戻って屋台に集合するオクトガル。そんなオクトガルに礼を言い、切れ端を焼いたものを配る春菜。行列整理のお駄賃、といったところだろう。


「それで、エルちゃんが来たって事は、今日はもう店じまいした方がいい、って事だよね?」


「お店の方は、いいのですか?」


「元々在庫もそんなに残ってなかったし、後はみんなで食べるか別の機会に売るよ」


 そう言いながら、手早く店じまいをする春菜。実際、仕込んであった在庫はカレーパンとホットドッグ、両方合わせてあと五十を切っていた。腐敗防止の食糧庫もあるのだし、自家消費するのもさほど問題にならない程度の分量である。


「それに、どうにものっぴきならない状況になっているようだし」


「そうですね……」


 この後の事を考え、表情を引き締めるエアリス。宏達がクレストケイブでさんざんいろいろやらかしたおかげで、事態は最悪から見るとかなりマシな状況ではある。が、決して楽観視できる訳でもなく、急いで対応せねばいけないことには変わりない。


「ちょっと待ってね。片付けちゃうから」


 そう言って、最後の機材をしまうと、屋台をカプセルに収納する。その様子を見ていた野次馬達が、予想外の機能にどよめく。


「さ、行こうか。車は?」


「アルチェム様が持っておられます」


「ここからだと結構距離があるから、車で移動した方がいいかな。一緒に乗せてもらっていい?」


「もちろんです」


 春菜の要請に快く答えるエアリス。アルチェムはすでに入り口に戻り、再びリムジンを取り出している。


「アルチェムさんが運転するんだ」


「レイナあたりの運転より、はるかに安全で丁寧で安心して乗れるぞ?」


「なんとなくわかるような気がする」


 アルチェムの運転、という事で驚く春菜だが、ドーガの補足説明を聞くとなんとなく納得してしまう。


「あ、ごめん。ちょっとだけ寄り道」


「何かあるんですか、ハルナさん?」


「商業ギルドに、終了報告しておかないと」


 春菜のその台詞に頷き、指示を受けながら実に安全で丁寧な運転で商業ギルドまで走るアルチェム。このちょっとした寄り道の後、一路スティレンの工房まで走る姫巫女一行であった。








「無理に呼び立ててすまぬな」


 場所は変わってスティレン城。春菜が帰ってすぐにファーレーン王国の駐フォーレ大使とフォーレ王の使者が連れ立ってやってきたため、エアリス達は落ち着く暇もなく城に上がる羽目になったのだ。現在は謁見ではなく、公式の面会という形で対面している。


「一息ついて状況を確認したら、すぐにお伺いする予定でしたので、早いか遅いかの違いです。お気になさらないでください」


「そう言っていただけるなら、助かる」


 フォーレ王の謝罪に対し、笑顔を絶やさずに応えるエアリス。実際、落ち着く暇がなかった事は少々しんどくはあるが、状況を考えると面会の許可を取る手間が省けた分、むしろトータルではありがたくすらある。


「では、単刀直入に用件を済まそう。予想はついておろうが、エルザ神殿についてだ」


 前置きもなにも全てすっ飛ばし、本当に単刀直入に話を進めるフォーレ王。とはいえ、予想が付いている内容であったため、当然のことながら誰一人驚いた様子は見せない。


「最近になって、エルザ神殿本殿までの道に異変が起こった。いつ頃からか正確な時期は分からぬが、恐らくクレストケイブの鉱山がダンジョンになってからの事であろう」


「それについては、アルフェミナ様を通じてこちらでも確認しています。その事について、一つ謝罪を」


「何かな?」


「詳細な状況の確認のため、我が国の王太子の手のものが勝手に調査を行いました。報告及び許可申請が前後した事をお詫びいたします」


「かまわんよ。一般には秘匿されているとはいえ、別段立ち入り禁止という訳でもない。一般人が立ち入ることも、所在について調べることも特に問題はない。それに、もともと資格のないものは道に足を踏み入れることすら許されんはずの場所だ。許可も取らずに道を割り出せたという事は、エルザ様が聖域に入る事を許している、という事でもある。なれば、儂が裁く筋合いはない」


「寛大なお言葉、感謝します」


 腹を割って情報交換をするために、頭を下げるべきところでさっくりと頭を下げるエアリス。そんなエアリスに鷹揚に頷いて見せるフォーレ王。本来なら普通に国際問題になってしかるべき案件だが、王家とかかわりが深いというだけで、元々神殿は国家から独立した別組織だ。王宮内に神殿があるアルフェミナ神殿が特殊なのであって、基本的に誰が神殿に立ち入ろうと、王家が干渉できる訳ではない。


「そんな些細な問題より、レイオット殿下の手のものが持ち帰った情報こそ気になる」


「命を賭して情報を持ち帰った彼の者には申し訳ありませんが、大した内容ではありません。予想された通り、神殿へ続く道が完全に異界化している事。入り口の段階で地面が底なし沼になり、周囲の木々がモンスターに変質している事。正体不明の「手」が大量に出現し、侵入者を捕まえようとする事。それから、「手」に捕まると、大量の生命力を吸収される事が辛うじて分かっている全てです」


「それだけの事が分かっただけでも、こちらの調査隊よりは優秀だな。儂らが送り込んだ調査隊は、誰一人帰ってこなんだ」


 フォーレ王の深刻な表情に、こちらも真剣な表情で頷くエアリス。そのやり取りを真面目に見守っていた宏達に視線を移した王が、アズマ工房一行に対して声をかける。


「なあ、アズマ工房の。貴殿らはこの情報で、どう動くつもりだった?」


「正直なところ、エアリス様の持ちこんできた対応策を聞いてから考えるつもりやったんで、現時点ではまだ何も決めてません」


「なるほど。姫巫女殿は、どう動く予定だった?」


「陛下より許可をいただいてから、まずは現地の入り口付近を浄化し、アズマ工房の皆様に本殿まで一気に進んでいただこうかと思っていました。アルフェミナ様からいくつかの道具を預かっていますので、無策で突っ込んで行くよりは幾分簡単には本殿にたどり着けるはずです。残念ながら、戦闘が予想される状況では、私は足手まといにしかなりませんので、アランウェン様の巫女であるアルチェム様とスティレンの神殿でお留守番、という事になりますが」


 宏とエアリスのプランとも言えぬプランを聞き、一つ頷くフォーレ王。現実問題、入り口付近のトラップの情報しかない以上、どう動くも何もない。少なくともアルフェミナ自ら必要と思われる道具を用意している事、恐らくその道具が宏達にしか扱えないようにしているであろうことを考えれば、無策で突っ込むよりははるかにましではある。


「分かった。では、その道具を使えば、アズマ工房一同ならば本殿まで突破できる、という事だな?」


「確約はできませんが、恐らく他の誰に渡すより確実に本殿までたどり着く事が出来る、そう確信しています」


 エアリスの全幅の信頼を感じさせるその言葉に、何とも言い難い表情をする宏達。そこまで言ってもらえるほど、冒険者としての実績は積んでいないのだが、というのが彼らの主張である。


「ならば、儂も腹をきめよう。アズマ工房の。そなた達にエルザ神殿本殿の解放を依頼する」


「承りました。ですが、ようこんだけの話でうちらに任そうか、思いますね?」


「お主らが野望や陰謀とは縁遠い人種だという事は、これだけ話せば十分わかる。野心のあるものは、この状況で無策であるなどと正直に告げたりはせん。それに」


「それに?」


「無名の冒険者に武器を与え、優勝させる事によりトトカルチョで大金を稼ぐ。名を上げ儂らに取り入りたいのであれば、こんな回りくどくかつ目立たぬ、不確実な方法で金を稼いだりはせん。無名の冒険者が優勝できるほどの武器を用意できるのであれば、それを直接どこぞの貴族に持ち込めばいいし、武器を渡すだけで優勝できる人間を見抜けるのだから、下手な貴族とつながりを持ったりはせんだろうしな」


 やけに過大評価してくれるフォーレ王に、どう返事をしていいのか分からない宏。優勝すれば面白いのに、とは思っていても、武器を渡したジョンが優勝するとまでは思っていなかったのだが、それを素直に告げても納得してもらえる気がしない。


「それで、成功する自信は?」


「アルフェミナ様にお膳立てしてもろうてるんで、まったくないとは言いません。せやけど、状況が分からんので絶対ともよう言いません」


「ほう?」


「実績も経験もある溶鉱炉の新造ぐらいやったら、立地条件さえ合うてれば事故とか起こらん限りは絶対成功するっちゅう断言はできます。せやけど、今回のんは状況が不透明やし、自分らの本業とちょっとずれとりますし、絶対やといえるほど条件よくあらへんので、胸張って任しといてとはよう言いません」


 隠す気も取り繕う気も自分を良く見せようとする気もまったくない宏の言葉に、実に楽しそうに笑うフォーレ王。


「その態度、気に入った。他の者なら責任逃れの腰が引けた言葉であろうが、王相手に胸を張ってやってみなければわからないといえる度胸がある以上、本当にやってみねば分からんのであろう」


「大口叩いて失敗したら、それこそみっともないですやん。それに、出来るかどうか分からん事は出来るかどうか分からん、品質とかが安定せえへんねんやったら安定せえへんって、正直にクライアントに言わんと被害も大きなるしトラブルにもつながりますし。チャレンジから逃げるんと、リスクを正直にいうんとは別問題でっせ」


「やはり、お主は根っからの職人か」


「そこを評価する陛下も、なかなかの職人気質と見ました」


「職人気質でなくて、何が鉄の国の王よ」


 妙なところで意気投合するフォーレ王と宏。その様子と、あまりヘタレた感じのしない宏の態度に目を丸くする春菜達。


「あ、あの、宏君?」


「何や?」


「今までだったら、こういう事例にはものすごく腰が引けてた気がするんだけど……」


「ああ。結局のところ、クレストケイブまでで思い知ったんよ」


 思わず場をわきまえずに発してしまった春菜の問いかけに、何処となく遠い目をして結論を口にする宏。


「ダンジョンとか、そうそうチョコレートほど怖い事には遭遇せえへんって」


「あ~……」


 説得力があるようでないようなその一言に、春菜もまたつられて遠い目をしてしまう。宏の中ではタワーゴーレムすらチョコレート事件を超える事は出来ないというのも問題だが、その事について自分でも納得しそうになってしまう事も春菜的には問題である。


「まあ、油断できるようなこっちゃないから、気ぃ引き締めて準備はせんとあかんけど」


「だよね」


「面倒な事を押し付けてしまうが、よろしく頼む。成功すれば、国庫に眠る加工不能な金属を全て譲り、お主らの工房とウルスの工房、及びクレストケイブの仮拠点とやらの接続を許可した上で、エルザ神殿解放を祝う大宴会を開く心づもりだから、頑張ってくれ」


「まあ、頑張りますわ」


 報酬をかなり大盤振る舞いする事を約束する王に対し、何処となく気のない返事を返す宏。元々あまり報酬に興味はなく、大宴会はある種の身の危険を感じるので遠慮したいところではあるが、エルザ神殿の解放は宏達にとっても避けては通れない重大な仕事である。


「陛下、別に大宴会は必要ないと思うんですが……」


「何を言う。国を巻き込んでの宴会など、そうそうできるものではないのだぞ? 新年祭以外で大きな宴会を開ける口実を、この儂が見逃すと思うか?」


 宏同様身の危険を感じた達也の言葉は、国王陛下のやる気満々の一言により却下される。


「ヤバい。この王さま、ヒューマン種の皮をかぶったドワーフだ……」


「達也、今回はもう、諦めなさい」


「お前に期待する事にするよ……」


 どうにもこうにも、かなり致命的な宴会が起こりそうな予感に、肩を落とすしかない達也。その様子を苦笑しながら見ていたエアリスに対し、澪が口を開く。


「エアリス様、他人事じゃない」


「えっ?」


「エアリス様の体格体型だと、おそらくたくさん食べさせられる。今のボクだとご褒美でも、エアリス様の胃袋は普通だから……」


「は、はあ……?」


 澪の言葉がピンと来ず、可愛らしく首をかしげるエアリス。その様子を見て不安になった春菜が、ドーガにこっそりささやく。


「ドルおじさん、エルちゃんとアルチェムさん、色々と危ないと思うからよろしく」


「言われるまでも無い」


 フォーレの宴会というものをよく知っている人間による事前の申し合わせ、それを不思議そうに見守りながらも分をわきまえて口を開かないアルチェム。


「そこらへんの皮算用は、戻ってからやな。まずは、エアリス様が何持ってきたかと、それに合わせて何準備するか考えやな」


 宏の一言で、弛緩していた空気が一気に引き締まる。その後、恐らくフォーレで一番の難事件となるであろう今回のミッションについて、詳細な検討が行われるのであった。

宏のやり口を賞賛するあたりが、バルドが食い込みきれなかった理由の一端だろうなあ、と思う今日この頃。

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