第1話
フォーレに入ってから一週間。宏達はいまだに首都・スティレンにたどり着いていなかった。理由は簡単。
「こらあかんわ。完璧に異界化しとる」
「だよなあ。外に出るための転移魔法が、完全に阻害されてやがる」
「感じから言うて、異界化の解消狙うより先に、坑道から街に広がらんように対策打つ事考えた方がええと思うで」
フォーレで一番の鉱石産出量を誇るクレストケイブ。宏達が到着した二日ほど前に、その坑道が突然異界化したのだ。その関係で昨日ぐらいから七級以上の冒険者資格を持つ人間は全員調査に駆り出され、やや深いところまで潜って色々と確認している最中だったのである。
「大分進んでるの?」
「かなり進んどるうえに、おそらくコアは最初の時点で坑道がつながってへん相当深い場所にあると思うわ。っちゅうか、すでに地図に存在せえへん道が出来とる時点でいろいろアウトやろう」
異界化の程度などを判別する感覚と言う点ではメンバーで一番鈍い真琴の問いかけに、瘴気やら何やらの流れと物理的に誰でも確認できる要素との両面で答える宏。もはやこの中は、完全にダンジョンに変わってしまっている。
「宏君、どう思う?」
「どう、っちゅうてもなあ。僕の考察やと、恐らくこの鉱山のかなり奥の方、人の手で落盤起こさんと掘れるかどうか微妙っちゅうぐらい深いところに発生した瘴気だまりが、じわじわ大きなっていったんちゃうか、っちゅうとこやねんけど」
「ボクも師匠に一票」
「瘴気の流れとかから言って、私もそれしかないとは思うんだけど……」
「まあ、不自然ではあるなあ」
飛びかかってきたこうもりを叩き落としながら、微妙にうんざりした感じの会話を続ける宏達。残念ながら、こういう事をやりそうな連中には山ほど心当たりがある。
「まあ、仮に原因が連中やったとして、すぐに接点持つかどうかは分からへんし、とりあえず当面はここを徹底調査やな」
情報が少なすぎて今考えても仕方がない話題を打ち切り、目先の依頼の方に集中することを提案する宏。その手にはなぜかツルハシが握られている。
「そういう訳やから、ダンジョンの確認のために、あっちこっち軽く掘って回ろうか」
「それ、いいの?」
「ちゃんと許可は取っとるし、これはかなり重要な調査やねんで」
そんな事を言いながら、春菜と澪にもツルハシを渡す宏。その顔には、早く壁を掘りたいと書いてあった。
「とりあえず兄貴と真琴さんは、モンスター警戒しとって」
「はいよ。それで、どの程度掘るんだ?」
「まずはここらで一人籠一杯分ぐらい、それからちょっと奥に行ってまた一人籠一杯ぐらい、っちゅう感じで、十カ所ぐらい掘るつもりや」
「そんなに掘るのかよ?」
「鉱山やからな。鉱石があるかどうかとか、どういう分布になっとるかとか、後掘った後どうなるかとかはかなり重要やで」
宏が唐突に壁を掘ることを主張した理由、それは実に納得がいくものであった。恐らく素材を掘りたいという趣味の部分が最優先なのは間違いないにせよ、それしか考えていない訳ではないのも事実のようだ。もっとも
「このあたり、かなりええ感じやで」
非常にウキウキした感じでツルハシを振り下ろす宏を見ていると、理由の方が後付けの理論武装である事がはっきりしているのだが。
「それで、その掘った鉱石はどうするんだ?」
「どうするも何も、今回の分は全部鉱山組合に提出やで」
「そうなのか?」
「せやで。ちゃんと地図とセットで、何処でどの鉱石が取れたかを証拠物件として提出せなあかんねん」
「それ、ただでか?」
「いんや。分布図の報酬とは別個で、鉱石の内容と品質に応じての買い取りや。今んところ他の冒険者に壁掘るほどの余力はあらへんみたいやから、分布図にしても鉱石にしても、報酬は僕らが独り占めやで」
そんな事を言いながら、あっという間に自身のノルマを完了させる宏。澪も五分ほど遅れて終わらせる。
「宏君……、これ籠一杯は……、かなりきついんだけど……」
「そこはもう、スキルの熟練度の問題やからしゃあないわ」
「それは分かってるんだけど……」
まるで地面にエネルギーを吸い取られていくかのように、加速度的にスタミナを消耗する春菜。他の生産スキル訓練でも感じたこの脱力感は、何度やっても慣れるものではない。春菜がノルマをクリアしたのは、澪が終わってから十五分ほど経ってからであった。
「むう、疲れた……」
「お疲れさん。少し休憩したら、次のポイントやな」
「は~い……」
宏の台詞に心底だるそうに答えつつ、荷物からタオルと飲み物を取り出す春菜。飲み物にスタミナ回復の効果は特にないが、そんな事は関係なくとにかく喉が渇いているのだ。
「予定ポイント全部終わるころには、多分大分作業早く終わるようになってる思うで」
「だといいんだけどさ……」
「初級の熟練度十から二十五の間ぐらいっちゅうんが、大概最初の壁や。そこを超えれば成果に対するスタミナ消費がそこそこ割に合うようになってくるから、気分的にそこまでしんどないようになってくんで」
「そういうもの?」
「そういうもんや。経験あるやろ?」
宏に言われて少し考え込み、糸を紡いでいた時のことなどを思い出して一つ頷く。確かに最初のころはものすごく疲れた割にすぐに糸が切れたりして、肉体的なものだけでなく精神的な疲労も極端に大きかったものだ。それが一日仕事を続けたあたりである程度普通に糸が紡げるようになり、肉体的な疲労度合もまだまだきついとはいえかなりマシになってきていたのだから、初級の間は意外と育ちが早いのかもしれない。
「まあ、そういう訳やし、そろそろ次行ってみよか」
「そうだね、了解」
宏に促されて、少々大儀そうに立ち上がる春菜。体力はずいぶんと回復してきたとはいえ、まだまだ全快と言う訳ではない。初級の生産スキルを鍛える、という観点で見た場合、レベルも高く多数の戦闘スキルやこれまで鍛えた生産スキルでスタミナにかなりの補正が入っている春菜は、真琴ほどではないにしてもかなり条件が悪い部類になるだろう。
何しろ、初級の間はわずか数秒の作業で最大スタミナの1%を消費する上、スタミナ最大値は回復量に一切影響を与えないのである。消費が固定値になる中級以上になれば最大値が高い方が有利だとはいえ、初級の作業時間と作業回数は決して甘く見ていいものではない。その上、採掘はスタミナ消費が他の作業に比べて速い。
生産スキルのバランスブレイカーぶりを考えれば、最初の頃のこのきつさは十分納得が出来る。納得できるのだが、それと自分がやって嫌気がさすのはまた別問題である。
(やっぱり、最初のころにもうちょっと生産スキルきっちり育てておくべきだったかなあ……)
自分から望んだこととはいえ、今更ながらに大層苦労する羽目になってそんな後悔をする春菜であった。
「ただいま。報酬貰うて来たで」
鉱山組合から宿に帰ってきた宏が、銀貨の詰まった袋を取り出しながら帰宅を告げる。
「おかえり。で、どうだった?」
「鉱石の内容に関してはまあ、予想通り、っちゅう感じやった」
春菜の質問にそう答えながら、地図と持ちこんだ鉱石の内容の一覧をテーブルの上に広げる。
「まず分布に関しては、奥に近いところやと若干属性鉱石とか魔鉄の含有割合が増える傾向があるっぽい。おそらくコアやと思われる場所からの距離が大体同じぐらいの場所に関しては、何処掘っても大した差はあらへん感じや」
一覧表の内容を食い入るように見つめている春菜達に対して、現時点で内容物の傾向から分かる事を説明していく。その説明内容に対して、他のメンバーが思った結論は一つであった。
「要するに、予想どおりって事?」
「そういうこっちゃな。まあ、サンプルが少なすぎる上に調査隊全体がまだ浅いところしか確認してへんから、あくまで不確定な話ではあるんやけどな」
一同を代表しての真琴の質問に、多少慎重な言葉を混ぜながらも肯定の答えを返す宏。もっとも、このあたりの要素はゲーム的な視点ではある意味当たり前であり、驚くような事柄では決してない。
「次に含有割合やけど、これもまあ予想通りやな」
宏の言葉に頷く春菜と澪。達也と真琴も特に反応は見せないものの、意外そうな様子は見せない。
「やっぱり師匠クラスの腕だと、目に見えて魔鉄とかミスリルの割合が増える」
「それが向こうさんにとってええ事か悪い事かは分からへんけどな」
澪の指摘通り、どんな相関関係があるのか、ほとんど同じ場所を掘ったというのに、宏と澪と春菜では、かなり明確に鉱石の内容が違っていた。
ほぼ素人の春菜が掘った鉱石は、ほとんどが質の悪い鉄しか含まれていなかった。キログラム当たりの含有量も少なく、いわゆる屑鉄鉱と言っても過言ではないものの割合が非常に高かった。
一方で採掘も上級に入っている澪の場合、七割が上質の鉄鉱石、残り三割に魔鉄やミスリルと言った中位の金属が混ざった鉱石を掘り出しており、割合表示できるほどではないが大地の属性鉱石が混ざった物も若干産出している。
これが宏になると普通の鉄鉱石の割合は三割に落ち、その全てが一度溶かして固め直すだけで普通に一般的な品質の鉄塊に化ける、むしろ純度が低めの鉄と言った方がいい品質の代物を掘り出していた。残りの七割のうち魔鉄とミスリルが一対一で六割、これまた溶かして固めるだけでほぼ実用レベルの金属になるようなとんでもないものであり、残りの一割は各種属性鉱石やオリハルコン、アダマンタイトなどの上級金属を含有した扱いに困るものであった。
ある程度予想していたため驚きはないが、それにしても面倒な話ではある。
「内容が予想通りなのはいいとして、宏が掘るとそういう鉱石がたくさんとれるって話、向こうにしちゃっていいの?」
「それは問題あらへんやろう。ミスリルとか魔鉄がだぶついとるっちゅうことはや、それを普通に掘れるだけの腕持った人間がようさんおるっちゅうことやしな」
「本当に、高レベルって事はそんなに問題にならないって言いきれるの? 他の生産スキルとかの事考えると、あたしにはそこまで楽観的に構えて大丈夫とは思えないんだけど」
「採掘と採取、伐採の三つに関しては、他の生産スキルがあると楽になるとか言うんがほぼあらへんで、ひたすら素材を掘ったり伐ったり取ったりし続ければどんどん上がって行きよるからな。ドワーフみたいな寿命長い連中が毎日掘りつづけとったら、何人かは上級カンスト近くまでいっとる思うで」
宏の楽観的な予想に対し、疑わしそうな視線を向ける真琴。宏の異常な製造技能は結構あちらこちらに知られてしまっているが、それでもここまで無防備に漏れてしまうのは、かなり危険なのではないかと思ってしまう。
「まあ、根拠っちゅうにはちょっと弱いんやけど、他にも大丈夫やっちゅう理由はあってな」
「理由? どんな?」
「量は少ないんやけど、オリハルコンとかアダマンタイトも採掘自体はされてんねん。加工技術が追い付いてへん上に元々普通の鉱山から採れる量がものすごい少ないから、製品としても鉱石としてもまったく流通はしてへんねんけどな」
「……それって、理由になるの?」
宏の説明にいまいち納得がいかず、更に突っ込んで質問をする真琴。春菜と達也も同じように余り納得はしていない様子である。逆に、同じように生産スキルが高い澪は、宏の言葉にひどく納得した様子を見せる。
「産出しとる、っちゅうことは、掘れるだけのスキル持った人がおる、っちゅうことや。その人連れてダンジョンの壁掘ったら、多分半分ぐらいはミスリルと魔鉄に化けおるんちゃうか?」
「オリハルコンを普通の鉱山で掘りだそうと思ったら、採掘の上級を折り返してないと無理」
宏の説明に、澪が補足を入れる。ゲームの時はフィールドと普通の鉱山、ダンジョン内ではそれぞれ採掘難易度が微妙に違い、また採掘できる鉱石のテーブルも大きく違った。フィールドでは採掘そのものの難易度が高く、そもそもまともな鉱石を掘り出せる場所を見つけるのに、最低でも初級を折り返すぐらいのスキルが必要であった。当然、上位の素材を掘りたければ必要なスキルは跳ね上がり、しかもある程度の危険地帯に入らなければ魔鉄ですらまともに掘れないといういばらの道を歩む羽目になる。
逆に鉱山は入るのにクエストと金が必要な半面、採掘ポイントが分かりやすくかつ手に入る鉱石の種類や品質の最低保障もあり、鉄なら鉄、ミスリルならミスリルがほぼ確実に採掘できた。その代わり、フィールドで起こるようなスキルの熟練度によるボーナスのようなものはほぼ存在せず、産出量が多い資源以外のもの、たとえばミスリル鉱山で魔鉄やオリハルコンを手に入れたければ、澪が言うように上級を折り返したぐらいのスキルがなければ入手不可能なのだ。
これが鉱山系ダンジョンの場合はまったく事情が異なり、採掘ポイントごとに取れる鉱石の出現テーブルがランダムに決定される。その決定されたテーブルごとに熟練度と乱数による補正が入るため、場合によっては熟練度が高くても鉄しか取れない、なんてこともたまに起こる。その癖、熟練度が低いとオリハルコンやアダマンタイトはもちろんの事、魔鉄やミスリルどころか高品質の鉄ですら採掘できない、というよりそもそもスキルが足りないとそういう産出テーブルの時はツルハシが負けるのだから、地味に嫌がらせのような話である。フィールドより強いモンスターが普通に喧嘩を売ってくる事も考えると、トータルの採掘難易度は一番高いといっていいだろう。
「とりあえず、ゲームん時の仕様と今回のダンジョンの仕様が同じかどうかは分かれへんけど、普通の鉱山と違うてスキルの影響が派手に出とるんは間違いあらへん。この鉱山でも元からたまにオリハルコンが出とったみたいやから、オリハルコンを掘れる人がおるんは間違いあらへんしな」
「なるほどな。そう言えば、掘った石の中の素材含有量とか、どうやって確認してるんだ?」
「腕が上がれば大体見て分かるようになるんやけど、正確に調べよう思うたらサーチメタルっちゅう魔法使うねん。この魔法使えば、何がどんぐらい混ざってるか一発で分かる便利な魔法やねんけど、残念ながら掘りだした石にしか使えんっちゅう制限があってな。鉱脈見つけるんは、やっぱり職人の腕と勘に頼る事になるんよ」
「便利なのか不便なのか分かんねえ魔法だな……」
「便利は便利やで。どんな精製方法やらなあかんかっちゅうんが確実に分かるんやから」
宏の言葉に納得していいのやら悪いのやら、と言う感じの達也と真琴。逆に製錬も採掘も鍛えている最中の春菜と澪には、宏の言わんとするその便利さがよく分かるようで、しきりにうんうんとうなずいている。
「でまあ、鉱石がらみの話はこんなもんとして、や。これだけやとちょっと調査が足らん、っちゅう話が当然出てきてな」
「まあ、出るよね」
「昨日の今日やから、新しく奥につながった坑道とかほとんど調査してへんし、鉱山としてどうなんか、っちゅうんも確認せんとあかん訳やから、明日からもしばらく協力頼まれてんねんけど、どないする?」
ほとんど回答が決まっているとしか思えない話を振られ、思わず苦笑を浮かべる一同。ここまで話が出ていてダンジョンに潜らないなど、前傾姿勢で受け身の準備をしている芸人の「押すなよ」と言う振りを真に受けて背中を押さないようなものである。
「その話の持っていきかたで、別の街に行くとかそういう話には普通ならないよね?」
「まあ、普通ならへんわなあ、当然」
「分かっててそういう振りをするのって、芸人としてどうかと思うよ、宏君」
「やっぱそうやんなあ」
春菜にたしなめられて、これまた苦笑しながら頷くしかない宏。正直、自分でも思っていた事だけに反論の余地はない。
「で、潜るのはいいとして、どの程度本腰入れて攻略する気だ?」
「そこが問題やねん。発生しとるモンスターがどの程度強いかと、ダンジョン潰して元の鉱山にするんとこのまま定着するまで放置するんとどっちの利益が大きいか、そこの兼ね合いで決める事になるんちゃうか、っちゅう感じやで」
「だよなあ」
ある意味予想通りの話に、ため息が漏れる達也。陽炎の塔のようにモンスターが外に出てくるなどの問題がないものの場合、ダンジョンはそのまま飼い殺すのも選択肢になる。しかもこのダンジョン、元々の坑道に湧いて出てくるモンスターは駆け出しでも倒せそうなものがほとんどであり、護衛と巡回をきっちりやっていれば元の鉱山として利用するのもそれほど問題がないと来ている。奥の方から余程凶暴なのが出てこない限り、飼い殺すという選択肢もさほど非現実的な選択肢ではない。
「それにしても、私達みたいな平均七級ぐらいの冒険者チームに、よくそんな話を持ってきたよね?」
「昨日と今日の調査やと、基本モンスターと地図のチェックぐらいしかできてへんで、鉱山としてはどうなんかっちゅうんは僕ら以外調べてへんねんわ。せやからデータ取るために、ちょっとええ金属が採掘出来てかつ戦闘能力もある集団っちゅうんがどうしても必要になってくる訳や」
「それで、私達に協力してほしい、って?」
「そんなとこやな。明日は今日と同じ内容で、それ以降は別の入り口から入って二日ぐらい採掘、全部の入り口回った後は二日から三日単位で奥の方を掘って回って欲しい、っちゅうとったわ」
「ん、了解」
鉱山組合の要望を理解して頷く一同。元々、特に急ぐ理由もない旅。この手の寄り道はいまに始まった事ではない。
「あ、そうそう、春菜さん」
「何?」
「明日からの報酬の一部として、春菜さんが掘った分と僕が掘った分の鉱石は、品質チェックが終わった後に半分ぐらい貰えるよう交渉するつもりやから、春菜さんはそれ使うて精錬と鍛冶の特訓な」
「……やっぱりやるの?」
「もうちょい頑張ればメイキングマスタリーに手が届くはずやから、もうちょい踏ん張ろうや」
「……分かったよ、頑張る」
宏に励まされ、とりあえずの目標までは頑張る事にする春菜。正直なところ、紡織や裁縫、製薬などに比べると、いまいち鍛冶や精錬は気乗りしない。何というか、ごく普通の非力な女の子がする仕事ではないのでは、という印象が強いからである。
だが、これを乗り越えないと、裁縫や紡織の腕を磨くにも厳しいものがある。霊布を使って自分の下着を作るという壮大な最終目標を達成するためには、絶対に乗り越える必要がある試練なのだ。
「師匠、春姉鍛えるのはいいけど、作った武器とかはどうするの? 今の時点でもそれなりの数作ってるけど」
重要な問題であるため、とりあえず確認だけしておく澪。それなりの数、といってもほぼ全て失敗作なのだが、そこは春菜の名誉のために伏せておく。
「まあ、おいおい考えるわ。初めて作った奴は記念にとっとけばええとして、他のんは使い捨ての消耗品なり、打ち直してそれなりの品質・性能にしてうっぱらうなり、どうとでも使えると思うし」
「ん、了解」
それなりの品質・性能、と言う単語に一抹の不安を抱えながらも、妥当と言えば妥当な結論にとりあえず納得しておく澪。この後、宏がいうところのそれなりの品質・性能と言う装備が必然的に色々と波乱を起こす事になる。それ自体はもはやお約束だとして、宏以外の全員が予想していた。が、宏以外も全員一致でその波乱を積極的に起こす方に回るというのは、この時点では欠片も予測していなかったのはここだけの話である。
フォーレの首都・スティレン。情報収集のために宏達より先行する事一週間。レイニーは、フォーレ国内で起こっている異変について、かなり困惑しながら報告をする羽目になっていた。
『……つまり、フォーレ国内の鉱山で次々にトラブルが起こっている、と言う事か』
「うん」
『……鉱山での事故と言うのは、実際のところはそれほど珍しくはない。妙な空間を掘り当ててガスが充満したり、地盤の緩いところを掘って落盤を起こしたり、坑道内はとかく危険が多い。フォーレではドワーフのおかげでその手の事故が少なく、国の富を支える産業として採掘に関わっている人間はそれなりの地位を得ているが、我がファーレーンを含めて普通の国では罪人の強制労働の定番だからな』
レイオットの台詞に、そうなのかと感心した様子を見せるレイニー。彼女は自我を得てからの日が浅い事もあり、こう言ったある種の一般常識にはどうしても疎い面がある。
『だが、ダールで新たに合計三体のバルドが仕留められた直後ぐらいから頻発し始めた、と言うのは気になるところだ』
「わたしも、そこがおかしいと思った」
『バルドらしい存在、もしくは不自然な行動をとっている貴族や有力者の類は居ないか?』
「今のところ、ダールの時ほどあからさまなのは見つけてない。この国はヒューマン種もドワーフに近い価値観の人が多いから、ファーレーンやダールのようなやり方で取り入るのは難しいと思う」
『そうか』
レイニーの報告に、難しい顔をしながら頷くレイオット。レイニーが指摘したように、フォーレは国全体がドワーフの独特の価値観に影響を受けている。その影響は当然外交にも出てきており、他の国が重視していない要素で揉める事も結構多い。金銭的な問題や領土の境界線、名誉がどうこうと言った普通は国として重要な要素ではまずトラブルに発展しないのが救いと言えば救いだが、隣国としてはかなり面倒な性質をしているのは間違いない。
『……今の段階では、情報不足で判断出来ないな。他に、おかしなことは?』
「大地母神様の本殿との行き来が減ってる、って言ってた」
『……何とも言えないところだな』
「バルドが何かするって言ったら神殿関係かと思ったけど、それを判断できるほどの情報はなかった」
『そうか。ならば引き続き、そちらの方から調査を進めてくれ。こちらでも他の伝手を使って調べておく』
「了解」
レイオットの指示を受けたところで、通信を終える。その後一つため息をつくと、無表情なまま気合を入れて立ち上がるレイニー。
「まずは、肝臓と胃袋鍛えないと駄目かも」
話をするたびに酒を飲まされ、はちきれんばかりに飯を食わされる国、フォーレ。流石にヒューマン種の女の好みまでドワーフに毒されている訳ではないとはいえ、レイニーの体格ではやせ過ぎと判断される事も多い。
これが春菜ぐらい胸が大きければ、逆に見逃してもらえるのだが、レイニーは平均よりはかなり大きい方だとはいえ、巨乳のカテゴリーに入るかどうかは人それぞれ、というラインにすぎない。基本見た目のボリューム重視のフォーレでは、レイニーの引き締まった体はやせすぎで貧弱と見る人が多いのだ。
「太ってハニーに嫌われないように、頑張って運動しないと……」
恋する(?)乙女、レイニー・ムーン。仕事のせいで、生れて初めてダイエットと言う難題に向かい合う事になるのであった。
一方その頃、ダールの王宮では。
「鉄の値段に、値上がりの兆候?」
「どうもフォーレの鉱山で事故が頻発しているとの事でして」
「ふむ。それはまた頭が痛い事になりそうじゃのう」
「まったくです」
フォーレに滞在している大使からの重要な連絡に、ダールの王宮の主は険しい顔を隠せないでいた。
「鉄が足りなくなると、国内が大混乱に陥りますぞ」
「うむ。とはいえ、今日明日急に枯渇する訳でも無し、今から派手に騒ぐのは余計な問題を引き起こすだけじゃ」
「ですが!」
「まだ現時点では、単に値上がりの兆候が出ておるというだけじゃ。セルジオ、アクラウス鉱山の採掘量、もっと増やす事は出来んか?」
やたら騒ぎ立てる家臣達を抑え、腹心に誰でも思いつく対応策から確認を取る。
「我が国の採掘技術では、安全マージンを見込むのであれば五パーセント程度の積み増しが限界でしょう」
「そうか。では、大地の民からはどうじゃ?」
「それは交渉次第でしょう。ですが、彼らは採掘に限らず、様々な分野において高度な技術を持ち合わせています。交渉の持って行き方によっては直接鉄を買うだけではなく、アクラウス鉱山の採掘に関して技術供与をしてもらうことも可能ではないか、と考えます」
「なるほどな。後はマルクトあたりに期待をするか。彼の国もフォーレほどではないが鉱物資源は豊富じゃし、我が国ともそれなりに取引がある。前々からの議題となっていた耐熱煉瓦や陽炎の塔で得られるアイテム類の輸出枠、これの拡大と引き換えに鉄を多めに売って貰えば、値上がりこそ避けられぬが急場はしのげるじゃろう」
大陸東部の大国、マルクト。ファーレーンやファルダニアとの交易のためにダールに立ち寄らざるを得ない彼の国は、ダールにとっても大のお得意様である。そのため元々国家間の仲はかなり良好であった所に、ファーレーンからダールに第一王女マグダレナが、マルクトに第三王女マリアが嫁いでからはファーレーンともども更に結びつきが強くなっている。フォーレのこの情報を聞いていれば、ダールに対して一時的に鉄の輸出量を増やすぐらいの事はしてくれるであろう。
「とりあえず、値段が上がる事に目をつぶれば、わが国で使う分に関してはどうにかなりそうじゃ。ファーレーンは元々、どこか一国に依存しておる資源や商品と言うのはほとんど無いから、この件で問題が起こる可能性は低いじゃろう。と、なるとむしろ問題は……」
「ミダス連邦、ですか……」
「そうじゃな。フォーレと地続きじゃというのに、あの一帯の国にはろくな鉱山がない。此度の騒ぎが深刻化すれば、当事者であるフォーレ以上に影響が大きくなりそうじゃ」
女王の言葉に、先ほどとは別の意味で深刻な表情を浮かべる家臣達。ダールとフォーレに挟まれている、大は人口数百万名規模から小はバチカン市国未満の規模の都市国家まで、全部で十七の小国家が所属するミダス連邦は、全体として見れば弱体なれど、ダールとフォーレの間の交易路を握っている、ある意味重要な国家群である。
ここが混乱に陥った場合、悪くすればダールとフォーレは直接取引が不可能になる可能性があり、最悪フォーレの三分の一と言う広大な地域が完全にモンスターの巣窟になってしまうかもしれないのだ。そういう意味では、値上がりを我慢してやりくりすれば解決する国内の鉄不足とは、問題の次元が違う。
「いっそ、我が国とフォーレで併合してしまってはいかがですかな?」
「ウォルディスではあるまいし、侵略者の汚名をかぶってあちらこちらから非難されてまで、あんなろくに資源も農地も無い癖に統治し辛い地域を切り取るなどまっぴらごめんじゃ」
ミダス連邦が地政学的に重要な位置にあるにもかかわらず、いまだにダールからもフォーレからも侵略されていない理由は、女王が言った事情がすべてである。何しろこのミダス連邦、所属国家は政治的には上は国レベルから下は庶民レベルまで、とにかく仲が悪い。その癖軍事と商業に関しては、あの仲の悪さは一体何だったのかと言うほど仲睦まじく連携が取れている。
恐らくその気になって攻めれば確実に制圧できるであろうが、後々何度も内乱と反乱を起こされるのが目に見えているとなると、まともな神経をしている為政者なら、こんな地域を平定して統治するなど死んでもごめんだ、と言う事になるのも当然である。この点については、何百年もダールとフォーレという二大大国に挟まれているというのに一度も地域を統一した国家が誕生せず、人口一千万を超えた国が出来るたびに内乱で分裂し続けた歴史を見れば仕方がないことだろう。
それだけでもわざわざ金と兵の命をかけて取りに行く気がそがれる土地だというのに、この地域は食料自給率が低い。理由は不明なれど、ダールと違って緑あふれる豊かな地域のくせに、どう言う訳かまともな農作物が育つ土地が少ない。かといって自然に生えてくる植物はどれも一部の獣人を除いたほとんどの人類種族が消化できないものばかりで、加工しても毒にも薬にもならないという何とも言えない植生をしている。地域内に塩湖も岩塩が取れる土地も無い事もあり、ミダス連邦の食料自給率は、ダールに比べても低いのである。
併合してしまえば治安維持だの食料自給率の向上だの、かなり馬鹿に出来ない負担が増える。交易路の安定とその絡みの関税と言うのは無視できない重要な要素ではあるが、あまりに費用対効果が悪くリスクが大きすぎるため、ダールもフォーレも手を出す気が起こらないのである。
「とりあえず、いざという時のためにフォーレと連絡を密にとり、ファーレーンにも頭を下げて可能な限り港湾使用料を負けてもらう準備をしておく必要があるのう」
「まったく、あそこも連合国家を組むのであれば、もう少しまとまりと言うものを持ってもらえんものですかのう……」
「それが出来るのであれば、とうの昔にミダス連邦では無くミダス王国かミダス帝国あたりの国名になっておったであろうよ」
「食料や資源の問題で我が国にもファーレーンにもフォーレにも逆らえんのじゃから、せめてすぐに内輪もめした揚句に責任を我らに持ってくるのはやめて欲しいものですが……」
「数百年あのままだったのだ。今更変わる事など期待しても仕方あるまいさ」
面倒な隣国に対して、実に投げやりな事を言う女王。隣国とは普通仲が悪いもの、という地球での常識は、この世界でも部分的に正しいのであった。
とある闇の中。
「上手く行ったのは一カ所だけか」
地脈の流れを読み、吐き捨てるように呟く闇の主。闇すらも歪ませるほどの瘴気を身にまとったその人物は、フォーレでの工作の結果に不満そうな様子を見せていた。
「一カ所上手くいけば上等ではないのか?」
「上等なものか。女神にこちらの動きを察知されるのと引き換えで出した成果が、たかだかダンジョン一カ所では割に合わぬ!」
もう一人の闇の主に聞かれて、忌々しそうに吐き捨てる。予定では半分はダンジョンにできるはずだったのだが、予想外に大地母神の抵抗が激しく、せいぜい落盤事故を起こさせるのが限界であった。今はそれでフォーレの生産性を大きく引き下げる事が出来るが、フォーレには驚くほどドワーフが多い。連中の鉱山への情熱を鑑みるに、恐らく一カ月もしないうちに再び採掘を再開できるところまでこぎつけるのは目に見えている。
つまり、フォーレの産業に致命的な打撃を与える、という目的からすれば大失敗なのだ。
「バルドには手に余ると見て介入したが、正直見切りが甘かったとしか言えん」
「だが、ダンジョン一つでも、聖気を集める役には立とう?」
「せめてそのぐらいの役には立ってもらわねば、大地母神に目をつけられた甲斐がない」
一つだけ救いがあるとするならば、フォーレ最大の鉱山をダンジョンにする事が出来たことだろう。クレストケイブの産出量は世界一。この鉱山が事実上の閉鎖に追い込まれるだけで、都市国家が三つは鉄の枯渇に追い込まれる。その時の怨嗟の声は、さぞたくさんの聖気を生み出すことだろう。
「何をするにしても、まずは大地母神をどうにかせんとな」
「こちらも、フォーレのバルドが手こずっているという情報は聞いていたからな。それについては、一応多少は手を打ってある」
「ほう?」
自身の作業が不発に終わっていらだっていた闇の主その一が、同胞の言葉に興味深そうな反応を見せる。大地母神はフォーレにおける最大の障害だ。少しでも影響力をそいでおきたい。
「どのような手を打った?」
「大した手ではないがな。単に、大地母神の神殿へつながる道、あの一帯の聖気を濃くしてモンスターどもを活発化させ、少々認識を狂わせる仕掛けを施しておいたにすぎん」
「……なるほど、時間をかけて孤立させ、兵糧攻めで締め上げる訳か」
「奴らは人間どもからの信仰など大して気にはしておらんが、それでも出入りが減って聖気が濃くなれば、必然的にそちらに手を取られることになるだろうからな」
同胞の言葉に、実にありがたそうに頷く闇の主その一。不発に終わった企みによって身動きがとり辛くなった彼にとって、この程度の些細な援護とは言えども、手を貸してくれるのは大いにありがたい。彼らの間では競争意識だの対抗心だのと言ったものはないため、互いに援護をする、援護を受ける、と言う事に対して全く抵抗がない。援護を断るときは大抵、十分に成算があって、できるだけ人手を温存しておきたい状況なのだ。
「すまんな、いろいろ助かる」
「何。ファーレーンもダールも計画が頓挫している今、ただ遊んでいるのも無駄だからな」
「なるほどな。もっとも、逆に言うならば例の知られざる大陸からの客人どもが余計な事をしなければ、大地母神も今回の計画を阻止できるほどの余力はなかったのだろうが……」
「今までと同じ戦闘に特化していて政治に関わっても碌な事が出来ん連中だろうと決めてかかって、積極的に排除しなかったことがここまで裏目に出るとは誰も予測できなかったからな」
闇の主その二の言葉に、思わず唸ってしまう闇の主その一。今までの流れからして、政治にかかわったところで何が出来る訳でもない連中なのは、今回の客人達も過去の客人達と変わらない。ただ、直接的な政策だなんだでは何もできない連中だが、パワーバランスをひっくり返すという一点においては、何処にでも居る名君よりはるかに高い実力を持っている。
たかが職人と侮る人間は、もはや彼らの陣営には一人もいない。
「今回は、我が直接相手をするつもりだ」
「勝算は?」
「バルド二体と陽炎の塔である程度追い詰められたのだ。絶対とは言えんが、ある程度の目算はある」
「そうか。手を貸せる事があれば、何でも言え」
「ああ。もっとも、我の存在が一般にまで割れると面倒だ。しばらくはタイミングをはかることになるが」
もはやバルドでは話にもならない。百体規模でぶつければ後衛は仕留められる可能性もあるが、そこまでやるとまず間違いなく、女神達から余計な横槍が入る。手間やコストに見合った手段とは言い切れない以上、直接ぶつかった方が早くて確実だ。
「しばらくは、フォーレの国内をかき回すぐらいしか出来ん。折角バルドも送り込んであるのだ。せいぜい役に立ってもらう事にしよう」
「そうだな。ダールはともかくファーレーンには手を出せん以上、余ったリソースはフォーレとローレンにつぎ込むべきだろう」
「ああ。とりあえず、我はもう一度、鉱脈周りに手を出すことを検討しよう」
「ならば、こちらは流通をかき乱す方向で考える。ミダス連邦が、なかなか面白い事になっているからな」
「分かった。そちらは任せよう。世界を聖気で満たすために」
「世界を聖気で満たすために」
決まり文句となった挨拶を交わし、闇の中に溶け込んで行く主二人。闇の主達は気が付いていなかった。彼らの会合を、二柱の女神が観察していた事を。
「……エルザ、現在私が手を貸せるのはここまでです」
世界と世界のはざまにある神域。闇の主達の会合を覗き見していたアルフェミナが、大地母神エルザに対してそう告げる。
「……助かりました、アルフェミナ。とは言え、本殿への道を潰されてしまうのは厄介です」
「ですが、私達が直接手を出せるのは、地脈の浄化だけ。幸いにして宏殿の一行がフォーレに入っています。エアリスも近々フォーレを訪れる事になっていますので、そちらから今回の情報を流す事にしましょう」
「お手数をおかけします」
「今回ばかりは、仕方がありません。巫女の覚醒までは私とレーフィア、ソレスの三柱で手助けはしますが、ザナフェルだけでなくあなたもまともに仕事が出来ない今、それほど手厚くはフォローできませんよ」
「本当に、申し訳ありません」
アルフェミナの苦情に、心底申し訳なさそうにしているエルザ。諸般の事情で実質的に巫女が不在となっているエルザは、巫女を通して行うべき仕事の大半を直接処理する事でどうにかさまざまな均衡を保っている。結果として余計な手順を踏むために必要な労力が増え、三女神の一柱としての仕事や五大神としての仕事などが滞り始めているのである。
「宏殿と春菜殿があなたの神殿にたどり着けば、巫女の問題は解決します。その後はたっぷり働いてもらいますので覚悟してください」
「ええ、分かっています」
「さて、これ以上はこちらに手を出す余力はありません。しばらくは自力で何とかしてください」
そう言い置いて、己の職務に戻るアルフェミナ。アルフェミナを見送った後、怪しげな手段で痛めつけられた地脈と鉱脈に自身の力を流し、これ以上好き放題させないために全力で抵抗を行う。
「まったく、数回前の置き土産が今頃効果を見せるなんて、本当に気の長いやり方を……」
七百年ほど前の動乱、その時の置き土産による巫女の封印。その影響の大きさに、つくづくため息しか出ない。
「どうやらクレストケイブで寄り道をしているようですが、あなた方が思っているほど余裕はありませんよ、宏殿」
じわじわと浸食してくる瘴気を浄化しながら、何度目か分からぬため息とともに苦情のような言葉を漏らす。元々宏達がこちらの世界に来たこと自体、神々の事情に巻き込まれたようなものだと分かっている。分かってはいるのだが、それでも本来無関係でそういった苦情を言ってはいけないはずの相手に望みを託すとともに苦情を漏らしてしまうほど、現在の状況はよろしくないのだ。
「さて、手足を縛られているのと変わらぬこの状況で、五大神の意地という奴を何処まで見せられるか……」
地脈を通じて、エルザ神殿本殿へと通じる道の瘴気を浄化しながら、険しい顔で弱音をこぼすエルザ。神々の世界は、宏達の予想外に逼迫していたのであった。
番外編の感想返しは件数が多いため、活動報告で一括で済ませています。
申し訳ありませんが、番外編関連はそちらをご覧ください。





