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第4話

「さて、土はOK、マンイーターの茎OK。各種の種も肥料も揃っとるし、一丁やろか」


 翌日、何事もなく復活した宏は、朝食もそこそこに植木鉢の前でマッドな笑みを浮かべていた。因みに今いる場所は、住民が出て行って空き家となった建物である。ゴブリンやフォレストジャイアント、フェアリーなどが泊まっていくこともあるため、そのための施設として、こういった空き家をいくつか村全体で維持管理しているのである。


「調子は大丈夫なの?」


「特に問題はあらへん」


「だったらいいけど……」


 やけにやる気満々の宏に、微妙に不安を隠せないままとりあえず曖昧に頷く春菜。毎度のことながら、あの手の事件があるたびに、宏の現状がどんな感じなのかが不安になる。不思議とそれほどマイナスになった様子はないのだが、今までがそうだからと言ってこれからも大丈夫だとは思えないのが辛いところである。


 ついでに言えば、昨日どの程度ばっちり見てしまったのか、というのもそれなり以上に気になっているが、それを蒸し返すのは、いろんな意味で地雷を踏み抜くようなものなので、少なくとも春菜の側から触れるのはためらわれる。とりあえず見られたこと自体は事故で、見られて減るものでもないのだからそれは別にいいのだが。


「とりあえず、実験中はいろいろ危ないからあんまり近寄らんように。特にアルチェムは本気でヤバいから、出来るだけ中に入ってくるんを阻止したって」


「了解」


 宏の言いたい事を察し、真剣な顔で頷く春菜。アルチェムをマンイーターに近付けた日には、冗談抜きでエロゲー的展開になりかねない。


「それで、宏君は大丈夫なの?」


「大丈夫やなかったら、こんな事はせえへんよ」


「そっか……」


 他の事ならともかく、物を作ると言うカテゴリーなら宏の判断はそれなりに信用出来る。たまに巨大ポメのような事もやらかすが、アニメや漫画、小説のマッドサイエンティストと違い、周りに余計な被害を出した事だけは無いのだから、信用してもいいだろう。


「じゃあ、ちょっと出てくるから、気をつけてね」


「分かっとる。肉食の植物扱うんやから、油断はせえへんよ」


 宏の言葉に頷くと、そのまま外に出ていく春菜。正直な話、春菜がこの場にいても邪魔にしかならない。


「さて、まずは一個目の鉢植えはマンイーターやな」


 仕留めるべき相手が無ければ、実験自体が出来ない。きっちり結界を張ったスペースの中央付近に鉢植えを置くと、所定の手順で土を入れてマンイーターの茎を刺し、栄養剤を混ぜた水をやって放置する。


「これで一時間もすれば育つやろう」


 色々と非常識な事をほざくと、蔓草を枯らすタイプの植物のうち、この世界特有のものをマンイーターと同じ要領で栽培し始める。


「まずは正攻法で行ってみるか」


 あっという間に凄まじい大きさに育ち、たくさん花を咲かせたそれらの植物を、科が同じであろうもの同士を掛け合わせて種を作り、マンイーターの鉢に一緒に植えてみる。


「まあ、向こうの方が普通に強いわな」


 予想通り芽が出たとたんに、あっという間にマンイーターに押しつぶされる草達。雑草パワーを侮ってはいけないとはいえ、モンスターに分類される物の生命力を奪うのは厳しいらしい。


「あと何回か正攻法でやって、それから錬金術の出番、でええか」


 そんな感じでトライアンドエラーを繰り返し、錬金術なしである程度マンイーターに潰されずに生き延びる草を作り上げたところで、品種改良初日は終わったのであった。








「今頃、親方たちはテレスの故郷に到着したのかな……?」


 宏がマッドな真似をしている頃、ウルスの工房ではファム、テレス、ノーラの三人がちょっと遅めの昼食をとりながら、のんびり駄弁っていた。ライムは一足先に食事を済ませて昼寝中、レラはライムと一緒に食事を終えた後、買い出しついでにメリザのところにあれこれ納品しに行っている。なお、テレスの村とウルスでは、一時間以上の時差がある。


「あのゴーレム馬車のスピードなら、とっくに到着してないとおかしいのです」


「いやでも、私が言うのもなんだけど、まともな道が一切ないような場所にあるから、迷子になっててもおかしくはないよ?」


 正確な地図が描けるような場所じゃないし、と言うテレスの言葉に、少し考え込む他のメンバー。


「なんだろう、全然困ってるところが想像できない……」


 迷子と言う事で出したファムの結論に、思わずコクコク頷くテレスとノーラ。あのメンバーだったら、迷ったら迷ったなりに力強く生きていくに違いない。少なくとも、どんな環境でも衣食住には困らないのだし。


「きっと、変な素材を見つけて目を輝かせて、森の中だと言うのに喜々として何か妙なもの作ってるに決まっているのです」


「それか、必要なものができたからって、霊糸とか無駄遣いして間に合わせと称した無駄に高性能な何かを作ってるとか」


 宏がやりそうな事を言い合うノーラとテレスに、真顔でうんうんうなずくファム。宏の生産ジャンキー振りに関しては、それこそ山ほど前科がある。何処に居ても材料と道具があれば何かを作っている、それが東宏である。


「まあ、ワイバーンとかロックボアとか倒せるぐらいなのですし、よっぽど厄介なモンスターとかよっぽどの数の群れとかに襲われてない限り、心配はいらないと思うのです」


「ただ、たまには戻ってきてもらわないと、今はいいけどそのうち頭打ちになりそうだし」


 テレスの言葉に、思わず苦笑を浮かべる。とりあえず等級外ポーションはものになり、カレー粉以外の各種調味料も拘らなければ十分以上に実用に耐えるものをガロン単位で作れるようにはなった。だが、まだ八級は安定して納品できるかと言うと微妙な線で、並行で仕込まれた錬金術やエンチャントも、できる事はたかが知れている。


 何でもかんでも教えてもらうのは芸が無いにしても、現状の教えてもらった基礎をベースに半ば独学で仕事を兼ねた訓練をするやり方では、なんとなく八級の壁を越えたあたりで頭打ちになりそうな予感はする。かといって、よく知らない素材を使って試行錯誤するには、いくらなんでもベースとなる知識も技量も足りない。


 それに、宏と澪がいなくなってから、てきめんに進歩が遅くなった自覚もある。やはり、自分達程度のレベルなら、まだまだ指導者に頼らなければ新しい事に挑戦するのは難しい。そう考えると、どうしても先行きに不安を覚えるテレス達。


「でも、まだ親方たちが出て行って一カ月もたってないんだし、もうしばらくは自力で頑張ろうよ」


「そうね。頭打ちだなんだって悩みは、せめて八級のポーションを失敗せずに作れるようになってから、ね」


 ファムの言葉に気分を入れ替え、仕事しようと席を立つテレス。王宮経由であちらこちらに広まってしまったからか、味噌も醤油も各種ソースも、いくら作っても足りないぐらい注文がある。別段製法を隠してはいないが、やはり先駆者だけあってかアズマ工房のものが一番いいと評判である。生産出来る分量も現状では桁が一つ以上違う。まだまだライバルが育つまでは時間がかかりそうだ。だからといって油断するとあっという間に逆転される、という危機感は工房の全員が持っている。


 実際のところ、彼女達が作る調味料自体、作るたびに少しずつ進化しているのだからそう簡単に追いつけるはずが無い。そもそも、他の業者はようやく製法が安定しはじめたところで、味に関しては雲泥の差がある。その上、量産効果でこちらの方がやや割安なのだからたまったものではない。現状の生産量では王侯貴族や富裕層に行きわたるのが精いっぱいで、需要を完全に埋めきれていないから他の業者が参入する余地があるが、これが雇った弟子の数が倍以上で、工房の設備ももっとがっちりやっていたら、いくら製法を公開していてもそう簡単に新規参入は出来なかっただろう。



「ごめんください」


 気合を入れて最も注文の多い醤油の生産を始めようとしたところで、すっかり仲良くなった姫巫女の少女の声が。


「あ、エル様。いらっしゃい」


 声を聞きつけたファムが、真っ先に迎えに出る。


「こんにちは」


「こんにちは。今日はどのような御用件で?」


「ダシ用の煮干しを五百グラムほどと、大判の昆布を三枚、それから鰹節を二本お願いします」


 お姫様がわざわざ自ら足を運んで買い付けるとは思えない物を、悩むそぶりも見せずにすらすらと注文するエアリス。全て彼女自身が神殿の厨房で使うものである。


「かしこまりました。少々お待ちください」


 注文を受けて、奥から言われた物を集めてくるテレス。因みに、アズマ工房が直接物を売るのは、王家と冒険者協会の関係者、後はごく少数の彼女達が個人的に親しく信用している相手だけである。これは宏が工房主だった頃からの習慣のようなものだが、扱っている物の品質と希少性の問題で、直接取引ができると言うだけで妙なステータスがついてしまっている。


「あ、エル様、上がって上がって!」


「あの、お仕事はいいのですか?」


「基本的に、最低限のノルマは午前中に終わるのです。午後からは給料と休日を確保するための、研鑚を兼ねた増産分なのです」


 エアリスの質問に、生々しい裏事情をあっさり白状するノーラ。基本的に彼女達の生活費は、彼女達が上げる売り上げから諸経費を引いた分で賄われている。別段給料がいくらとか決まっている訳ではなく、運営のためのやりくりがつくなら利益全部を食いつぶしても問題はないとのことではあるが、現在工房で暮らしている女達は皆、金銭面ではいろいろ苦労をしてきた身の上。そんな怖い真似はとてもできない。


 なので、日々受けている注文を納期別に分け、予定されている売り上げから利益を計算し、日ごろの生活費から逆算してその日の最低限の仕事を決めて作業をしている。今のところはどれも売価が高く、納期も十分すぎるほど見込んでもらっている物が大半であるため、頑張れば大体は午前中に十分に仕事が終わる。


 それゆえに職人見習いの三人は、基本的にその日のノルマを全て午前中に終わらせ、午後からは出来ればやってほしいと言われている物や明日の予定になる物を終わらせたり、こういった急な来客に対応するための時間に割り当てている。


「お茶とかお茶菓子とか、色々新作があるんですよ。まだ試作の上、量が作れないから売り物には出来ないんですけどね」


 そう言って、注文を受けたものと、休憩用のお茶とお茶菓子を用意してテレスが戻って来た。お茶菓子はパンを薄く切って、油で揚げて砂糖をまぶしたいわゆるラスクと言うやつである。


「……美味しいです。このお菓子、テレスさんが作ったのですか?」


「……エル様は、私の料理の腕をご存じだったと思うんですけど……」


「ご、ごめんなさい!!」


 微妙にダークな表情になったテレスに対し、慌てて謝罪するエアリス。テレスは料理が出来ない訳ではないが、ファムやノーラと比べると数段技量が落ちる。比較対象がエアリスやレラとなると、そもそも勝負しようとすること自体が不遜だと言うレベルだ。


「この工房にいる人間が、皆料理が上手な訳じゃないんですよ……」


「まあ、マコト姉さんとか、料理全くできなかったし」


「マコトさんは完全な戦闘要員なので、料理とかできなくても仕方が無いのです。むしろそれ以外のメンバーが、タツヤさんですら多少とはいえものづくりの類を嗜んでいる事がおかしいのです」


 ノーラの指摘に、思わず苦笑するファムとテレス。普通、冒険者のくくりに入る人間は、物を作る技能など持っていない。せいぜいがその場にある材料でちょっとした仕掛けを作る程度で、専門的な技能など覚えていないのが普通の冒険者だ。それを鍛える暇があれば、戦闘をはじめとしたトラブル解決に必要な能力を磨く方に回すのが一般的な冒険者と言うやつである。武器にしろ薬にしろ、基本的に金で解決できる要素である以上は金で解決するのが普通なのだ。


 無論、宏ほどあれではないだけで、例外はいくらでも存在する。自力で材料を集めに行くような鍛冶師や薬師の場合、最低限の自衛ができるように九級から八級程度の冒険者資格を取れるように鍛えている人間は結構いる。だが、職人全員が自力で材料を集めに行く訳ではないし、冒険者と言うくくりで見れば少数派なのは間違いない。


「まあ、テレスの料理については置いておくのです。どうせ、親方やハルナさんから見れば、私達の力量なんて誤差の範囲なのです」


「あの人たちの基準は、ロックボアあたりを調理できるかどうかがボーダーラインだしね」


「その慰めが痛い……」


 ノーラとファムの台詞に、微妙にへこんで見せるテレス。エルフの特徴である尖った耳も、その内心を示すように力なく垂れ下がっている。因みに、彼女が料理にコンプレックスを持っているのは、ヒューマンの社会に割と多い、女のくせに料理の一つも出来ないのか、と言う種類のものではない。どちらかと言うと、まだ見習いとはいえ職人としてのプライドの問題である。


 エルフ族はジェンダーが割と曖昧な種族なので、女性だからといって料理や裁縫についてどうこう言われる事はまずない。せいぜい、体力勝負の仕事が男性に、集中力と持久力が物を言う仕事が女性に振られる事が多いぐらいで、どっちの性別にとっても一長一短あったり、誰がやってもあまり変わらないような事は普通に手のあいた人間がやる社会だ。


 なので、料理が相対的に苦手である事が女性としてのプライドを傷つける事はない。ないのだが、それはそれとして、同期の二人や、そもそも普通は料理など触るはずのないエアリスにすら大きく劣ると言うのは、調味料も調合する身の上としては随分と痛い。それに、錬金術や製薬には料理の技が役に立つ事も多いので、余計にへこむのだ。


「でまあ、料理の話は置いておくとして。エル様、弟殿下と妹殿下はどんなご様子なの?」


「まだまだ赤ちゃんなので色々油断は禁物ですが、今のところ特に大きな病気もなく、元気に育っていますよ」


 さっくり話をそらしたファムに苦笑しながら、余りありがたくない話が続くよりはいいかと、その話題転換に乗ることにしたエアリス。とは言え、まだ生後一カ月ぐらいなので、これと言って語る事もあまりないのだが。


「親方たちが、実に忙しそうだったのです」


「そう言えば、大慌てでなんだかすごい産着を作ってましたよね?」


 自作のハーブティを嗜みながら、ちょっと生まれるタイミングがずれた新しい王族の話で盛り上がる女達。生まれたのは男女の双子で、両親ともにエレーナやレイオット、エアリスと同じ正室の子である。


 予定より十日ほど早く生まれた上に双子だったため、大慌てでもう一着産着を縫い上げることになった宏はご苦労様、としか言えない。ファーレーンの医療技術では双子だった事が分からなかった上、エアリスに神託と言う形で誕生を教えていたアルフェミナがサプライズのためにわざと双子である事を告げなかったので、なんとなく予感があった当の王妃以外は、生まれてくるまでは誰も双子だと知らなかったのだ。


 その後、赤子用の薬を思い付く限り調合して納品し、王妃にあれこれ産後の体調を整えるのによさげな加工済みの食材を献上して慌ただしく旅立って行ったのが二月の末。最初の節目である生後一カ月も間もなく、と言うところだ。


「発表はいつごろになるの?」


「一カ月目の健康診断が終わって、祝福を授けた後になります」


 赤子と言うのは、ちょっとした事ですぐに死んでしまう弱い存在だ。それがたとえ王族で、医療技術の粋をつくしたとしても、死ぬ時は手の施しようなくあっさり死んでしまう。なので、新たに王族が生まれた事を正式に発表するのは、大体生まれて一カ月ぐらい経ってから、と言うのがファーレーンの習慣になっている。


 無論、王妃の懐妊も生まれたことも隠していないため、噂話と言う形で既に国中に広まっている。ただ、双子だと言う事も含めて詳細は広まっていないため、国民は祝福ムードのまま、いまかいまかと王室からの発表を首を長くして待ち構えているところである。


「祝福は、エル様が?」


「はい。それが姫巫女の役割なので」


 ファムの問いかけににっこり微笑んで答え、上品に残りのお茶を飲み干す。その仕草だけを見ていると、この姫君が食いしん坊でグルメなチャレンジャーだと言うのが信じられなくなる。


「それはそれとして、街の様子はどうですか?」


「新しい王族の御生誕と言う事で浮足立っている感じはありますが、これと言って特に変わった出来事とかはありませんね。親方たちがいないので、新しい調味料とか変わった料理とかが唐突に出てくる訳でもないですし」


「あ、でも」


「ファム、何かあるのですか?」


「市場からちょっと奥に行ったあたりで、おそば屋さんが出来てたよ。親方が仲よくしてたおじさんが始めたみたい。協会でちょっと話振ってみたんだけど、多分あれがウルスのおそば屋さん一号店じゃないか、って」


 そば屋と聞いて、エアリスが瞳を輝かせる。彼女はそばに目が無い。宏達に指導を受けてあれこれ色々な食べ方を覚えた彼女は、多分ファーレーン一のそば通であろう。


「あ、一応言っておくけど、まず間違いなく親方やハルナ姉さんが作るそばの味には届かないから」


「そうですか……」


「でも、それなりに客足はあるみたいだから、醤油がもっと出回ればもっと店も増えて、美味しいおそばが手軽に食べられるようになるかも。鰹節はともかく、昆布とか煮干しとかはそんなに高いものじゃないし」


 ファムの補足説明を聞き、ファーレーンにそばが浸透するかもしれないと言う予測に目を輝かせるエアリス。自分の好きなものが大勢の人に受け入れられるのは、やはり嬉しいものだ。


「それなら、もっと広まりやすくする手段はあるのです」


「それってどんな?」


「姫巫女様の大好物だと言う情報を流して、国が醤油と鰹節の増産を奨励すればあっという間なのです」


「なるほど……」


 ノーラの言葉を真剣に検討し始めるエアリス。結果を言うならば、国が醤油や鰹節の増産を奨励する、と言うのはこの時は見送られる事になる。それでも今の姫巫女の大好物であり、年が明ける前に食べる習慣があると言う情報が広まったあたりで作り方と一緒に一気に広まり、カップそばが流通に乗ったことも追い風となって、数年後にはファーレーンの国民食の一つとなるのだが。


「それはそうと、皆さまは今頃、テレスさんの村で何をしてるのでしょうね?」


「エル様は、村についたって確信があるの?」


「二日ほど前、アルフェミナ様が教えてくださいました」


「何その安い神託……」


「アルフェミナ様、エル様には本当に大甘なのです……」


 かなりしょうもない神託を下すアルフェミナに、思わず呆れてしまうテレスとノーラ。神の威厳も何も、あったものではない。


「と言うか、そんなにホイホイ神託をもらって、大丈夫なんですか?」


「割と常日頃からいろいろ教えていただいているので、大丈夫だと思いますよ?」


「本当に神託が安いんですね……」


 どうやらエアリスとアルフェミナは、神とその祭祀を行う長と言うより、近所のやたら権力を持っているお姉ちゃんとそのお気に入りの子供と言った方が正しい間柄になっているようだ。歴代の姫巫女の中でも、ここまでアルフェミナとの距離が近いのはエアリスを除けば初代のみである。その一点を見ても、エアリスの持つ資質がいかに突出しているかが分かる。


「まあ、神託については置いておくとして。どうせ親方たちのことだから、妙な素材に目を輝かせてアレな感じのものを作ってるか、新しい食材に目を輝かせてあれこれ料理を試してるか、トラブルに巻き込まれて明後日の方向に突っ走ってるかのどれかでしょうね」


「テレスさんの村では、どんなものを食べているのですか?」


「どんなと言っても、肉類が少ない事と主食が小麦粉系のものじゃない事以外は、ファーレーンとそんなにかけ離れていませんよ?」


「主食が小麦粉の類じゃない、と言うと?」


「この辺では見かけないんですけど、ラース麦と言う穀物を炊いたものを食べてますね」


 聞いた事のない作物に、興味深そうに相槌を打つ一同。実物が無いため、この場にいる誰一人として、それが米である事に気がつかない。因みに、宏達が事あるごとに話題にあげていたので、弟子達三人も米と言う単語と、それが穀物である事は知っている。


「ラース麦が恋しくなる事は?」


「たまにありますが、むしろ村に無い食材とか料理の方が多いので、そこまで意識する事はありません。今は食生活も充実していますし」


「そうですか」


「まあ、次に恋しくなったら、親方達に里帰りを手伝ってもらいます」


「それがいいですね」


 屈託なく笑うテレスに、どことなくほっとした感じの笑顔を浮かべて頷くエアリス。彼女達は知らない。四月の半ばごろには、ラース麦こと米の関連で、テレスが頻繁に故郷と工房を行き来する羽目になる事を。そんな嵐の前の凪の時期を、テレスは朗らかに過ごすのであった。








「スラッシュジャガーの肉は、結構癖が強いかな」


「マンイーターは何処も美味しくない……」


「何をどうしても美味しくなかったよね」


 エアリス達が噂話をし、宏が怪しげなあれこれをしていたその翌日。春菜と澪は駆除を済ませたマンイーターや達也と真琴が他の村に行く途中で仕留めた獲物を前に、色々と試行錯誤を繰り返していた。夕食はドリアと決めていたので、これが昼食代わりである。


「とりあえず、マンイーターを食べるのはあきらめよう」


「薬と消耗品の材料」


「後で練習に使うから、どんなものが作れるのかとその手順を教えてね」


「了解」


 毎日毎日大量に復活するマンイーターは、どうやら食材としては食えたものではなかったらしい。春菜の腕をもってしても無理だったのだから、それ以外の用途に活路を見出した方が建設的であろう。


「スラッシュジャガーはやっぱりカツかな?」


「香辛料で臭い消して、大葉とか紫蘇とチーズでカツにするのがよさそう」


「後は、上手く臭みを消してスモークすれば食べれるかな?」


「それも美味しそう」


 肉食獣だけあって、独特の臭みがあるスラッシュジャガー。ケルベロスと違ってどうやっても食えないほど不味くはないのだが、臭いに対する処理をしないと食べるのはつらい。そのうえ、どういう訳か焼いたり揚げたりと違って、煮込むと歯が立たなくなるほど硬くなるため、カレーなどに入れるのも難しい。必然的に、食べる方法は限られてくる。


 因みに、南部大森林中央部における二大肉食獣のもう一方であるブラッディウルフも、扱いとしては大差ない。こちらはどちらかと言うと筋力ブースト系のドーピング薬に使いやすいと言う事で、むしろ食うよりアイテムの材料行きという感じである。食った感じ味の違いがそれほどなかったため、使い分けをすることにしたのだ。


「ボンバーベアが普通に美味しくてよかったよね」


「うん」


「今日は熊肉と旬の根菜のドリアかな?」


「美味しそう」


 アクティブモンスターで熊のくせに草食動物だったボンバーベア。贅沢にもハンターツリーやマンイーターと言った肉食系植物モンスターを主食とし、戦闘時には爆発系のエネルギー弾を吐き出す事もあると言う、この森でもトップクラスに手ごわいモンスターだ。もっとも、動物系モンスターの宿命か、オキサイドサークルであっさり潰されてしまうのは哀れではあるが。


「それで、毛皮とかどうしようか?」


「スラッシュジャガーはレアな白の毛皮だから、マントの材料?」


「誰がそのマントつけるの?」


 春菜の問いに、なにを言っているんだろうこの人は、という視線を向ける澪。


「レイピアで戦うんだったら、マント必須」


「えっ? 私がつけるの?」


「他に誰が?」


「というか、レイピアだとマント必須って、どういう理屈?」


「お約束。王道。世界の選択」


 訳の分からない理屈を突きつけてくる澪を、思わずじっとりとした目で見てしまう春菜。


「春姉、ゲームの時はどんな装備だった?」


「どんなって言っても、武器は名剣スターライトで、防具はとりあえずミラージュセットだったけど……」


 春菜の説明を聞き、なるほどと頷く。名剣スターライトの詳細は知らないが、ミラージュセットについてはかなり高価ではあるが比較的出回っていたものなので、澪も詳細を知っている。というより、鉄板装備の一つなので、多分二年以上ゲームをやっていれば大体の人は詳細を知っているだろう。


 ミラージュセットとは、灼熱砂漠のダンジョン・陽炎の塔のモンスターがドロップする、布系と革系が入り混じったセット装備だ。一連の装備をそろえると特殊な効果が発生する、いわゆるセットボーナスがあるものとしては一番有名な防具であろう。煉獄に比べれば数段難易度が下がるとはいえ、十分上級に分類できるダンジョンのドロップなので、なかなかの性能をしている。


 防具の特徴としては、最初からサイズ自動調整がかかっている物が比較的出やすい事と、下手なローブより魔法防御力が高い事、何より相手の命中に対して結構大きなマイナス補正がつく事が最大のメリットで、物理防御が優先となるタンク以外の幅広い層に愛用されている装備である。また、部分的にハードレザーのパーツが混ざっているにもかかわらず、ハードレザー以上の装備に特有の魔法発動ペナルティが存在しないのも大きい。ファッショナブルなデザインに惚れこんで、もっといい性能の物を持っていてもこれを使っているプレイヤーも少なくない。


 セット装備の効果としては魔法抵抗強化(弱)、出会いがしらの遭遇時における被ターゲット確率20%ダウンに加え、敵が視覚に頼る相手だった場合、相手の命中・回避に視覚に頼る割合に応じて大きなペナルティを与えると言う中衛・後衛にとっては美味しいとしか言えない防具だ。


 ただし、ハードレザーが混ざる割には物理防御力が低い事と、装備自体の耐久力が特殊装備の中では低い方に分類される事、何より煉獄クラスの相手には視覚ペナルティがほぼ効果を発揮しないことから、最前線で暴れている攻略組にとっては趣味装備一歩手前という扱いになっている。実際、単純な物理と魔法防御力だけを見るなら、宏が作ったワイバーンレザーアーマーのフルセットの方が魔法防御力で三割、物理防御力に至っては倍近く高い。


「鉄板装備?」


「鉄板って言うか、魔法を混ぜるスタイル的に、露店とかオークションで手が届く他の装備はちょっと使い勝手が悪かったし」


「なるほど。でも春姉」


「何?」


「結局、マントつけてる」


 澪の指摘に苦笑する春菜。ミラージュセットは一般的にスタイリッシュな騎士や義賊が着る服、というイメージを具体化したようなデザインであるため、当然のようにマントが標準搭載である。幸いなことに羽根帽子とマスカレードはセットに含まれていないが、春菜の外見でその二つまで一緒に身につければ、間違いなく美少女仮面あたりの二つ名をつけられていただろう、というデザインだ。


 因みにゲームでの春菜のアバターは、瞳と髪を茶色に変更したものだが、現実と違って完全に洗濯板と言える体型である。これは別に巨乳にコンプレックスがあったとか乳が大きいと邪魔だからとかそういう理由ではなく、単純に正式サービス開始である中学一年生の四月の段階では、胸が全くなかっただけの事である。その後、現実に合わせて身長は無料サービスで変更をかけたが、体型に関しては面倒だからそのままにしていたのだ。


 正直、春菜本人は自分の胸がでかかろうが小さかろうがどうでもいいと思っている。どちらでも特有の有利不利や便利不便があり、気にするだけ無駄だからである。


「という訳で、師匠に格好いいマントを作ってもらう」


「決定事項?」


「決定事項。多分、マントで相手の武器を絡め取るとかマントの裾で相手の体を切り裂いたりとかできるはず」


「何、その物騒なマント……」


 澪の物騒な台詞に、思わずと言った感じで突っ込みを入れる春菜。宏と組むとボケとボケ、という感じになるが、澪と組むとボケと突っ込みが目まぐるしく入れ替わるのが興味深い。


「それにしても……」


 ズラリと並んだ南部大森林中央部特有の素材食材を見ながら、思わずと言う感じで言葉を漏らす春菜。煮ても焼いても加工しても使い物にならない物から、素材としては使えないが珍品としては売り物になるもの、使い道が多くて逆に悩ましいものまでいろいろあるが、物量だけを見ればとんでもないの一言に尽きる。


「どうしたの、春姉?」


「毎度のことながら、どうして売ったり交換したりって発想より、食べる・何かを作る材料にするって言う発想の方が先に出るんだろうね?」


「今更それ?」


「まあ、確かに今更なんだけどね」


 澪の突っ込みに苦笑するしかない春菜。敵を倒すときにも素材として使えるかどうかと食って美味いかどうかから倒し方を検討するのだから、もはやいろんな意味で手遅れだろう。


「そんなの、そう言う発想をする総大将がいるからに決まってる」


 そう言って、隣の家の方に視線を向ける澪。無論そこでは、ものづくり最優先主義の最先鋭ともいえる宏が、常人が見れば引くようなマッドな事をあれこれやっている。


「それに、売るより素材に回すほうがメリットがあるなら、そっちを意識するのは当然」


「まあ、そうなんだけどね。ただ、もう少しランクを上げたりとかそっちに回してもいいかな、って」


 宏に素材として使わせる方がメリットが大きいとはいえ、結果として討伐証明部位が手に入らないケースもあり、冒険者としてのランクが上がらないという弊害も出てきている。積極的に上げる理由が特にないとはいえ、あまり低すぎると行動に制約がかかる事を考えると、せめて六級ぐらいまでは上げた方がいいのではないかと思わなくもない。


 問題なのは、そのためには今の小銭漁り的な仕事の受け方をやめて、拘束時間が長くて危険度の高い仕事をある程度以上の数こなす必要があることだろう。宏のおかげで基本的に出費が少ないと言っても、今より金銭効率が悪くなるのは避けられない。資金的には凄まじく余裕はあるが、余裕というのはちょっとした事で根こそぎ持って行かれるものである。


「すいませ~ん」


「アルチェムが来た」


「だね」


 色々と悩ましい問題について話し合っていると、丁度空気を変えるようにアルチェムが到着した。彼女には今の時期手に入る農作物で、この村の特産品だと言えるものを出来るだけいろいろ持ってきてもらったのだ。


「ちょっと変な時期なので、あまり種類は無いんですけど……」


「まあ、それはしょうがないよ」


 申し訳なさそうなアルチェムに、時期の問題ばかりはしょうがないと特に気にする様子を見せずに返す春菜。それを聞いてほっと胸をなでおろし、籠の中からいろいろと取り出す。


「この時期だと、バッシュレンコンとパイルポテトですね」


「凄く物騒な名前だけど、モンスター?」


「バッシュレンコンはモンスターですが、パイルポテトは地下茎が杭のように頑丈で鋭いって言うだけで、芋はごく普通に芋です」


 パイルポテトは、硬い岩盤のある土地にも生えて実をつけ、人の背丈を超えるぐらいまで育つ生命力の強い作物である。


「ちょっと待って。その芋って、何処にできるの?」


「芋だから、根っこですけど?」


「もう一つ確認するけど、その芋は多年草? 後、もしかして芋を取っても枯れない?」


「多年草ですし、枯れませんね」


「芋に見えるけど別の植物って事は?」


「間違いなく、芋ですよ。根元に出来ますし」


 そう言って、ジャガイモの類にしか見えない収穫物を見せるアルチェム。根っこに芋ができる癖に、根元を掘り返して芋を取っても枯れないとは、実に不思議な植物だ。流石は異世界である。なお、そんないかつい地下茎を持つ植物の根にできる芋をどうやって採るのかというと、単純に地表を這う根もあるのでそこを掘ればいいだけである。


「なるほど。で、バッシュレンコンって言うのは?」


「泥から掘り出すと空を飛んで逃げようとして、捕まえようとすると物凄く痛い体当たりをしてくるレンコンです」


「……やなレンコン……」


「あの体当たりは痛いですよ、本気で。前に逃がしたのを捕まえようとしたフォレダンさんが、胸板に直撃を食らって五メートル以上吹っ飛ばされてましたから」


「うわあ……」


 重量級のフォレストジャイアントを五メートル吹っ飛ばすとか、それは本当にレンコンなのだろうか? その疑問で、春菜と澪の心が一つになる。


「持ってきてもらってなんだけど、それ大丈夫なの?」


「ちゃんととどめは刺してあるはずなので、大丈夫だと思いますけど……」


「けど?」


「ポメと同じで、たまにちゃんととどめを刺せてなくて、料理しようとしたときに強烈な一撃をもらう事があるんですよね」


「うわあ……」


 聞くんじゃなかった、という顔で呻く春菜と澪。ポメも大概物騒な野菜だが、少なくとも攻撃的ではない。ミスって爆発させた時の被害は多分バッシュレンコンと大差ないだろうが、調理しようとしただけで攻撃される事はない。そう考えると、バッシュレンコンとやらは相当気が荒いらしい。


「で、その実物が……」


「ちょっと待って!」


「はい?」


「多分フラグ立ってるから、戦闘態勢を!」


「春姉、こっちは準備OK!」


 アルチェムの不穏当な説明を聞き、即座に起こりうる事態を想定して準備をする二人。こういう話題があった以上、絶対に一本は生きている。というより、生きている前提で準備をした方が間違いが少ない。


 そんなよく分からない理由で戦闘準備を始めた二人を、たかが食材を取り出すだけだと言うのにという顔で見てしまうアルチェム。それも武器を準備するだけならともかく、春菜は補助魔法でガチガチに強化をし始めたのだ。確かに今は防具を身につけていないので、防御力に不安があるのは分かる。が、バッシュレンコンはそこまで強いモンスターではない。というか、そんなに強いモンスターなら、栽培しようなどとは考えない。


「えっと、出しますね?」


「うん」


「いつでも」


 妙な空気に苦笑しつつ、籠の中からバッシュレンコンを四本取り出す。この時点では大人しかったため、もしかしてフラグは回避できていたのかと微妙に油断し、手近な一本に手を伸ばした次の瞬間。


「わっ!?」


「やっぱり!」


「ちぇい!」


 四本のバッシュレンコンによるオールレンジ攻撃が始まった。微妙に油断してはいたものの完全に警戒を解いていなかった春菜と澪は即座に一本ずつ仕留めたのだが、完全に油断しきっていたアルチェムは反応が遅れ、どうにか運よく最初の襲撃を回避するのが精一杯であった。


「きゃあ!!」


 微妙な角度でターンし、アルチェムのスカートに飛び込むバッシュレンコン。その予想外の動きに驚き、硬直してしまうアルチェム。その一撃でスカートが派手に裂け、天井にぶつかるかどうかというところで澪に輪切りにされて生命活動を止める。


 その隣では、まだまだアルチェムの災難は続いていた。


「あうっ!」


 バッシュレンコン最後の一本の渾身の体当たりが見事に鳩尾あたりに直撃し、そのまま民家の壁を突き破って隣の家屋にまで突っ込んで行ってしまったのだ。もしものために一定量のダメージを軽減するバリアを全員にかけてあったから良かったものの、そうでなければアルチェムは大けがをしていたであろう。それだけの一撃である。


 そして、隣の家屋では宏がマッドな作業をしている訳で……。


「なあ、春菜さん……」


 隣の家屋に飛び込んだ春菜と澪を出迎えたのは、特にこれと言って被害を受けた様子もなく、ただひたすら困惑しているだけの宏であった。


「宏君、大丈夫だった!?」


「まあ、僕自身は特に被害はあらへんかったけど……」


「けど?」


「いっぺん、神様を問い詰めなあかんのちゃうか、って思うんは気のせいか?」


 微妙に意味不明な事を言い出す宏に対し、怪訝な顔を見せる春菜と澪。その顔を見て苦笑しながら、とりあえず見てもらった方が早いと判断したらしく、作業スペースに二人を連れていく宏。


「……これは……」


「……うわぁ……」


「流石に、これはないと思うねん」


「確かに、これはない……」


 宏の言葉に、絶句しながら頷く春菜と澪。彼女達の目の前では、宏が作成途中の謎植物が、マンイーター相手にコブラツイストをかけながら、アルチェムを子供には見せられない感じの縛り方で拘束していた。


「というか、どうしてこうなったの?」


「最初はな、単にアルチェムを確保して適当にぶら下げ取っただけやねんけど……」


「けど?」


「飛んできたレンコン食った途端に、こっちが救助する暇も与えず電光石火の早業であんな感じに縛り上げおってな」


「うわあ……」


 どうやら、あのレンコンはエロレンコンだったらしい。経口摂取する事でそのエロレンコンの性質を受け継いでしまった謎植物が、お約束をやるためにアルチェムを見事に縛り上げたようだ。


「どうしたもんやろうなあ?」


「どうしたもなにも、私達が近寄ったら、ミイラ取りがミイラになるんじゃ……」


「やろうなあ」


「ボク、汚れになる年じゃないと思う」


「相談してないで、助けてください~!」


 微妙に視線をそらしながらのんきに相談する三人に、切実な悲鳴を上げて必死に救助要請をするアルチェム。とりあえず、この謎植物は、マンイーター対策としてそのまま使うという案は没になるのであった。

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