続ー最終話サツキ編 永遠に
青い空、白い雲。気持ちのいい風が吹く庭で、私達は午後のお茶――じゃなくてジュースを楽しんでいた。
うん、やっぱ美味しい。この強烈な炭酸がいいんだよね。自販機があった場所に、早く連れて行ってもらわなきゃ。
私はケーキをフォークで掬ってダンの口元に持っていった。
「あーん」
ダンが大きく口を開けて、それを食べる。もう、本当に甘えん坊なんだから!
「美味しい?」
「うむ、美味い」
一見硬派に見えて実は不器用ってギャップが、きっと乙女心をくすぐるのよね。私の前以外では、もうちょっとピシッとするように調教……じゃなくて教えてあげなくちゃね!
あの父親の息子なんだから、一瞬でも油断しちゃ危険だよ。そうだ、今度ダンママに相談してみようかな。
なんて考えてたら、ドラゴンが飛んできてテーブルの上に乱暴に降り立った。ちょっと! ジュースがこぼれたじゃない、馬鹿ドラゴン!
私はドラゴンの頭を鷲頭掴みにして、ぐいぐいと頭を下げさせる。
動物を飼うときは、最初のしつけが肝心だって、聞いたことがある気がするんだよね。ご近所に迷惑をかけてもいけないし、たとえドラゴン相手でも、毅然とした態度でいなきゃ!
「サツキ」
「ん?」
ダンが、私の手をドラゴンから強引に引きはがして握る。なに? 私の教育方針に何か文句でもあるの?
ちょっぴり眉を寄せる私に、ダンが囁くように言う。
「ずっと、一緒にいたい」
……え? やだ、ダンったら。
「うん。一緒だよ」
もう、可愛いんだから!
永遠の愛を誓い合う私達にすぐ横で、ドラゴンが炎を吐く。
ちょっと熱い! 邪魔しないでよ、馬鹿ドラゴン!
ありがとうございました。