舞台の裏側で
誰が悩んでいても、誰が立ち直っても、世界は変わらず回っている。
人々は思いのままに動き、モンスターは闇の中で跋扈する。
その全てを知覚できるのは、それこそ神たる存在だけだろう。
だから、貴大は知らない。
これから関わろうとする者も。自分を見つめる者ですら。
彼はまだ、知らない。
それは、姫と騎士かもしれない。
「もうすぐグランフェリアね」
「はっ」
「交換留学という名の人質……でも、うまく立ち回れば得られるものは大きい。貴方にも、期待しているわ」
「御意」
それは、穢れなき乙女かもしれない。
「大きな力のぶつかり合い……片方は、特定できました」
「おお、では……!」
「●●様……!」
「機を見て……「聖人認定」に赴きます」
それは、力を渇望する者かもしれない。
『分かる……分かるぞ……!』
『あの日、我を退けたる力! その波動が、体を疼かせる……!』
『待っておれ……待っているがいい、人間!』
『貴様との邂逅は、間もなくだ!』
そして、それは……。
『あ~! 面白かった! でも、レンジさんが負けたのは残念だったなぁ……』
『いや、タカヒロくんもああ見えていい腕だったからね。ある意味、当然の結果じゃないかな? ねえ、■■?』
『ふぇっふぇっふぇっ……私には分かっていたよ。彼が勝つってことぐらいは。何せ……』
『『彼は幸せになるべき存在だから』』
『……だよね?』
『その通り……ふぇっふぇっふぇっ』
この広い世界で人々が出会うことは奇跡だと人は言う。何万、何億分の一の確率での出会いだと。
確かに、人生において出会える人は限られている。歌にもある「友だち百人」ですら、厳密な意味での達成はとても難しい。
それでも、彼の……貴大の周辺に、癖のある人ばかりが集うのは。
「類は友を呼ぶ」。
そういうことなのかもしれない。