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黒姫の魔導書 作者:てんてん

第2章 表と裏は未確定

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第09話 甘くて柔らかいもの

 対セリエナ用作戦の決行から数日後、レネは平和な日々を過ごしていた。セリエナは話の合間に食事会のことをこっそりと広めていたが、予想通りそれによる実質的な被害は皆無であった。それでもセリエナ自身は満足しているので、レネに近寄ることは無かった。もちろん評価が変わっていないことには気が付いていない。

 そういうわけで、レネとエルセリアはいつも通り一緒に食事をしていた。

「それで何か良い案が無いかと思って」

「お店に迷惑をかけたお詫びだよね。黙って利用したことは言わなくて良いと思うよ。うーん、レネなら珍しい料理も知っているだろうから、それを作って持って行くとかは?」

 図書館には食べ物系の書物もある。そこから珍しいものを選べば、料理人なら興味を持って受け取るのではと考えた。店で買えるものなら食べているだろうと判断し、手作りの方向を勧める。

『確かデザートが弱いと言っていたような気がしたな。とりあえず、そっち方面で良さそうな物を探してみるか。持って行き方はまた後で考えよう』

「それじゃあそうしようか。作り方も教えれば喜ぶかなぁ……。リア、相談に乗ってくれてありがとう」

「どういたしまして。頑張ってね」

 お互いに笑い合って和気藹々とした雰囲気で食事を続ける。

「ところで、あれはその後どんな感じなの?」

 レネは小声で聞き、周囲を軽く見回した。あれとはセリエナのことである。名前を呼んで万が一耳に入った場合、またもや厄介事がやってくるのを厭ってぼかしているのだ。エルセリアはそれを聞いて軽く笑みを浮かべた。打ち合わせをしたわけでは無いのにあれで通じるのだから大したものである。

「うーん、足場固めをしているかな? さりげなく自分の凄さを周囲に話しているよ。後は実力さえ示せば大丈夫なんじゃないかな」

「それで良いの? また変なことにならないかな」

 被害が及ばなければどんなことをしていようが構わないが、気に入らないからと集団でいじめられては堪らないとレネは顔を曇らした。それを聞いたエルセリアは小さく笑い、杜人は呆れたように声を出した。

『学院に恐怖を振りまいたレネに喧嘩を売れるような馬鹿が居るなら、前のようにもう来ていてもおかしくないだろう。それにたとえ陰でこそこそ動いても、耳に入ればお終いと思ってしまうような噂が流れたのを忘れたのか? 少しは自分の立ち位置を自覚したほうが良いと思うぞ』

「うぐっ、そ、そんなことは……」

「あるよねぇ。まだ目を合わせて話せる人は居ないでしょ? だからしばらくは大丈夫だと思うよ。それに長くは続かないから心配する必要もないよ」

 にこにことエルセリアは酷いことをのたまうが、本人に悪意は一切ない。そのためレネは事実を再認識してがっくりと肩を落とした。

『長く続かないとはどういうことだ? 情報操作はなかなか上手だと思ったのだが』

 落ち込むレネを放置して杜人はエルセリアに尋ねる。今回はうまくいったが、正面からぶつかりたいとは思わない程度に言葉遊びを習得していると感じていた。そんな人物がそう簡単に失敗するとは思えない。

 エルセリアはいつも通り微笑んだまま、それに答える。

「それとは無関係のところで躓くからですよ。元の学校と違って、この学院では実家の権力は通用しないので、後で何かあって誤魔化そうとしても無理なんです。だから、駄目なところは駄目とはっきり出てくることになります。……フィーレ魔法学院上級魔法使いの認定はそんなに甘いものではありませんから、怠けていたりすると身分に関係なく簡単に落とされますよ」

 最後の声には思わず背筋に冷や汗が出て来そうな響きがあった。そのためレネと杜人は思わず背筋を伸ばして居住まいを正してしまった。

『そ、それなら安心だな。ははは……』

「そ、そうだね。あはは……」

「ふふっ、変なの」

 今のエルセリアはいつも通りに戻っている。しかしレネと杜人は引きつり気味の笑みを浮かべたままだった。優しく見えるエルセリアも、やはり大貴族の一員なのだと認識するには十分な一声だった。

『ごほん、もう大丈夫ということは分かったからあれについては忘れよう』

「賛成!」

「それじゃあ、別の話をしよっか」

 杜人が強引に話題を打ちきり、レネも笑顔で賛成した。こうして危険な話題はそれ以上触れられること無く消えたのであった。





 日課の迷宮巡りを終えたレネはジンレイの屋敷にて風呂に入り、汗を流してから新たに創り出した広い台所に入った。ここなら材料が無くてもジンレイが材料を作れるので、試行錯誤でお金が無くなる心配をしなくて済むのだ。

「お菓子となりますと、作れるものはこんなところでしょうか」

「わぁ……」

 ジンレイはテーブルに現在作れる菓子を魔力で創り出し並べる。それをレネは物欲しそうに凝視していた。

『レネ、よだれが出かけているぞ』

 その声に我に返ったレネは、顔を真っ赤にしてはみ出しかけていたものを拭う。そして深呼吸をして何事も無かったかのようにすまし顔になった。そしてによによと笑う杜人には無言で指を弾く。今回は何もしなかったのですり抜けるだけだが、もはや安全ではないと知っている杜人にとっては十分な警告となった。そのため身体をのけ反らせて一瞬硬直した杜人は、追撃することなく話題を進めた。

『おほん、始めようか。……見ると焼き菓子が多いな。クリーム系は少ないのか?』

「レシピは料理人の秘伝なので、なかなか外には出回りません。専門の職人が居るくらいですから、かなり奥は深いです。これらは広く出回っているものですね」

 出ている菓子はクッキーのような生地を固めに焼いたものや、ケーキのスポンジのようなもの、それにクリームを合わせたものなどが出ているが、杜人の記憶にあるような細工物や複数の材料を組み合わせたものはあまり無かった。

『ということは、専門の職人以外はこれ以上作れないから、みやげはこれ以外で考えれば良いということだな。レネは何か思いつくものがあるか? できれば材料は普通に売られているものが良いのだが』

「そうだね……。昔の本には果物を使ったものが多いかな。やっぱり秘伝と言うだけあって、物語に作り方は乗っていないや」

 レネは読んだ本を検索するが、珍しいお菓子の情報はなかなか見つからなかった。あってもよく分からないものばかりで、作る参考にもならない。

『そんなものか。なら、レネはどんなお菓子を食べてみたいか言ってみてくれ。食感や味わい程度で良いぞ。俺も多少作り方を知っているから考えてみよう』

 杜人は話題作りの一環でお菓子作りをしたことがある。そのため作らなかったものもそれなりに憶えていた。そういうことで、レネの好みを聞いて久しぶりに作って見ようと単純に考えたのだ。

 レネは小首を傾げて食べたことの無いお菓子を想像して微笑む。その実に楽しそうな様子に、杜人は期待値が恐ろしく上昇しているような気がして背中に冷や汗を感じた。

「あのね、甘くて、柔らかくて、口に入れるととろけるようなものが良い!」

 結局レネはこの間食べたクリーム入りのデザートと苺のショートケーキを思い浮かべた。固いお菓子が普通だったレネにとっては、クリームの食感はとてもおいしいと感じるものである。

 杜人はといえば、意外に難しい要求に苦笑していた。

『容赦ないな。……とろけるかは分からないが、甘くて柔らかいのは大丈夫だ。ジンレイ、材料と作り方を教えるから作ってくれ』

「かしこまりました」

「えへへ、楽しみ」

 作るお菓子の条件は、一般に出回っておらず、材料が容易に入手でき、大規模なものや高価な専用調理器具が不要なことだ。そうなると焼き菓子系はほぼ除外されるので、それ以外ということになる。

『簡単だからどこかで作っているだろうが、今のところ身近に見当たらないから良いだろう。材料は砂糖と水、乳と卵だ。器は小さいコップ程度で、口のほうを大きくしてつるつるに作ってくれ』

 分量も伝えるとテーブルにはいつの間にか材料と容器が出現していた。

『まずは砂糖と水を少々加えて揺すりながら加熱する。少し色がついたら更に砂糖を加えて混ぜる。茶色くなったら少し熱湯を入れて軽く混ぜて、器に少し入れてくれ』

「分かりました」

『もうひとつは乳と砂糖を入れて、泡が立つ程度に温める。ボウルに卵を入れ、泡立たないように丁寧に溶いていく。できたらボウルに温めた乳を少しずつ入れ、静かに混ぜる。そしてそれを漉して余計なものを取り除く。その時できる細かい泡は取り除いてくれ。それを器に入れる』

「ふむふむ」

 レネも話を聞いて完成品を思い描きながら頷くが、杜人はとりあえず放置した。

『最後は大きめの容器にぬるめのお湯を張り、器をそこに入れる。それを焼き釜に入れて焼き、焼きあがったら粗熱を取って冷やせば出来上がりだ』

 杜人が説明したものは、簡単なプリンの作成方法である。これなら一応条件は満たしている。問題は、作ってみないと微妙な加減が分からないことだ。こればかりは試行錯誤してみるしかない。

「意外に加減が難しそうですな。何度か試してみましょう」

「おいしそう……」

『こらレネ、呆けていないできちんと参加しろ』

 説明だけで幸せそうなレネも引きこみ、杜人とジンレイはさっそく試作に取り掛かった。まずはカラメル作りからである。

『まだ足りないな』

「ではもう少し時間を見ますか」

「煙は出て良いの?」









『駄目だ。そっちは焦がし過ぎだ』

 火加減が難しいのでちょうど良い加減になかなかならず、何度も失敗する。

「ここでお湯を……」

『ああ、跳ねるから気をつけろよ』

「きゅわぁ! 遅いよ!!」

「何かかぶせましょうか……」

 こうして悪戦苦闘しながらも、それなりのものが出来上がった。

「苦いよ。どうして甘い砂糖をわざわざ苦くするの?」

『ふっ、この味が分からないようではまだまだ子供よのう。何でも子供が苦味を嫌うのは、苦味を毒と判断する本能が勝っているからだそうだ。大人になれば学習して味わえるようになるそうだぞ?』

 格好をつけて笑う杜人をレネはうぐぐと悔しそうに睨みつける。にわか知識なので合っているかは知らないが、からかう用途には十分だった。

「この僅かな苦味が甘みを引き立てるのでしょう。飽きさせない効果もあると思いますので、嫌わずに居てください」

 ジンレイは微笑みながら用途を推測して話す。それを聞いたレネは機嫌を直して頷いている。

「そうなんだ。……どうしてこう言えないのかなぁ」

『真面目にしたら、レネをからかって遊べないじゃないか!』

 レネは素早く指を弾いたが、予測していた杜人は半身を回転させて華麗に避ける。

「……」
『……』

「次、行きましょうか」

 レネと杜人の無言の攻防を放置し、ジンレイは次の準備に取り掛かっていた。次のプリン本体は静かに行えば失敗は無いため、分量を変えた物を何種類か作るつもりでいた。

 ジンレイの準備が終わったところでレネと杜人はじゃれあいをやめ、特に気にすることなく作業に取り掛かる。この辺りの考え方はよく似ている二人であった。

「これ、急いでかき混ぜて泡が立ったらどうなるの?」

『確か食感が悪くなるはずだ。うまくいけば滑らかな舌触りになるのだが、失敗するとざらつくらしい』

 それは一大事とレネは慎重にボウルの中身を混ぜ合わせる。慎重すぎてなかなか混ざらない様子に杜人はにやりと笑いながらからかう。

『ちなみに混ざらなすぎても食感が悪くなるはずだ』

「うぅ?」

 ぴたりと手を止めて、どうすれば良いのとレネは目線で訴える。そんなレネに杜人は鼻高々に教え、レネも好物を作っているので素直に言うことを聞いていた。

「さて、こちらは少し砂糖を多めにしてみましょうか……」

 そんな二人を温かく放置しながらジンレイは着々と種類を作っていく。楽しんでいるところに無粋な口を挟むほど野暮ではないのだ。

 そんなこんながありながら準備は終わり、後は焼くだけになった。

『確か火力はそんなに大きくなくて良かったと思う。固まったところで完成だから、今回は都度確認していく。温度と時間はきちんと計っていてくれ』

「分かりました」

「うふふ、もう少しだね」

 時間ごとの確認は材料費がかからないからできる荒業である。レネは瞳を輝かせて焼き釜の前に陣取っている。普段なら良いのだが、実験中の今はとても邪魔であった。かといってそれを直接言うのは気分を害する恐れがあるため、杜人はどかすためにひとひねりを加えた。

『ところでレネ、失敗作も食べて感激を薄れさせたほうが良いか、それとも成功したものを食べて感激に涙したほうが良いか、好きなほうを選んで良いぞ。感激したいのなら、楽しみを倍増させるために隣の部屋で待っていてくれ』

「……隣で待ってる」

 しばらく笑顔のまま固まって考えたレネだったが、やがて結論を出してしょんぼりと隣の部屋へ移動していった。

「お上手ですね」

『いい加減慣れた。さて、順番に試していこうか』

 杜人は期待に胸を膨らませているレネに対して普通に言っても聞かないだろうから、わざと判断が偏る言い方で質問していた。悪い連想をするほうを先に言い、良い連想をするほうを後に言った。これによって後者が強調され、自然とレネは待つほうを選んだのだ。これなら選んだのはレネなので、後で不満が出ることもない。

 焼き釜の前が空いたところで、時間を見ながら取り出していく。

『これはまだ固まっていないな』

 取り出した容器に串を刺して液体が出てくる様子を確認する。

「これは良さそうです」

 次に出したものは良かったので更に時間を細かくしながら取り出して粗熱を取っておいた。

『ここまで来ると焼き過ぎだ。こうなるとおいしくない。一応後で食べてみてくれ』

 最後は中にすが入ってしまっていた。これも見本として置いておく。後は冷やせば完成である。今回は時間短縮のためにレネに頼んで強制的に冷やすつもりであった。きっと溢れる情熱で最適な魔法を作ると確信している。

 そのため焼きあがったプリンを持っていくと、レネは食い入るように容器を見つめて満面の笑みを浮かべていた。

『まだだぞ。ここから冷やして完成だ。というわけで上手に冷やしてくれ。凍らせては駄目だぞ。まあ、無理なら普通に冷やすからもっと待つことになるな』

「少し待って。……こんな感じかな。吸熱」

 レネは迷わず考え始め、そんなに時間が経っていないのに新しく術式を組み上げて魔法陣を構築し発動させた。その流れは一切滞ること無く進められている。

『相変わらず無茶苦茶だな。だが良さそうな魔法だな』

「一応褒められたと思っておくよ。単純に領域内の熱を奪って大気に放出しているだけだから、消費魔力もそんなに要らないんだ。でも冷蔵庫で冷やすより早く冷えるはずだよ」

『単純で機能的なものは意外と難しいものだ。さすがレネ、将来の大賢者!』

「そ、それほどでも……あるかな?」

 魔法具の中には魔力が豊富な魔法使いのみが使える専用品と、それ以外の人も使える一般品がある。星天の杖は専用品で、冷蔵庫は一般品である。

 どちらにしても魔法具は高価なので大々的に普及しているわけではないが、生活用品は大量に需要があることもあり売り手のほうも専用品よりは安価で販売している。そのため冷蔵庫はちょっとした料理店には必ずある魔法具である。

 恥ずかしそうに答えるレネを杜人は太鼓もちのように再度褒め、レネは嬉しそうにはにかむと指をくるくると絡ませながら顔を俯けた。

 その間にジンレイは皿とスプーンを用意してテーブルに置いていた。そして十分冷えたところで、まずは確認のための試食に入った。ジンレイは細い串を器の側面に挿して空気を入れると、上に皿を乗せてひっくり返す。器を静かに持ち上げると、そこにはつるりと輝く表面を晒しながら震える黄色い塊が鎮座していた。

「おいしそう……」

『まだ駄目だ。確認してからな』

 よだれを垂らしそうな顔になっているレネにおあずけをさせながら、ジンレイは次々と同じように器から取り出していった。そして食い入るように見つめるレネに気付かない振りをしながら、順番に素早く試食していく。

『どうだ』

「この辺りですね。他はまだ早かったり、食感が悪くなっていたりしました。食感と味のバランスが良いのはこれです。それではこれでレネ様用のものを作ります」

 ジンレイがぱちりと指を鳴らすと、レネが座る前に皿に盛り付けられたプリンが現れた。ジンレイは一度憶えれば屋敷内限定で完成品を瞬時に生み出すことができるのだ。

「おおぉー……う?」

 レネは喜んで食べようとしたところで、念のため杜人に食べて良いか視線で問う。そんなところは律儀なレネに杜人は苦笑しながら頷いた。

『食べて良いぞ。おかわりも好きにして良い。存分に堪能してくれ』

「わぁい」

 喜んだレネはスプーンを静かに差し込んでゆっくりと口に入れた。一瞬後にうっとりとした目になり、次に目を輝かせると次々に掬い取って食べていった。

 ジンレイは無くなる都度プリンを作成し、結局レネが満足するまで十個ほど必要だと新しい発見があった。本来は食べすぎだが、大成功ということだけは分かったから杜人は良しとした。それにジンレイが作ったものを食べても栄養にならないからいくら食べても問題ないのだ。

『それではこれのレシピと実物の作成を頼む。レネは保冷用にさっきの魔法を魔法具化するように。満足するまで食べたのだから、張り切って作ってくれるよな?』

「ええー! 聞いてないよそんなこと。ううっ、封入用に調整しなくちゃ駄目なのに」

 杜人が笑顔で魔石を取り出すと、レネは唸りながら術式を調整して魔石に術式を封入していった。

「はいこれ。魔石の質がいまいちだから固定化はしていないよ。だから長く持たないけれど良いよね? 発動してから半日くらいだけど」

『良いぞ。半日も持てば渡すまでは大丈夫だろう』

 レネが使った魔法具の作成方法は魔石内部の魔力の流れに干渉して術式を内側に書き込む方法である。特殊な機材や加工が不要だが腕前だけは必要だ。そして魔石の質が悪いために発動後は術式の構成が崩れるので一度きりの使い捨てとなる。これは氷で作った水路に熱湯を入れるようなものだからだ。

 再使用できるきちんとした道具として使いたい場合は、もっと材料を吟味して加工を施し術式を固定化する必要がある。しかし、今回はそこまで求めていないのでこの程度で十分なのだ。

『これで準備は良いな。もっと食べても良いぞ?』

「わぁい」

 喜んだレネはさっそく席に陣取ってにこにこと出てくるのを待ち構えている。

『いや、冗談だったのだがな……。すまん』

「いえいえ、大丈夫ですよ」

 頬をかきながら杜人は苦笑し、ジンレイは気にすることなく同じようにプリンを出していった。

 そして結局、レネが満足するまで更に二十個ほど必要だと判明し、記録がその日のうちに更新されたのだった。
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