第143話R √1-17 ※独占禁止法は適応されませんでした。 <ここまで修正版>
R版差し替え済み
どうも、ユイです!
ひょんなことからお節介焼くことにしました!
個人的な趣味として可愛い女の子のプロフィールやらを集めたりするアタシ。
そうしていると、というか。
その過程でその女の子の望むこと、願うことがある程度”察せたり”する。
まぁそれには意中の相手的なものも含むわけで……。
よりにもよってというか、今回の場合は身近だった。
超よりにもよってアタシの悪友の男子との間に、一人が行動を起こしつつあったり、一人の女子の心境に変化があったりとその男子両手に花状態! になっていたりする。
……まぁそんな二股的なことにはならないから、アタシとしては割と苦悩しているわけで。
それに加えてアタシは別に中立じゃない、親しい間柄の方を優先するのも仕方のないことだと思う、人間だもの。
そしてそもそもが彼女が彼のことを意識こそしなくとも、ずっとずっと気にかけていたのは知っていたわけで。
だからこそ、アタシはユキを応援してたし、今後もする。
基本的にあまり人間関係に口出しはしない方針の自分としては意外中の意外だったりする。
今回のことは男子高校生ユウジを取り巻く、幼馴染の美少女ユキとユウジに憧れていたというミステリアス美少女の姫城マイさんとの関係のはなし。
アタシの推しているユキが幼馴染のポテンシャルを生かしてユウジと恋愛関係になろうと努力していたかというと、たぶんしていなかったのだろう。
そもそもがこれまでは”身近な男の子”止まりだった可能性もあり、皮肉にもユウジへの新たな美少女こと姫城さん接近によって気持ちに気づかされた可能性大である。
そんなユウジにアプローチをかける姫城さんが悪い子なわけではない、ちょっと傍目からもヤンデレ気質こそあったかもしれないがいい子だと思う。
だから贔屓さえしなければ、姫城さんが頑張った結果ユウジが惹かれているので、それでいいはずなのだ。
でも私は贔屓をする、いわば身内贔屓をする。
明らかに出遅れているし、自覚も多分全部というわけではない、それでも……私はユキはユウジと結ばれてほしい。
姫城さんには悪いけども、このままユキを失恋させたくない。
もしかしたらこのタイミングで手遅れだったとしても、アタシはユウジにユキの気持ちもわかってほしい。
これはアタシの自分勝手で自己満足で、偽善のようでいた単なる利己的なだけのこと。
それでもアタシは自分に目がないからこそ、行動を起こすのだ……最後に本音が漏れた。
ダメだなアタシは。
* *
アタシは恋愛方面的にユキの背中を押したあと、揃って勉強会を行っている居間に戻ってくる。
前のポジションに戻って座るのだが、傍目から見てもユキがユウジを意識している……くぅ、甘酸っぱい!
ただ今のところはユキに恋心的なものを自覚させただけ、次はユウジに考えてもらう番だ。
タイミングを見計らって、少し時間が経ってから――
「なぁユウジ、ちょっといいかえ?」
「ん? なんだ?」
「話があるんだZE!」
「……ここじゃダメなのか?」
そ、そうくるよなぁ~!
「ここでは話せないようなドエロいことだぞ」
「……勉強会してる時にする話か?」
ごもっとも!
ただここは勢いで押し切る!
「こまけーこたあいいんだよ! あ、ちょっとユウジ借りていきます」
「えっと、はい……?」
姫城さんに一応の了解を取ってからユウジを拝借、アタシの部屋に連れ込んだ。
「……そんな大事な話か?」
「大事だよ」
ユウジの前だがアタシも少しは真面目にする、らしくないとは思うけど。
「なぁ、ユウジ。ユウジはユキと姫城さん、どっちにするんだ?」
回りくどいことを言ってもしょうがないので直球勝負を仕掛ける。
すると――
「な、なんのことだよ?」
「とぼけても無駄だぜ? ネタは上がってるんだ!」
「……黙秘権を行使しても」
「ここに司法はありません」
「理不尽!」
お、おっといつもの調子で掛け合いっぽくなってしまった。
正直こういうのは楽しいけど、今はそうじゃない……。
「真面目な話、どっちも気になってるだろ?」
ちょっとカマをかけてみる。
「……まあ」
やっぱり、という感想だった。
ユウジ自体は前からユキのことを嫌いじゃない、それどころか好意の類はあったはず。
しかし最近は姫城さんのアプローチによって、気持ちが揺れ動いているのはわかる。
だからアタシとしてはこのまま姫城さんに傾き続けることは阻止したい。
「バレてた……か」
「わかりやすかったぞ」
「えー……マジかー」
むしろ誰もツッコミを入れないのが不思議なくらいだった、それぞれの非公式ファンクラブも都合よく黙っていてむしろ不気味。
これがお話ならばストーリー上の都合としか思えないほどにね!
「で、ユウジ氏は本命はどっちですかな」
「それは……」
まぁ、今のところ確定はしてないんだろうなと。
そう、アタシとしてはここでユキを推し押しして、念願のユウジユキカプになってほしいわけで――
でも、それってアタシの都合なんだよな。
どこか勝手にアタシをユキに重ねているところがあったかもしれなくて、それを再度自覚すると頭が冷える。
そこで少しだけ冷静になって、そしてアタシはあくまでも第一にユウジの悪友というか友人であることを思い出す。
もし、本当にユウジのことを考えるならば。
「たぶん二人ともユウジのこと好きじゃん」
ごめん、ユキ。
ユキを応援したいけど、姫城さんを応援したくないわけじゃない、そして一番はユウジに一人の友達として――幸せになってほしい。
だからここで、アタシは中立を取った。
「えっ」
「”えっ”はないでそ。それともユウジはお二方がお嫌いですかな」
「そんなわけない!」
それを聞いて安堵する自分と、少しだけ悲しくなる自分がいた……今更だけど。
「で、ユウジはこのまま二度目か、それともマジ告白を待ってるの? 本気で?」
「そ、それは……」
アタシとしては少し理解もしているつもりだった。
ユウジがかつて悲しい失恋を経験したこと、もっともそれはアタシと仲良くなる前のことだったけども。
だからいくら好意を向けられても自信が持てないのかもしれない、たぶんそうなのだろう。
「ユウジさ、傍目から見てるとこれ優柔不断の二股疑惑なんだよ」
「は……っ!?」
「二人ともこんな距離近いのに、どっちも付き合ってないってのはさ……どうかと思う」
「そんなつもりじゃ……」
そんなつもりじゃないのは知ってるよ、アタシはずっと近くで見てきたんだから。
そもそもの前提に「実は親しくしてくれるだけで、友達としてで恋愛ではないのかも」とか思ってるのかもしれないし、言い聞かせてるのかもしれない。
でもそれはさ――
「二人を待たせるだけ待たして、結果的に傷つけるだけなんだよ」
「っ……!」
「だからアタシから、一応友人だと思っているアタシからの忠告だ」
あーあ、ユキ全推しの予定だったのにな。
最終的にはユウジがどう思うか、ユウジの気持ちを考えてしまった。
ここで二人を平等に推すことの意味を、それがもたらすことをアタシは薄々感づいてしまっている。
「ユキか姫城さんか、覚悟をきめろ」
ユキとユウジの背中だけ押してれば、違う未来があったのだろうか。
…………今更だなあ。
「そうだな……ユイの言う通りだ、少し考えてみる」
「おう! ちゃんと考えてのなるはやをオススメだぜい!」
いつもの調子に強引に戻してみる、違和感とかないだろうか。
「こう、なんだ……真剣に考えてくれてありがとうな、ユイ」
「っ……! お、おうよ!」
こうしてひとまずアタシの役目は終わったのかな。
二人の背中は押したし、あとはユウジの選択を見守るだけのことだ。