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その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
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「まずはここを薄くセメントっぽい物でコーティングをして、湯船は玉砂利を埋め込んで敷きます。ここ一面は薄く傾斜をつけて一箇所に湯が流れるようにして、そこでお湯が消えるように考えています。間仕切りは後で木の板で衝立でも作ろうかなと」
「良い考えなのじゃ、ところでセメントってなんじゃ?」
「土が水に濡れても固さが変わらない白っぽい石のような材質です、ただ成分とかは分からなくて・・・今まで削った石から出たこの粉と土を混ぜて薄くコーティング出来ないかなと考えています」
「多分それで良いと思うのじゃ。土の魔力を加えて定着化すれば石のような硬さと、万が一に転んだ時に怪我をしないくらいのクッションくらいにはなるのじゃ」

「傾斜の方は湯の消し方を考えてからつけようと思うのですが・・・」
「あら、随分と簡単な事で悩んでいるのね」
「え?でも、どうやったら何もせずにお湯が消えるか分からなくて」
「あなたはもうそういう魔法使えるはずよ」
「いやいやいや、自分が使える魔法で物が消えるなんて・・・もしかして、トンネル?」
水の精霊さまは正解とにっこり頷いた。

基本的な操作は紫水晶を使って管理できるらしい。
お湯が出る装置となくなる装置を一元管理すれば良いと言っていた。
そしてトンネルの魔法の説明に入る、この世界のトンネル魔法で魔力によって削られた土は一旦精霊界に送られる。そしてこの世界のどこかにゆっくりと還元されていくようだ。

「一回見本を見せるわね、ここのお湯使うわよ」
水の精霊はその場でくるりと廻るとドレナージと唱えた、すると小さな渦が発生し排水されていく。
「これ凄いですね、ちょっとやってみます」
「じゃあ、ここの水は私が出してあげるわ」
「ありがとうございます」

湯船に貯まった水に向かい、さっきの魔力の流れをトレースするイメージを作る。
「一箇所穴を開けて、魔力で方向性を示してあげるだけよ」
「はい、ではやってみます」
初めてやる作業なので、ガレリアから贈られた片手で持てる杖を取り出した。
「ほう、良いものじゃ」おじいちゃんが呟く。

湯船の底を把握しピンポン玉くらいの穴を想像する。そこに向かい斜め方向に吸い込む流れを想像し、ちょっとだけ魔力を流した。
静かだった水面の中央が薄く沈む、すると次第に大きな渦になって排水していった。

《New:スペル ドレナージを覚えました》
《New:水属性魔法のレベルが上がりました》

「合格ね、次の課題は何かしら」
「はい、まずは今までの作業を完成させてみますね」

敷地内の範囲を感知すると、薄く傾斜がかかるように魔力で削り地面を固めていく。
これは水平を測る装置でも使わないと分からないくらいだと思う。
そして流れ落ちる地点に半径30cm深さ50cmくらいの穴を作り、そこに流れ込むように各所にトンネルを使って溝を掘り込んだ。

収納から今まで削った石や岩の削り滓を取り出す。
「これはやったことが無いから私達が手伝うわ」
「頑張るのじゃ」
「はい、お願いします」

エナジーボールの中に削り滓を入れる、すると水の精霊さまが水を流し込んで回転させた。
おじいちゃんが調整しながら土や砂を入れていくと、白っぽい液状の魔力物質が生成された。
そのまま地面にゆっくり下ろしていくと、同心円状に薄く広がっていく。
予め魔力で範囲を把握していたのでそれ以上は広がらない位置で留まる。
自分の真下にも同じ厚さで敷かれたようで安心した。

「後はきっかけを与えれば固まるのじゃ」
「はい、では玉砂利を適当に撒いてみますね」
日帰り温泉にあるようなイメージで等間隔に玉砂利を撒くと足元が固まっていった。

「おーい、リュージいるかー?」ゲイツさんがやってきたようだ。
荷馬車でやってきたようで、3名の騎士達も資材と共にやってきた。

「おう、久しぶりだな。どうだ王都の暮らしは」
「はい、皆さんによくしていただいています」
「おいおいおい。ここ、こんなだったか?」

ヘルツを筆頭に荷馬車を横付けして資材を見せてきた。
入っていたのは板材・材木・竹・工具他だった。
まずは完成予想図をみんなに説明する。
今現在必要な物は給水と排水をする設備・男女を分ける衝立・簀子・桶・椅子・湯船の淵に設置する木材だった。

騎士さん達は早速、材木を計り湯船に腰掛けられるように設置を始めている。
ゲイツさんにこういう形でとお願いして竹を加工してもらった。
一個は1mくらの上下に切った竹だった。中の節は貫通していないのでどうしようかと考えていたら、緑の精霊が手伝ってくれた。
筒状になった竹を排水の穴にもっていくと、中心地点で徐に刺してみる。
上部にV字の切込みを入れると紫水晶を真ん中に魔力を流しながら埋め込む。
上部から少し熱めの湯が出るように、下部から排水が出来るように魔法をかけて紫水晶に紐付けする。

トクトクトクと溢れ出るお湯が、下部の穴に少し溜まったかと思うと知らぬ間に消えていく。
「おうリュージ、そんなすぐに出来やしねぇぞ。とりあえずそれ止めてくれや」
「あ、すいません。ゲイツさん、ここにある資材で出来そうですか?」
「ああ、多分いけると思うぞ。桶はばあさんの所にあるだろう、椅子は他所で買った方が早いかもな」
「足りないものは村長達が準備してくれるらしいですね」
「ああ、今回の代行さんは優秀だからな」

「リュージ君、ちょっとこっち見てもらえるかい?」騎士の一人が呼んできたので確認に行く。
素足で歩いてても問題なく、滑りやすいということもない。
「どうだリュージ、良い材木だろう。ぴったりはまったみたいだぜ」
「ヘルツさんありがとうございます、これって腰掛ける場所なんですけど痛くはないですか?」
「うーん、どうだろうな。まあ、念入りにヤスリで削っとくわ」

夕方まで作業すると「二日くらい貰えれば完成させとくよ」と言っていた。
皆頑張ってくれたようで、自分がいるうちにこの施設は出来そうな感じだった。
後々着替え場所が出来て、番台とロッカーと籠があれば良いだろう。
この辺は領主代行と村長に報告しておけば良いと思う。

帰る時に宿屋まで送るとは言われたけど、ちょっと作業してから戻ると伝えると皆は帰っていった。
「大体やりたい事は出来たのじゃ?」
「はい、こちらの皆さんに協力してもらえたので」
「あら、それは良かったわね。でも、坊やが拗ねてるわよ」
「え・・・」
「僕だけ何もやってない・・・」

慌てて考えてみると「男湯と女湯を分ける仕切りが欲しいなぁ」と言ってみる。
「あ、それ僕がやるー」
緑の精霊さまは背中に背負っている弓を構えると、男湯と女湯を分ける場所に立っている樹に向かって矢を放つ。
矢の後ろに緑色の魔力糸がうっすら見えたかと思うと、もう一本反対側に矢を放った。
緑の精霊さまが弓を掲げると魔力糸が蔦になっていく、するとそこを中心に複雑に蔦が編みこまれていく。

「茨の壁の魔法だよ、近寄る不届きものは怪我するから気をつけてね」
「あ・・・はい、ありがとうございます」
「坊や、良かったわね」
「うん、僕も役に立てた。それでね、お願いしたい事があるんだ」
「はい、出来る事ならいいですよ」
「僕ね、見ちゃったんだ。あの酸っぱいワインから出来た白いの、あれが欲しいなぁ」
「明日も来るので明日でもいいですか?材料とか確認しますので」
「うん、もう遅いしね。待ってるからお願いね」

精霊さま達と別れると宿屋に帰っていく。
食事を取りまたもや宴会モードに突入していく、もう風呂の話題が出ているようで結構期待されているようだ。
隙を見て調理場へ抜け出し、大将から材料などを色々融通してもらった。
魔道具のハンドミキサーを取り出すと卵・ワインビネガー・オリーブオイル・塩でマヨネーズを作ってみる。

マヨネーズを作ると勿論味見が始まる。
すると主役がこんな所で何をしているんだと連行されそうになるので、マヨネーズを差し出して大将に目で助けを訴えた。追加のツマミでパンにマヨネーズを塗って軽く炙る大将、ハムやソーセージの付け合せにある野菜にもマヨネーズをかけると酒が加速する。
結局今あるマヨネーズは大将に全部渡して、朝作り直すはめになってしまった。


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