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その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
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075:サラとルーシーの魔法訓練

大将にお願いして調理場を借り、朝から大量のマヨネーズを作っていると、ヘルツさんを始め騎士達が資材を確認して昨日の温泉場へ向かっていった。
出掛ける時に「まだ時間かかるから、ゆっくりしてから来てくれれば良い」と言っていた。
折角なのでマヨネーズ以外で精霊さま達に渡すものを考えることにする。

収納をがさごそしてるといくつかピンと来るものに当たる。
まずは今出来たマヨネーズにオリーブオイルが入った瓶とケチャップを並べる。
バスケットいっぱいのパンに野菜各種を取り出した所でこちらを呼ぶ声が聞こえてきた。

「おはようございまーす、リュージさんいますかー」シスターと孤児院の何人かが来たようだった。
どうやら昨日のクルックのお世話を孤児院で引き受けるらしく、今日は年長のアランとシスターが付き添いをするらしい。
サラとルーシーはマザーから自分の手伝いをするように言われたらしく、「お兄ちゃん何をすればいいの?」と聞いてくる。
今聞いたばかりで何も準備していないので、とりあえず皆でクルックを見に行くことにした。

皆で昨日の場所に行くと、建物の扉は開けっ放しにされていたがクルックは中でぬくぬくしていた。
アランは隣の小屋から水桶を取り出して、子供達に水の準備をするように伝える。
「いいか、よく聞くんだぞ。クルックは気性が激しい・・・って言ってもわからないか。要はおこりんぼってことだ、だから怒っている時は少し離れて落ち着くまで様子をみるんだぞ」
「「「「はーい」」」」
「アラン、まずは見本をみせてあげて」
「わかってるよ、アンジェラ。そのうち卵を取らないといけなくなるからね」

水のみ場所に水を足すと飼料を持ったアランが軽く一握り大きく広がるように撒く。
一斉にアランを見るクルック、するとアランはゆっくり表に出て細く長く飼料をこぼしていく。
啄ばみながら外に出てくるクルックを皆がじっと見つめると、次第に『お前押しただろ』とか『お前それ俺の食料だ』とクルック同士が威嚇を始める。
「まあ、これが普通だから皆慣れておくようにな」
「「「「う・・・うん」」」」
「この隙に卵を取りにいくのが普通なんだ、今日は取らなくて良いから中の掃除をするぞー」
「「「「はーい」」」」

下の子二人は一生懸命に掃除をしてくれて無事今日の仕事は覚えられたようだ。
サラとルーシーはクルックの見張りを頑張っていた。
シスターと一緒に見守っていたけど、特に問題もなさそうなので世間話をしていた。

「リュージさん、マザーと話合ったのですが私は来年この村を出ることにしました」
「そうですか、もう何をするか決めたのですか?」
「はい、やっぱり今やっている仕事を続けたいと思います。あと魔法の勉強をして協会の仕事も頑張りたいと思います」
「では王都に一度来るといいですね」
「はい、マザーも推薦状を書いてくれるそうです。それまでは子供達の独り立ちも兼ねて協会の仕事を集中的にする予定です」

一年先ならまだ王都にいると思うので、もし王都についたら訪ねて欲しいとお願いした。
他にもガレリアやダイアナの事を話し、新しく農園っぽいものを始めたと話すと、とても興味深く聞いていた。
次は風呂場に向かうと話すと、アンジェラは騎士達が作業しているので下の子達は邪魔になりそうだと小声で言ってくる。
アンジェラはしばらく下の子二人とクルックを見ていくと言い、アランがサラとルーシーの面倒を見ることになった。

4人で風呂場に向かうと騎士達が熱心にそれぞれの作業をしていた。
ゲイツさんも竹を加工していたようで、挨拶をするとアランにも手伝いをするように言ってきた。
「サラとルーシーはこっちを手伝ってくれるかな?」
「「うん」」
「アラン、大丈夫そうだからゲイツさんの手伝いお願い出来るかな?自分だと出来る事少ないから」
「わかった、二人をお願いするね」二人を退屈させないようにしないといけない。

「サラとルーシーは魔法で困っていることはない?」
「サラちゃんは凄いんだよ、僕の魔法は出来ているか出来ていないかわからなくって」
「そんなことないよルーシー、花壇は緑さんの魔法だけじゃ難しいって言ってたもん」
「え?誰が?」
「えーっと・・・、誰だろう?とにかく聞いたんだもん」
「魔法をもっと覚えたい?」
「「うん」」

みんなそれぞれの作業をしているので、こっちはこっちでレジャーシートを敷いて魔法の特訓をすることにした。
魔力鉢を取り出すと三人の中心に置く、前回はサラとルーシーが二人一緒の作業だったけど今回は一人ずつやってもらう。
「ルーシー、この植木鉢に魔力を流せる?」
「うん」
ルーシーが植木鉢を持ち集中すると、中央に黄色い魔力の塊が現れ回転し始めた。
「いいね、ちゃんと土の魔法使えているよ」
「本当?」
「うん、キレイな球形にもなってるし、このまま魔法を使い続けていけばいいんじゃないかな?」
「小さいうちなら反応が素直に出るからもっと上を目指せるのじゃ」
「え?え?どっちー?」土水緑の精霊さま達がやってきた。

「サラとルーシー、ここに精霊さまいるよ。みんな挨拶しようね」
「「「こんにちは」」」
「良い子なのじゃ」
「おはよー」
「はい、こんにちは」
魔力が霧散しそうになったので、土の精霊さまは「集中するのじゃ」と注意した。

「リュージよ、その魔力に改善点はないのじゃ?」
「はい、えーっと・・・。ルーシー、魔力の流れに偏りがあるのがわかる?」
「お兄ちゃん、わかんない」
同じ大きさの魔力を自分の目の前に発生させ片手で維持する。
中心の魔力を回転しながら包み込むように増やしていくと、どうしても中心と外側に魔力の差が生まれてくる。
同じように作ったので脆くなる所は一緒だった、ほらここを見てご覧と指を指してみる。

二人ともこちらをじっくり見ている、分かったらしく頷いたので次の魔法を唱える。
脆い箇所にクラックと唱えるとピシッっと皹が入り、その瞬間ぼろぼろっと崩れて土の塊が発生した。
「「おおぉぉ」」
「流れるような良い魔法なのじゃ」
また霧散させそうになったルーシーは慌てて維持に集中する。
「僕もやってみる」
「頑張るのじゃ」

土の精霊さまは発生した魔力を難なく引き継ぎ、ルーシーに「思った事をこの魔力にぶつけるのじゃ」とアドバイスをする。
ルーシーはさっきの魔法を頭に思い浮かべ、発見した脆い箇所に向かって魔法の言葉を放つ。
「粉々になっちゃえ」
脆弱化した一箇所からサラサラサラと風化していくような感じで崩れると、土の魔力は一気に形を失い地面に砂の塊が発生した。
「リュージのより凄い魔法なのじゃ」
「「やったー」」

それからは二人ともそれぞれの精霊さまに師事して色々教えてもらっていた。
その間に約束のものを用意しようと収納から色々取り出してみる。
お昼も近いので作業してくれてる皆のサンドイッチとスープとサラダを作ろうと思う。

パンは大量にストックしてあるし、スープは温めるだけの状態だ。
後は野菜をどうしようかと考える、とりあえず使えそうな材料は全部だしてみた。

「これは昨日坊やが言っていたものかしら?」
「はい、ただ生野菜でもいいんですが、まだ寒いので暖かい料理も欲しいなぁと」
「わかったわ、近くにいるからちょっとヘルプを頼んでみるわ」
「え・・・はい」

器や調理道具を出していると風と火の精霊さまもやってきた。
「お久しぶりです、結婚式以来ですか?」
「そうだな、我らは戦いがある場所に呼ばれやすいからな」
「あっしは風任せ」
「二人には料理を手伝ってもらいたいの、久しぶりにあれをやらない?」

熱くする野菜はどれかしらと聞かれたのでまずはジャガイモを見せる。
「ところで何をするんですか?」
「いいから見てなさい」ジャガイモが数個宙に浮かぶ。
「我と」「私の」「「合成魔法、スチームゥゥゥゥゥ」」
ジャガイモを中心に霧が球形に発生したかと思うと、蒸気と化し真っ白に濃度が増していく。

火加減が難しい魔法だなと考えてると、隣にいる風の精霊さまが解説をしてくれた。
ジャガイモが本来もっている水分にも干渉しているようで、短時間にもかかわらずきちんと火が入っていた。
玉ねぎの薄切りとゆで卵を一個使って、手早くジャガイモをマッシュして和えると一品目のポテサラの完成だ。
野菜は風の精霊さまが瞬時に切断し、他にもラース芋をふかしてもらった。
スープは温かいまま保管していたので盛り付けるだけだ、みんなの作業が一段落した所でみんなを呼び食事をするのであった。


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