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その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
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062:パーティーの準備

 昼食は学食で打ち合わせをしながら取る事にした。
「いやぁ、講義なんて引き受けるもんじゃねぇな。あんな講義聞いたってわかんねぇだろ?まあサリアル、後フォロー頼むわ」エントは毒づきながら宝石の実演を見せただろと胸を張って答えた。
「あんなんじゃ分かりません、そういえば講義前の選別はなんだったんですか?」
「ああぁ、あの選別に意味はねえよ。ただの相性だな、見てると土の属性との相性が抜群にいいって事がわかっただけだ。出来るだけ肌身離さず持っててくれや」

 エントは二食分をテーブルに広げ、ガツガツと凄い勢いで昼食を取っている。
講義の金はいらないと言い、現物支給の昼食食べ放題で手を打ったようだ。
商業ギルドのレイクがコロニッドと合流して学食にやってきていた、また寮の料理長は学食のお姉さんを連れてテーブルに着く。その他に現在ここにいるのはサリアル・エント・ザクス・レンだった。

 まず皆に土日に作りたい料理を説明する。
いっぱい下準備が必要なようなので順番にお願いしたい事を伝えていく。
まず、不足している食材を補充したいので、プランターか植木鉢があれば欲しいとレンとザクスにお願いをした。
そして寮の料理長と学食のお姉さんとコロニッドに3つのスープとソース試作の依頼をする。
これは材料と作り方を書いたので、その通り作れば問題ないはずだった。

 ふとベーコン等を持ってきたレイクに腸詰をどう作ったか質問をしてみた。
「ああ、うちの開発部と肉屋でタッグを組んでだな、あのミンチというのか?挽肉には苦労したようだったぜ」包丁で薄切りにしたあと二本の包丁をもって交互に叩いていたようだった。
ベーコン等は学食のお姉さんにお願いして薄く切ってもらい、味見をしてみた所とてもよく出来ていた。

「そこでエントさんに3つお願いしたいのですが、ああぁ・・・報酬の相場がわからないな」
「金の事は置いといて何がしたいんだ?」
「えーっと、一つは肉を細かくしたいのです。ミンサーという物でこれがあれば腸詰とかハンバーグとか作るのに楽になると思うのですが」ハンバーグもありだなと考え込む。
「リュージ君、それはうちからの依頼って事でもいいかな?肉屋のバリエーションが広がりそうだしね」レイクが予算を持つと言ってくれた。

 投入口・固定刃・圧力(圧縮)とハンドルのようなものを書いて説明すると、少し時間がいるなと考え込むエント。
続けてパスタマシーンの説明をする、学食から材料を借りて小麦粉・塩・卵を練り上げて皆に見せた。
その時エントは麺棒に興味を持ち、この麺棒二本あれば一定の厚さにする事が出来るんじゃないかと言う話になった。また、手を洗ったみんなはペタペタと生地を触り、麺棒はエントに預ける事になった。

 最後はハンドミキサーのお願いをする。
これもボウルと卵を用意してもらう、泡だて器を使いメレンゲを作る工程を見てもらうと「これは簡単だな」とエントは自信を持って言った。
「ただなぁ、この数を金曜日まではちょっと厳しいな」材料の手配をレイクがする事になり、手伝いをどこからか呼ばないとなと言った所、エントに後ろの席から先ほどの女生徒が手を挙げてやってきた。
「おっし、見習いバイトとして雇ってやるよ」諦めて短期バイトとして雇うことに決めたようだった。
「時間があったら同じものを王国料理場にも・・・」コロニッドもこっそりエントに依頼をしていた。
もう一度金曜日のお昼にここで集まることを決めて解散した。

 サリアル教授は手配をするべくレイク・コロニッド・エントと打ち合わせをしていた。
人数は既にサリアル教授に報告していて、少し多めの食材の手配をしてくれているようだ。
生地は収納に仕舞ったので後で完成させたと思う。

 畑に行くと衛兵さんが敬礼してくる。
温室に入ると既にレンとザクスが準備してくれて、大きな鉢1個に軽いプランターを数個隅に置いてくれていた。
「なあ、リュージ。何を作るんだ?」
「ハーブ類を何種類か準備して、出来れば油も欲しいな」
「ギルドでは手配できないの?」
「うん、多分作ったほうが早いかな?ちょっとあるかどうか探してみるよ」

 収納をガサゴソと探してみると何故かある種苗一式。
大きな鉢にオリーブの種を植える、プランターにはバジル・パセリ・ニンニク・唐辛子・ローリエを準備した。
発芽や種苗増殖・成長促進等、魔法を唱えまくる。そしてザル何個かにいっぱいオリーブの実を収穫すると、ザクスにオイルを取れるか確認してもらった。
「随分オイリーな植物だね、これだったらすぐにいっぱい取れるさ。ただ・・・入れ物どうする?」
丁度見学に来たローレル教授は、ワインボトルが何本かあるからそれを提供すると言ってくれた。
何故学園で空いたワインボトルが置いてあるのか質問するのは愚問なのでスルーすることにする。

 レンとザクスとローレルは早速オイル作りに向かってくれるようだった。
代わりに来たのがサリアル教授で、現状出来る手配が終わった事を聞いた。
「ありがとうございます、教授少し時間ありますか?」
「リュージ君、大丈夫ですよ。何か手伝いが必要ですか?」
「ちょっと実験をしないといけません、少し待ってもらってもいいですか?」

 大きな声で緑の精霊さまを呼び出すとすぐにやってきた。
「呼んだー?何か新しい植物がいっぱいだね」
「リュージ君、そちらに精霊様がいらっしゃるのですね」
「はい、ちょっと土の精霊さまを呼んでもらいますね」

 緑の精霊に土の精霊を呼んでもらうと間もなくやってくる。
「呼んだかの?ここは暖かいから何時でも何処からでもくるのじゃー」今日もおじいちゃんは元気だった。
「土の精霊様、お久しぶりです。本日は宜しくお願いします」
「あの質問があります、この土魔法についてですが」
「ふぉふぉふぉ、やはり気付いてしまったかの?お主の魔法はちょっと普通とは違うのじゃ」
「私からも質問です。リュージ君の魔法はより原型というか、土属性に愛された魔法なのですね」
「良い言い回しじゃ、わしは争いごとが嫌いだからの。だからと言って今使えている魔法をわしが祝福してないわけではないのじゃ。要は適材適所なのじゃ」

「それを聞くために呼んだのかの?とっくに気がついてたと思ったのじゃ」
「いや、それを踏まえての質問なのです。自分のサンドボールが腐葉土のようになったって事はもしかすると熟成とか発酵の効果とかないのですか?」
「ふむ、あると言えばある。ないと言えばない・・・ところで発酵ってなんじゃ?」知らないで答えているようだった。

 収納から白ワインの瓶を取り出す、小さい湯飲みを取り出して土の精霊と緑の精霊に飲んでもらうと、とても喜んでいた。「これを酢にしたいんです」と相談し、どういう味になるか説明すると瓶の下部を土で覆うように言われた。
サリアル教授も慌てて協力すると、土の精霊・サリアル・自分と協力して魔力を流す。

《New:エンチャント:【熟成/発酵】を覚えました》

 瓶を軽く一振りするとツーンと酢の香りがした、白ワインビネガーが出来たようだった。
「もったいないのぉ、このワイン美味しいのに」
「僕はこの酢が美味しいものの予感がするよ」緑の精霊さまの感は鋭い。
「今度樽で仕入れて贈りますよ、それまで少しお待ちください」
「「楽しみにしてるよ」」二人の精霊は温室をぐるぐる巡っていた。

「これで目的の食材は全部揃ったと思います、サリアル先生ありがとうございます」
「リュージ君、今週は忙しいですよ。よく周りの状況を確認して、土日は恙無いようにお願いしますね」
「はい、後でエントさんの工房も案内してもらえますか?」
「勿論です、後ろから睨みをきかさないと心配ですからね」
「エントさんと仲がいいんですね」サリアル教授は苦笑していた。

 残りのプランターからハーブ類を手早く収穫して収納に仕舞う。
基礎薬科と品種改良グループの教室に行くと、がらんとした教室の一角で顧問二人と残ったメンバーでスケッチをしていた。スケッチにはトマトや今まで育てた品種の植物などもあり、加工方法なども書かれていた。
「あ、リュージおかえり。さっき見てみたけど明日帰るまでには出来るよ」ザクスが進捗状況を教えてくれた。
全員に挨拶をすると、まだ渡していないハーブ類があったので学食に舞い戻る。

「お忙しいところすいません、今大丈夫ですか?」
「ああ、弟がいつも世話になってるね。さっきはこういう世間話もできなかったからね」
「いえいえ、こちらこそ何時もおいしいご飯を頂いています」
「お世辞でも嬉しいよ、それでさっきのスープなんだけどね。レシピみたらこれが何かわからなくてね、明日朝から仕込むから良かったら一緒にやらないかい?」
「あ、はい。ちなみに分配はどうなったのですか?」

 どうやらコロニッドさんがスープを、お姉さんがスープで料理長がソースを担当したらしい。
お姉さんにハーブを渡すと明日の午前に一緒に作業する約束をした。
帰ったら多分、料理長と一緒に作業する事になるだろう。
コロニッドさんにハーブ類を届けると急いで寮に戻る。完成した後のバランスは本職の人に任せるしかない為、3人の出来が大きく料理を左右すると伝えると皆気合が入っている様子だった。
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