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その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
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039:舞台裏

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25,000PVを超えました。
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それから少しするときちんと足元を確かめるようにセレアが入ってくる。
「皆様、ご心配かけました」視力が回復したようでひとりひとりの顔を確認するように見回した後深々とお辞儀をする。
「レン、あなたには一生かかっても返せない恩が出来てしまったわ」と見つめあうレンとセレア。
数秒すると二人揃って貴族らしくない大きな笑いが起こった。
「もう大丈夫みたいですね、それでは」と司祭様が帰る準備をする、そして帰り際に一度教会に遊びに来てくださいとレンを誘っていた。

全員で司祭様を見送りに玄関まで行くとまだラベンダーの香りが漂っていた。
「このままではすぐにダメになってしまうでしょうね、また次の季節を待ちましょう」とダイアンの許可を得て花の部分を後日刈り取ることにした。「ザクス、これでいけそう?」と確認すると明日グループから何人か連れてきて作業したい旨を伝えた。
「セレア、もしかすると何とかなるかも?」とレンが盛り上がっていたので「完成するまでは過度な期待は禁止だよ」と忠告する。
「お礼は十分させてもらうよ、勿論今回の件とは別でね」ダイアンはセレアとソラの頭に手を乗せて喜んでいた。

病み上がりなので早々に屋敷を出ると少量のラベンダーをそれぞれ持つ。
「それにしてもうまくいったな」
「本当、魔法ってあんなにタイミングよく演出できるものなの?」
寮までは馬車を出してもらい、二人はどうやったか教えてとしつこく尋ねてきた。

急いで借りた一角を開墾するとラベンダーの種を出し、一粒ずつ植えている暇がないので豆撒きのように投げた。
最近、畑仕事は全部魔力を込めてやっていたので種も魔力を込めて投げてしまったようだった。

《New:スペル 種まきを覚えました》

等間隔に蒔かれた種に発芽と成長促進の魔法をかける、同時進行で適当な接木を柱に見立て低めの温室を作り出した。
数本の花を摘み白い布に包んでザクスに渡す、ザクスは駆け出すと屋敷の中に入って行った。
念の為に温室を確認すると香りが充満されていた「で、それをどうするんです?」すっかり日が低くなって冷たい風が吹いた背後から声が聞こえた。三度笠に縦島のマントを羽織っている風の精霊だった。

計画では香りを閉じ込めて温室を解除すればあの部屋の窓まで届くと思っていた。
その事を風の精霊に説明すると「残念ながら気まぐれな風では届く保障はありやせん、ただ望むならここで一宿一飯の恩義に答えたいと思いやす」と笠をクイッと上げた。人命がかかっているので是非とお願いすると準備が出来たと合図を送る。
少しすると窓が開いたので温室を解除する、そして風の精霊がマントをひるがえすと地球の某有名科学者がよくやる輪っか状の香りの塊がゆるやかに拡散するように窓に向かった。

「バブルリング?」

ところどころ誤魔化そうとしたけど植物の属性魔法が使えることも幅広く知られてしまったようだ。
多分、既得権益を侵すようなことはなさそうだし、一回作ったらどんどん何処かで作れるようにすれば大丈夫だと思う。
「魔法使いってずるいなぁ」とレンが言っていたけど、多分違う方面で伸びると思っている。
「後は偶然に助けられたと思う」と二人に言うと「「本当にー?」」っとジト目をされた。

寮に戻ると寮母も含めて今日のことを報告する、共有したほうが良い情報は報告することになっているらしい。
レンは風呂を入れにいくと液状石鹸の瓶を持ってきた「これを直接入れるのはどうかな?」と漬け込む。
一見乱暴なやり方かもしれないけど大体これで合っていると思っている。
「当面使う分にはそれでいいんじゃないかな?」と話すと瓶をもって移動するレン。
「リュージ、わかってると思うけど」とザクスが注意してきたけど「まだ完成してないなら、あれはあれでいいんじゃない?」とフォローする。「多分やり方としては製油としてエッセンスを抽出するか、水に香りを溶かし込むしかないよね」とザクスに確認すると大きく頷いていた。

「そうだ、お風呂いれてこなくちゃ」一日に疲れを癒すお風呂。
浸かる派と拭く派でかなりはっきりするようになったけど暖かいお湯はこの寮でかなり好評だった。
レンとティーナが今度ゲストを招いてお風呂パーティーしたいねって言っていたのが印象的だった。
冬至までにかぼちゃとゆず湯を用意したいなとは思うけど、いっぱい作りすぎるのも問題かなとも思う。
樹になる果物とかは植える場所を考えないといけないしね。

食事とお風呂が終わると今日は談話室でゆっくりすることにした。
主な話題はグループ活動でマイクロが精力的に稽古をつけてくれている事と温室のことだった。
当然、温室って何だ?から儀式魔法凄いねとなり明日見に行こうぜになる。
お昼に全員食堂で待ち合わせしてから見学に行くことになった。

翌日は変わった講義があったので受講してみることにする。
【一般教養:共通1】【一般教養:算術】【魔法理論2】を受講したところ共通1の方は読み書き程度だったので早々に教授から試験を出されこれ以降のこの講義は免除となった。算術も同様の対応だったので早めに魔法理論の講義に移動することが出来た。魔法理論についてはサリアル教授が淡々と進め復習になった。

待ち合わせた食堂で食事が終わると早く行こうとティーナがせっついてくる。
ザクスとレンは畑を見た後にサティス家に行く約束になっている。
ヴァイスも魔法に半分、マイクロの指導に半分の興味があるらしく早く行ってどんなものか見たいなとティーナの意見に賛同した。
そして畑に直行するとサリアル教授が既に待っていた。

この感じだと持続時間の24Hは無事越えそうなので、みんなが温室の周りをぐるっと回っている間に魔力を流して扉を作る。
ちなみに前回作った扉はいつの間にか消えており、普通の扉・スライド式・観音開きなど自由に作れそうだった。
サリアル教授が近くに寄ってくると「もしかすると直接リンクできる触媒を設置すれば付与魔法のような事も出来るかもしれません」と言ってきた。
どういうことか聞くと付与魔術も一種の儀式魔法のジャンルになっているらしく、例えば魔法を使った人が魔力を注がなくても汎用に作れば誰でも維持できるかもしれない。また、その触媒を感知できるなら自動継続(魔力のスリップ)で延長させることも可能ではないかと教えてくれた。これは今後の魔法理論で出る講義内容だったらしい。

とりあえず何もない状態でいつまで持つか分からないと対応できないと思い、特別な変化がないか入ってみることにした。
「ありのまま今起こった事を話すぜ・・・」中に入ると奥の方で樹が2本Yの字に立っていてハンモックがあった。
そして何故か縁側がありお茶を飲んでいる小人が・・・土と緑の精霊達だった。

いったん扉を閉めると「何で閉めるのですか?」と聞いてくるサリアル教授。
「まだ見てないんだけどー」とティーナが後ろから声を掛けてきて「後がつかえてるよ」とザクスが開けてくれと言ってきた。
腹をくくり再度扉を開けると更に精霊が増えていた。
「見事な空間ですね・・・ここ、昨日と何か変わりました?」と聞いてくるサリアル教授。
どうやら皆にはハンモックも縁側も見えてないようだった。

「いいなぁ、こんな魔法が使えたら何でも作れそう」とレンが土をいじるとザクスが大きく頷く。
「リュージ君、この畑を荒らすつもりはないですが、今日ここで少し基礎魔法グループの練習をさせてもいいですか?」と聞いてくるサリアル教授。
ティーナとヴァイスは壁面の材質をコツコツ調べるように叩いて「後で壊してもいい時が来たら教えて欲しい、是非これを斬れるようにしたい」と物騒なことを言ってきた。

ヴァイスとティーナは午後の訓練に、ザクスとレンはいったんグループに顔を出した後サティス家に向かった。
サリアル教授には「植える前にもう一度鍬を入れるので好きに使ってください」と言うと一度グループに戻った。
この隙に精霊に挨拶をする「えーっと・・・お久しぶりです」
「久しぶりなのじゃ、魔法の訓練は順調に進んでいるかの?」
「ぼちぼちですかね、ところでどうしてこちらに?」
「風の噂にここにいると聞いての。通常休眠に入る精霊が多いのじゃが居心地が良い場所には自然と集まるのじゃ」
「むにゃむにゃむにゃ、もう食べられないよ」
「ほら、今日は土の精霊も何名も来ておるのじゃ」

緑の精霊は幸せそうにゆらゆら揺れていて、おじいちゃんが指差した先には双子のまだ若い土の精霊が組み合ってゴロゴロ転がっていた。他にも土の精霊がプカプカ浮かんでたりしている。
モグラさんもやってきて看板を出してくる「呼ばれなくてもくるよ」ヘルメットにはMGネットワークって書かれていた。
この後、魔法使いや見習いがいっぱいくるので騒がしくなりますと伝えると、モグラさんが看板をひっくり返し「また来ていい?」と聞いてくる。「もちろん、この温室が安定してからでお願いします」と伝えると「OK」と返事を返してくる。

「モグラさんと仲良しですね」おじいちゃんに話しかけると「土の眷属じゃからの」と新しい用語を言ってくる。
「眷属ってなんですか?」と質問すると属性に祝福された存在がこの世界にはいると言ってきた。
確か特性で祝福があったなと思い自分も眷属ですか?と聞くと人族は基本的に女神さまの祝福を受けているらしい。
ちなみにここで言う人族とは二足歩行で歩き知恵を持って考えたり行動できたりする種族の総称でエルフやドワーフ等も含まれるらしい。そういえばまだデミヒューマンというか亜人というかそういう種族に会っていなかった。

少しするとサリアル教授がグループの人達を連れてきた。
「今日はここで訓練をします、ここは何故か良い空間のように感じます」と言うとまずは瞑想から始める。
自分はおじいちゃんの隣で双子の精霊を見たり、植物の精霊が揺れるのを見ていた。
瞑想が終わったのを見計らって「攻撃魔法とかはこの場所では控えてくださいね」と大きな声でサリアル教授に伝えると「わかっています」と魔力を掴む訓練に入っていった。

あからさまじゃない風を装いながら今まで覚えた魔法やラースを出てからの話をした。
昨日は風の精霊さんに会いましたよと伝えると「随分レアキャラに会えたのじゃ」と驚いていた。
今も仲間が新しい植物から香りを取り出すために頑張っているんですと話すと「新しい植物?」と緑の精霊がばっと起きだしてドテっと落ちた。
「これこれ、もっと落ち着くのじゃ。多分待っていればここに持ってきてくれると思うのじゃ」とおじいちゃんが言うと緑の精霊がこちらに「絶対?ねえ、絶対?」と聞いてきた。
後で必ず持ってくると伝えると「そういえば香りってやっぱり風の精霊の分野ですか?」と聞くと「そうじゃのぉ、連絡を取ってみるか?」と聞いてくる。とりあえず今日は帰るまでここにいる予定なのでもうちょっと話すことにした。
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